新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷ほか絶賛公開中の映画『デヴィッド・リンチ:アートライフ』の公開を記念し、2月9日(金)アップリンク渋谷にて、映画・美術評論家の滝本誠さんとデザイナーでありライターの高橋ヨシキさんが登壇。リンチのアート・ライフについて熱いトークが繰り広げられました。
日時:2月9日(金) |
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デヴィッド・リンチの創作に迫るドキュメンタリー映画『デヴィッド・リンチ:アートライフ』の公開記念トークイベントが2月9日(金)アップリンク渋谷にて行なわれ、ゲストに映画・美術評論家の滝本誠とデザイナーであり、ライターの高橋ヨシキが登壇。リンチのアート・ライフについて熱く語りました。
本作は、映像作品のみならず、絵画、写真、音楽など様々な方法で表現活動を続けているデヴィッド・リンチが、美術を専攻した学生時代の「退屈」と「憂鬱」、悪夢のような街フィラデルフィアでの暮らし、そして長編デビュー作『イレイザーヘッド』に至るまで自ら語ったドキュメンタリー映画。リンチを知り尽くしている両者でも「これだけ過去の映像が残っているのにはびっくりした」 と口を揃える。 映画の感想を 高橋さん:この映画で描かれているリンチの<アート・ライフ>は、実際はそうであるんだけど、リンチ的にみせたいところが詰まった映画だと感じました。<アート・ライフ>なのか<ライフ>なのかっていう問題もあるんだけど、“こういう風にありたい”っていうことが全面に出ているように観ていて感じました。 とコメント。一方、 滝本さん:自分の過去を自分の言葉で語っていくというのは、うれしいぐらいに物語を作っていけるから、この映画はリンチを主題としたフィクションの誕生といってもいいかもしれない。現在製作しているアート作品たちを証拠的なものとして挿入し、ディレクションをしている。これらのアート作品によってリンチの過去が魅力的に改変され、再構成されていっているように思います。 と説明。 |
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劇中の中でリンチが”助成金が取れてよかった。これで映画がつくれるようになる”と語るシーンについて
高橋さん:このシーンを観てリンチは”映画”があってどんだけ幸せなんだろうと考えました。彼はロバート・ヘンライ著の『アート・スピリット』を手にして、その本が指し示すアーティストになろうと強い方向性でいたら、僕らがこうして今リンチの話をしていることは永遠にありえなかったし、個人で作っている映画よりも人を巻き込んでやっている映画が、ものすごい成功を収めているのもすごいですよね。 と指摘する。 またリンチのアート作品について 高橋さん:リンチの絵って、人がいて、物があり、セリフがあって、これってまるで映画のシーンじゃないのかなと観ていて思う。 と話すと、 滝本さん:リンチの面白いところは、目の前にあるものすべてをアートに変えることだと思います。 と締めくくった。 |
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【プロフィール】 滝本誠(たきもと・まこと) 1949年京都生まれ。映画・美術評論家。著書に『きれいな猟奇―映画のアウトサイド』(平凡社)、『渋く、薄汚れ。―ノワール・ジャンルの快楽』(フィルムアート社)、解説担当書にロバート・ヘンライ『アート・スピリット』(国書刊行会)などがある。最新刊は『映画の乳首、絵画の腓 AC 2017』(幻戯書房)。 高橋ヨシキ(たかはし・よしき) |
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映画『デヴィッド・リンチ:アートライフ』 原題:David Lynch: The Art Life 公式サイト: Twitter: リンチが紡ぐ「悪夢」はどこから生まれるのか? 映像作品のみならず、絵画、写真、音楽など様々な方法で表現活動を続けているデヴィッド・リンチ。「その頃の僕の世界はとても小さく、近所の数ブロックに全てがあった」ハリウッドにある自宅兼アトリエで語られる過去。「恐怖が垂れ込める意地の悪い街」フィラデルフィアでの日常。その中に潜む「恐怖」「苦悩」は、まるでリンチ作品の登場人物のような姿で私たちの前に現れては消えていく。 アメリカの小さな田舎町で家族と過ごした幼少期、アーティストとしての人生に憧れながらも溢れ出る創造性を持て余した学生時代の退屈と憂鬱。後の『マルホランド・ドライブ』(2001 年)美術監督である親友ジャック・フィスクとの友情。生活の為に働きながら、助成金の知らせを待った日々。そして、当時の妻ペギーの出産を経てつくられた長編デビュー作『イレイザーヘッド』(1976 年)に至るまでを奇才デヴィッド・リンチ自らが語りつくす。 |
監督:ジョン・グエン、リック・バーンズ、オリヴィア・ネールガード=ホルム(『ヴィクトリア』脚本)
出演:デヴィッド・リンチ
配給・宣伝:アップリンク
2016 年/アメリカ・デンマーク/88 分/英語/DCP/1.85:1
(C) Duck Diver Films & Kong Gulerod Film 2016