福島原発無人地帯。住人はダチョウ、牛、猫、犬、イノブタ、ポニー、そしてニンゲン1匹! 4月18日(土)より新宿K’s cinemaにて公開のドキュメンタリー映画 「ナオトひとりっきり Alone in Fukushima」 原発事故による全町避難により無人地帯となった福島県富岡町にひとり残り、同じく取り残されたいきものたちと暮らす松村直登さんの暮らしと、生まれ死にゆく命のサイクル、巡る季節を追ったドキュメンタリーです。 そして公開初日の本日。福島県富岡町から“ナオト”こと松村直登さんが駆けつけ、中村真夕監督とともに初日舞台挨拶を行いました。映画「ナオトひとりっきり Alone 海外メディアでは大きく扱われながら、原発20キロ圏内の様子やそこで暮らすナオトさんの日常は日本国内ではあまり知られていません。 ナオトひとりっきり Alone in Fukushima初日舞台挨拶 |
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中村監督:本日はお越しいただきありがとうございます。撮影する経緯ですが、海外のメディアで松村さんの事を知って、こんな方がいることを日本のメディアはどこも取り上げていなかったので、テレビでやりたいですと話したら駄目ですといわれ、自力で行くしかないと思いました。
松村さん:監督が1年かけて撮られた私の4年間の一部です。(福島県)富岡町の原発問題はまだまだ続きますので、監督には続きを作って欲しいです。 ある取材で一度郡山まで行って話をしたのですがNGだと。その後、他のTVでも取材を受けるもののカットされてしまいました。そこで、日本のメディアでは駄目だということで、AP通信の取材を受けて情報発信していました。 中村監督:そう、この事態はおかしいなと思ったんですね。そして、再稼働みたいな話が始まっていて。松村さんはちゃんと伝えてくれないといわれてたんですけど、私は自力で何とか今日のこの日を迎えることが出来て、良かったです。 |
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松村さん:質問受け付けますよ。 Q:変わったアングルの映像がありますが? 監督:助手席から撮っていて。諸事情でそういった映像になっています。 Q:動物を飼っていることは禁止だと思いますが? 松村さん:ライフラインもない中ですが、動物たちは殺処分だと。生あるものをなぜと楯突いたんですよね。自分は今主張できる立場なので。私は間違っていないと思っています。財産はあっても価値はなかったり。家族はばらばらになったり、原発も再稼働しようとしているので、我々も黙っているわけにいかないんです。 監督:松村さんは最初、反原発を声高に言う人ではなかったのですが、ここに居ることが抵抗なんだなとわかりました。住んでいる動物たちは放射能汚染されていますが命はあり、脈々と続いていくんです。それは人間が勝手に決めて良いものでないと思います。そしてひと人の暮らしも改善されていないので。ゼネコンは潤っていそうですけど。 | |
監督:改めて編集していて、同じ目線で語っているのがいいなと。勝手ながら動物たちプラス一人の感じで撮らせていただきました。 この作品をどう感じるのか。 「ナオトひとりっきり Alone in Fukushima」 4月18日(土)より新宿K’s cinemaにて公開 連日朝10:00より。 【K’s cinema劇場公開イベント日程】 |
ドキュメンタリー映画「ナオトひとりっきり Alone in Fukushima」
ダチョウ、牛、猫、犬、イノブタ、ポニー、そして男がひとり。緑は生い茂り、いきものたちがのびのびと暮らしている。
ここは福島第一原発から12キロにある福島県富岡町。原発事故による全町避難で無人地帯になった。高度経済成長の裏側で、カネに翻弄される人生を送ってきた松村直登・55才は、目に見えない放射能のリスクの中、町に残されたいきものたちとようやく自分の居場所を見つけた。季節はめぐり、いのちが生まれ、また消えて行く。地図から消されようとしている町に息づくいのちを一年近く見つめ続けたドキュメンタリー。監督は、「ハリヨの夏」(06)、「孤独なツバメたち〜デカセギの子どもに生まれて」(12)など、運命に翻弄されながらも、自分の居場所を探し求める人々を描いてきた中村真夕。放射能汚染された町のなかで、穢れなきいのちを見つめ、本当の幸せとは何かを問う。