映画情報どっとこむ ralph 主演に西島秀俊を迎え、村上春樹の短編を映画化した濱口竜介監督最新作『ドライブ・マイ・カー』(8 月 20 日(金)より TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開)。

現在開催中の第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に日本映画として唯一正式出品されている本作の、フォトコール(フランス現地時間7月12日(月)11:45(日本時間同日18:45)に濱口竜介監督、出演の三浦透子、霧島れいか、ソニア・ユアン、が登場。カンヌレッドカーペット『ドライブ・マイ・カー』DMC_Cannes_Kazuko Wakayama
ソニアはピンク色が映える華やかなドレスを着用した。昨夜の公式上映を終え、装いも新たにした3人の姿に海外セレブも多く撮影するカメラマンからも歓声が飛び交った。フォトコールでは、上質感と個性が際立つザ・ロウのワンピースにベストという装いの三浦。霧島は、夏のカンヌに映えるヴァレンティノのオールホワイトのドレス姿で登場。
『ドライブ・マイ・カー』カンヌ(c) Kazuko Wakayama
その後、記者会見(12:00(日本時間同日19:00)に出席した。

映画情報どっとこむ ralph

<記者会見内容>

■濱口竜介監督

『ドライブ・マイ・カー』カンヌ(c) Kazuko Wakayama

―—製作の経緯について
濱口:まず、こんなにお集まりいただきありがとうございます。村上春樹さんの原作を読んだのは、2013年。もともと知人からあなたの映画と通じる部分があるのではと言われて読みました。実際、自分が映画のテーマとして取り扱ってきた例えば「演じる」ということ。加えて、この作品で一番重要なのは「車」だと思うんですが、自分は移動空間の中で親密な会話をするということを映画でも取り扱ってきたので惹かれるところがありました。
特に、家福とみさきという2人の登場人物が車という閉鎖空間のなかで、最初は抑制された人間性が、だんだんと開かれていく。そうしたことが原作には描かれていました。それはこの映画でもひとつの核心部分だと思っています。

―—キャスティングについて、どのように決定されましたか?
濱口:キャスティングについては、観ていただいた方皆さんが同意してくれると信じているのですが、本当に素晴らしくうまくいっていると思います。キャスティングで一番大事なのは、役に合う人をキャスティングすることだと思っています。それが、すべてのキャストにおいてできたと思っています。インターナショナルなキャスティングをするというのは、実際経験がなかったので、手探りでした。韓国に関しては、もともとそこで撮影する予定もあったので、ロケハンもかねてオーディションのような形でやらせていただいた。台湾・フィリピンのキャストはオンラインでのオーディションになりました。オンラインでわかるものか不安はあったが、やっぱりちゃんと顔も声も聴けて、その人の人間性も感じることができたので、結果としてうまくいったと今も思えています。

―—本作では、“コミュニケーション””が重要なテーマになっていると思います。
言葉を使っているから、コミュニケーションができていると思ったら大間違い。というとことはありますよね。むしろ、言葉がコミュニケーションを邪魔しているという側面はたくさんあるのではないでしょうか。言葉によって、情報をやり取りして、細分化していくことはできるけれども、それによって見えなくなっていることがあると、実生活で感じている。
自分の映画はすごくおしゃべりな映画ではあるが、言葉によってコミュニケ―ションができているという風に描いたことは実はそんなにない気がしている。そういう考えが、この映画の中の多言語劇にもなっているんだと思います。
もともと映画は字幕がついて、言葉がわからなくても見ることができる。一方で、今までは映画祭で「彼の演技がよかった」といわれると不思議な気持ちになることがあった。言語がわからないのにと。でも、今回はそうした気持ちがすごく薄れた気がしました。言語がわからないからこそ、直接的に演技の良しあしをとらえられる視点があるのだということをこの作品を通して実感として感じた。

―—濱口監督にとって国際映画祭の場とは何ですか?
国際映画祭というものは、インディペンデントという形で映画作りを始めて続けてきた身にとっては、よりどころ。自分が面白いと思ったものをつくって、それが商業的になかなか流通していかないという苦い思いを初期の段階では味わっているが、映画を作るたびに、国際映画祭の方がより多くの人に見せるべきものだと、言ってくれることはものすごく励みになった。
それによって劇場公開が可能になった作品もある。なので、国際映画祭が自分を発見してくれたし、育ててくれたという印象を強く持っている。映画祭が自分に対して、求めてくることがあればお返ししていきたいと思う。

■三浦透子

『ドライブ・マイ・カー』カンヌ(c) Kazuko Wakayama
―—この作品で自分がなにか開眼した、今までと違う経験や目覚めがあったと感じたことは?
お芝居をするにあたって、心の状態を作ることによって体が付いてくることもあれば、反対に体に引っ張られて心がついてくることもある。特に今回は、心が体の状態、とりわけ声についてくるということを感じました。
監督もおっしゃっていたように本読みを中心に音・声に拘っていて「相手の心を動かす声をつくる」ということに時間を使わせてもらっていたのでそういった声を自分でも聞いているうちに、自分自身の心も動いてくるのだと。そういった経験は歌手としての活動の中で経験したことではあるけれど、お芝居で感じたのは今回、濱口監督の演出を受けて初めて感じた発見でした。

■霧島れいか

『ドライブ・マイ・カー』カンヌ(c) Kazuko Wakayama
―—この作品で自分がなにか開眼した、今までと違う経験や目覚めがあったと感じたことは?
撮影に入る前に本読みとかリハーサルを重ねました。その本読みというのも、私が今までやったことな、”感情を入れない”という方法だったので、これをしていてどういうことが起きるのかというのが、始めの頃は自分では理解するのが難しく、ただただ読んでいるだけという作業でした。その中でだんだんとわかってきたことがあって。普段撮影に入る時、何かを”しよう”としてしまうんですね。何かしようしようという気持ちが先に出てしまうことがあるというか、演技をしてしまうというか。それが感情を入れない本読みを重ねていく中で、だんだんそれがフラットに、自然の流れに持っていけるというか、何か自分の中にとても静かな何かが流れ始めるのを感じました。そしてセリフ一つ一つがとてもシンプルで、深くて、扱うのが大切に思えてくるようになりました。
芝居する前に静かに自分の中で変化が起き始める、そういった経験というのは今まで私の中にはなかったので、とても私は貴重な経験をさせていただきました。このお仕事始めて20年以上経ってますけど、まだまだ経験したことないことや、新しい発見がたくさんあるんだなってことにも気づきましたし、この経験はこれからの仕事へも活かせる、非常に勉強になった本読みやリハーサルでした。この映画に参加させていただいて素晴らしい経験になりました。

Photo:(c) Kazuko Wakayama

映画情報どっとこむ ralph

『ドライブ・マイ・カー』

公式サイト:
dmc.bitters.co.jp

俳優であり演出家の家福は、愛する妻と満ち足りた日々を送っていた。しかし、妻は秘密を残して突然この世からいなくなってしまう。2年後、演劇祭に愛車で向かった家福は、ある過去をもつ寡黙な専属ドライバーのみさきと出会う。行き場のない喪失を抱えて生きる家福は、みさきと過ごすなかであることに気づかされていく――。
原作は、村上春樹による珠玉の同名短編小説。この作品に惚れ込み映画化を熱望、自ら脚本も手掛けるのは、いま世界が最も熱い注目を寄せる気鋭・濱口竜介監督。カンヌ映画祭コンペティション部門に選出『寝ても覚めても』、ベルリン映画祭で銀熊賞受賞を果たした短編集『偶然と想像』、脚本を手掛けた『スパイの妻』がヴェネチア映画祭銀獅子賞に輝くなど、国際的な舞台でその名を轟かせてきた。 主演を務めるのは日本映画界に欠かせない名優、西島秀俊。みさきを三浦透子が演じるほか、岡田将生、霧島れいか、と実力派俳優陣が集結した。
ドライブ・マイ・カー_ティザービジュアル

***********************************

西島秀俊
三浦透子 霧島れいか
パク・ユリム ジン・デヨン ソニア・ユアン
ペリー・ディゾン アン・フィテ 安部聡子
岡田将生
原作:村上春樹 「ドライブ・マイ・カー」 (短編小説集「女のいない男たち」所収/文春文庫刊)
監督:濱口竜介 脚本:濱口竜介 大江崇允 音楽:石橋英子
製作:『ドライブ・マイ・カー』製作委員会 製作幹事:カルチュア・エンタテインメント、ビターズ・エンド
制作プロダクション:C&I エンタテインメント 配給:ビターズ・エンド
©2021 『ドライブ・マイ・カー』製作委員会
2021/日本/1.85:1/179 分/PG-12
関連記事:




良かったらランキングUPにご協力ください。
  にほんブログ村 映画ブログ 映画情報へ    にほんブログ村 アニメブログ アニメ情報へ