笹谷遼平監督『山歌(サンカ)』前作『馬ありて』で注目された新鋭、笹谷遼平が、期待の次世代俳優、杉田雷麟を主演に迎え、かつて日本の山々に実在した漂泊の民・山窩(サンカ)をモチーフに孤独な少年とサンカ一家の交流を描いた人間ドラマ『山歌(サンカ)』。いよいよ4月22日(金)よりテアトル新宿、アップリンク吉祥寺ほか全国公開となります。このほど、本作をいち早く鑑賞した、戦中のサンカを主題にした萩原健一主演映画『瀬降り物語』(1985年公開)の中島貞夫監督をはじめとした、ゆかりの深い著名人の方々からのコメントが到着しました。 著名人からコメント到着(順不同)この映画の舞台と同じ1965年、僕は倉本聰と山の放浪民・サンカの映画を作ろうとしていた。サンカの生きるエネルギーを再現したかったのだ。監督デビュー作のつもりでシナリオを書いたが、撮影寸前でボツになった。僕はサンカへの執念を燃やし続け、20年後にサンカの映画を作ることができた。そして2022年、昭和末期生まれの青年が、まさに這いつくばりながらサンカに迫った。強烈な疑問と誠実さで作られたこの映画に、若い頃の僕たちを見た。 少年がいっぱしの大人になるためにはある種の通過儀礼が必要だ。だが、AI社会になればなるほどその機会は失われる。笹谷監督は今日殆ど神話と化した山の民サンカの父と娘を主人公の少年に出会わせることによって、青年への成長の奇跡を見事に実現した。瑞々しい映像の中の少年少女は、観客の胸に珠玉の残像を結ぶだろう。 今ある差別や排除の根源に向かって一石を投じる渾身の作品だと思う! すべてが清々しい映画でした。自分も山の空気を存分に吸えたように思えるほどです。 この映画が映し出すサンカの世界は無の世界だ。ここには生きる意味をみつけだそうという意志も、自己実現といった近代人が陥った精神の呪縛も存在しない。ただただ自然のなかに、自然とともに存在しているのである。動物と同じように。森の木々と同じように。流れ落ちる川の水と同じように、である。 『山歌』を観賞すれば、観たことを後悔する人はいないだろう。多くの人に観てもらい、多くの人に人間と自然との関係を根本的に、継続的に考えてもらいたい。 |
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『山歌(サンカ)』4月22日(金)よりテアトル新宿 、アップリンク吉祥寺 ほか全国順次公開 かつて日本の山々に実在した流浪の民・山窩(サンカ)。 山窩(サンカ)とはかつての日本に実在していた山の漂泊民・サンカ。彼らは戸籍を持たず、山から山へ旅の生活を続け生きていた。また竹細工やカゴ、箕(み)などを作り、川魚を獲り、それらを売ることを生業とし、山中と山里を行き来した。昭和30年代まで、山中の川原にテントやほったて小屋を建てて暮らしているサンカの姿がしばしば目撃されていたが、高度経済成長とともに減少し、そのほとんどが一般社会に溶け込んだといわれている。 |
杉田雷麟 小向なる 飯田基祐 蘭妖子 内田春菊 / 渋川清彦 白石優愛 五十嵐美紀 星野恵亮 渡邉純一 若松俐歩 増田敦
監督・脚本・プロデューサー 笹谷遼平
音楽 茂野雅道│撮影 上野彰吾(JSC)│照明 浅川周│美術 小澤秀高│録音 小川武│衣装 金子澄世 廣田繭子│
メイク 塚原ひろの│編集 菊池智美│助監督 葛西純│制作 橋本光生│アソシエイトプロデューサー 松岡周作
協力 伊参スタジオ映画祭実行委員会│製作 六字映画機構│配給・宣伝 マジックアワー
2022年/日本/カラー/1.85:1/5.1ch/77分 ⓒ六字映画機構