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『楽園』や『糸』などの瀬々敬久監督が、“映画を語る”配信番組「活弁シネマ倶楽部」に再登場

番組MCは映画ライターのSYOが担当し、現在公開中の監督最新作『明日の食卓』についてのトークを展開させました。

本作は椰月美智子による同名小説を映画化したもの。日常の崩壊を機に、その苛立ちを子どもに向けてしまう母親たちの姿を描いた作品だ。“石橋ユウ”という同姓同名の子どもを持つ、3人の母親たちの姿が丹念に綴られている。10年ぶりに映画主演を務めた菅野美穂をはじめ、高畑充希、尾野真千子ら実力派俳優陣が母親役をそれぞれ演じ、柴崎楓雅、外川燎、阿久津慶人らが“石橋ユウ”役に。そのほか、和田聰宏、大東駿介、山口紗弥加、藤原季節、渡辺真起子らが脇を固めている。
活弁シネマ倶楽部_明日の食卓

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監督最新作『明日の食卓』についてトーク

SYOは本作を鑑賞し、「鑑賞後にも、かなり引きずってしまう映画ですよね。俳優陣による“演技の強さ”もそうですし、自分の中にある“家族”というものの定義について、改めて考えさせられる作品でした」と、まず感想を述べている。瀬々監督は原作小説を初めて手にしたときのことを、「構成がミステリー仕立てであることに面白さを感じました。冒頭で虐待シーンが描かれていますが、原作者の椰月さんの筆致はとても柔らかく、そこにある温かさみたいなものに魅力を感じましたね」と振り返っている。

グローバリゼーションが進む一方で、世界中で分断の溝が深まっている昨今。瀬々監督は「“当事者性”がどんどん薄くなってきている。自分とは違う立場の人の身になって考えたりすることが少ない世界になっていると思う」と自身の考えを述べている。これを受けてSYOは、「本作を観ていて、特定の人物にだけ肩入れすることがなかったです。すべての登場人物の気持ちになって観ることができる作品だと思います」と、監督の「当事者性」の発言を耳にして納得しているようだ。

またSYOは、高畑充希が今回のような役を演じていることに新しさを感じたのだという。これに対して瀬々監督は「彼女は嘘がないというか、すごく実のあるお芝居をされる方ですよね。今回演じてもらった役にすごく合っているなと。キャラクターの足がちゃんと地についているというか、そんな印象を受けました」と返している。

「本作は、3つのエピソードが、やがてひとつになっていく物語ですよね。各エピソードが独立しているので、それぞれの“熱”や、お芝居のテンションの調整が必要なのではないかと思いました。どのようにされたのでしょうか?」とSYOが質問すると、「菅野さん、高畑さん、尾野さんと、自分に正直な方々だったなと思います」と答える監督。「自分自身が生きていることと、お仕事としてお芝居をすることが“イコール”の状態で演技に取り組んでいる方たちだったと思うんです。彼女たち演じ手が、役と自分とを切り離しているわけではなく、どこか繋がりがあり、本人たちの人生と演じる役の人生との重なりや、あるいは遠いところ、それらすべてをひっくるめて、『私がやっています』というようなレベルで勝負することができる人たちだったなと思います」と瀬々監督は続けている。映画制作における“取り組み方”や“姿勢”のようなものが共通する3人だったようだ。

そのほか、2017年公開の映画『最低。』でもタッグを組んだ脚本家・小川智子によるシナリオの魅力や、映画の構造としての“狙い”などについて大いに語り合っている。

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『明日の食卓』

大ヒット公開中

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あらすじ
石橋留美子、石橋加奈、石橋あすみの3人の母親たちは、“石橋ユウ”という10歳になる同姓同名の息子を育てていた。共働き、シングルマザー、専業主婦といった異なる家庭環境ながらも、皆息子を愛していた。しかし、ある日、3人の日常が不意に崩れていき……。
『明日の食卓』

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監督:瀬々敬久
原作:椰月美智子『明日の食卓』(角川文庫刊)
脚本:小川智子
主題歌:「Motherland」tokyo blue weeps
菅野美穂  高畑充希  尾野真千子
柴崎楓雅  外川燎  阿久津慶人 / 和田聰宏  大東駿介  山口紗弥加  山田真歩  水崎綾女  藤原季節
真行寺君枝 / 渡辺真起子  菅田俊  烏丸せつこ
製作幹事:WOWOW
制作プロダクション:トラヴィス 
配給:KADOKAWA/WOWOW 
(C)2021「明日の食卓」製作委員会 
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