大阪アジアン映画祭PD 暉峻創三が活弁シネマ倶楽部に登場3月5日(金)~14日(日)の10日間、ゲスト登壇などのイベントは見送られたものの、上映本数は例年から規模を縮小させることなく、フィジカルでの開催を無事に終えた第16回大阪アジアン映画祭。 今年の上映作品について、暉峻氏は「香港のプログラムでは『中国女子バレー』のような大作から、『夜番』のような作品まで、現在の香港映画を一挙に示すことができました。香港映画はまた新たな黄金時代が来つつあると感じています。面白い映画がたくさん出てきていて、かつ多様性がある」と語る。 グローバル化とローカル文化。徐が「コンペティション部門にノミネートした『いとみち』(横浜聡子監督)もその流れにある。日本映画の今後の可能性のひとつではないか」というと、暉峻氏は同意しながら「日本語といっても実は多様な言葉が使われていることに改めて光を当てた。方言の意味がわからなくても映画として感動できる点も素晴らしい」と評価。また石井裕也監督がオール韓国ロケで制作した『アジアの天使』をクロージングに選んだ経緯についても問われると、暉峻氏はいくつもの理由を挙げつつ「『いとみち』とは別の意味で日本映画のイメージを変えた作品で、石井裕也監督の新しい魅力が打ち出された」と日本映画界をけん引していく監督たちへの期待と信頼をのぞかせた。 |
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後半、話題はNetflixがアジア映画に与えた影響へ。暉峻氏は台湾映画や東南アジア映画の動向を引き合いに「Netflixは色々な点で変化を起こしてくれたと思っています。大阪アジアン映画祭とNetflixは選ぶアジア映画がわりと重なるんです。ある意味ではライバル関係になりますが、Netflixはいまのアジア映画にとってすごく大きな役割を果たしています。これまでのアジア映画界は中国大陸のマーケットで受け入れられることが最重要視されてきましたが、Netflixがあることによってその流れが変わり、新しい発展の可能性があると思います」と述べている。
最後に来年以降の開催について聞かれると「フィジカル開催を続ける方針は変わらない」と前置きしつつ「映画の配信が増え、さらに誰でも作品を配信することができる時代になっているからこそ、映画祭の本質である“作品を選ぶこと”の重要性が増していると思います。『この映画祭に選ばれたなら見よう』と思う動機になる、その信頼性だけは失わずに続けていきたい」と結んだ。 Netflixをはじめとする動画配信の躍進、グローバル化する世界で忘れられていくローカル文化への再評価の機運。激変の時代にあって進化し多様化するアジア映画を追い続ける大阪アジアン映画祭の姿勢を通して、映画と映画祭への揺るぎない信念がうかがえる必見のインタビューだ。 |
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