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大阪アジアン映画祭PD 暉峻創三が活弁シネマ倶楽部に登場

3月5日(金)~14日(日)の10日間、ゲスト登壇などのイベントは見送られたものの、上映本数は例年から規模を縮小させることなく、フィジカルでの開催を無事に終えた第16回大阪アジアン映画祭。
2009年(第4回)から同映画祭のプログラミング・ディレクターを務める暉峻創三氏が“映画を語る”配信番組「活弁シネマ倶楽部」に登場。番組プロデューサーでもある映画ジャーナリスト徐昊辰がインタビュアーを務め、話題はフィジカル開催への思いからアジア映画の最新傾向、そして動画配信が急速に普及する中で映画祭が果たすべき役割にも及んだ。
大阪アジアン映画祭PD暉峻創三が活弁シネマ倶楽部
2020年、世界中で新型コロナウイルス感染症が急拡大し、日本でも緊張感が日々高まる中で開催された第15回大阪アジアン映画祭は「世界的に見ても最初にコロナの影響を大きく受けた映画祭」だ。その後世界中で映画祭の中止、延期、オンライン開催が相次ぐ中、暉峻氏は「去年の経験が今年も劇場で開催できる自信の根拠になった」と話す。そして2021年、16回目を迎えた大阪アジアン映画祭も暉峻氏がフィジカルの開催にこだわり続けたのは「オンラインではできないことがある」から。
「アジア映画の場合、良くも悪くも海賊版に強い影響力があり、アジアの映画会社はオンラインに警戒感が強いので、ワールド・プレミアの作品などはオンラインでは上映できなかった可能性が高いです。オンラインにすると、大阪アジアン映画祭の特徴が失われてしまうんです」と暉峻氏はいう。加えて「映画を見るということは、その作品を見ているだけではなく、同じ場所にいる観客同士で感情を共有しあっていることにも大きな意味があると気がついた」ことも大きかったそうだ。

今年の上映作品について、暉峻氏は「香港のプログラムでは『中国女子バレー』のような大作から、『夜番』のような作品まで、現在の香港映画を一挙に示すことができました。香港映画はまた新たな黄金時代が来つつあると感じています。面白い映画がたくさん出てきていて、かつ多様性がある」と語る。
オープニング作品『映画をつづける』はそんな香港映画界のレジェンド、アン・ホイ監督を追ったドキュメンタリーだが「多くの人が苦しんでいる中、“自分の仕事を続ける”という勇気を与えてくれる。いまの時代にこそやるべき映画であり、大阪アジアン映画祭の姿勢も示せると思いました」と本作に対する熱意を振り返った。
さらに年々存在感を増す中国映画についても「グローバル化が急速に進む中でローカルな文化に目を向ける動きは中国映画も同様で、(昨年の興行収入世界1位を記録した)『八佰(原題)』がある一方でチベット映画やウイグル映画があり、中国の色んな姿が見えてくるプログラムになったと思います」と分析している。

グローバル化とローカル文化。徐が「コンペティション部門にノミネートした『いとみち』(横浜聡子監督)もその流れにある。日本映画の今後の可能性のひとつではないか」というと、暉峻氏は同意しながら「日本語といっても実は多様な言葉が使われていることに改めて光を当てた。方言の意味がわからなくても映画として感動できる点も素晴らしい」と評価。また石井裕也監督がオール韓国ロケで制作した『アジアの天使』をクロージングに選んだ経緯についても問われると、暉峻氏はいくつもの理由を挙げつつ「『いとみち』とは別の意味で日本映画のイメージを変えた作品で、石井裕也監督の新しい魅力が打ち出された」と日本映画界をけん引していく監督たちへの期待と信頼をのぞかせた。

映画情報どっとこむ ralph 後半、話題はNetflixがアジア映画に与えた影響へ。暉峻氏は台湾映画や東南アジア映画の動向を引き合いに「Netflixは色々な点で変化を起こしてくれたと思っています。大阪アジアン映画祭とNetflixは選ぶアジア映画がわりと重なるんです。ある意味ではライバル関係になりますが、Netflixはいまのアジア映画にとってすごく大きな役割を果たしています。これまでのアジア映画界は中国大陸のマーケットで受け入れられることが最重要視されてきましたが、Netflixがあることによってその流れが変わり、新しい発展の可能性があると思います」と述べている。

最後に来年以降の開催について聞かれると「フィジカル開催を続ける方針は変わらない」と前置きしつつ「映画の配信が増え、さらに誰でも作品を配信することができる時代になっているからこそ、映画祭の本質である“作品を選ぶこと”の重要性が増していると思います。『この映画祭に選ばれたなら見よう』と思う動機になる、その信頼性だけは失わずに続けていきたい」と結んだ。

Netflixをはじめとする動画配信の躍進、グローバル化する世界で忘れられていくローカル文化への再評価の機運。激変の時代にあって進化し多様化するアジア映画を追い続ける大阪アジアン映画祭の姿勢を通して、映画と映画祭への揺るぎない信念がうかがえる必見のインタビューだ。
大阪アジアン映画祭PD暉峻創三が活弁シネマ倶楽部

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