5月7日公開のドキュメンタリー『カルテル・ランド』。 メキシコ麻薬戦争の最前線で自ら麻薬カルテルに立ち向かう自警団の姿を追い、正義と悪の境界が消滅していくさまを映した衝撃のドキュメンタリーです。 その公開に先立ち、トークイベント付き一般試写会が行われ、昭和天皇パチンコ狙撃事件で知られる奥崎謙三を追った『ゆきゆきて、神軍』で世界に衝撃を与え、問題作を作り続けてきたドキュメンタリー映画監督の原一男教授が登壇してトークイベントが行われました。 日時:5月2日(月) |
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上映後、本作を「空前のハードボイルド・ドキュメンタリーの傑作である!」と評した原監督が登壇。会場でご覧になったばかり。
原監督:衝撃が消えません。 『ゆきゆきて、神軍』のなかで奥崎謙三さんが言う「私は正義の為になるなら正しいと思う暴力ならふるい続ける。」言葉が賛否を呼んだんです。それを擁護しようというのではありませんが、時の権力に対し、自分の命を懸けてという考え方はあるのじゃないかと思うんですよ。日本人よ戦え!と。そう思って映画を観たのですよ。 この映画で描かれているのは、自警団が悪の組織カルテルに対して立ち上がる。そして少しづつ大きくなって。。。と言うお話。銃を持って。それがパワーとなっていく。 銃もありだと思っていた私は、どうするべきか暗澹たる思いになりました。 そこで!あなたならどうしますか?自衛、自警の為の暴力で戦う。それともガンジーのような非暴力で戦う。どのようにと問いたいです。 映画の中で「自分が立ち上がれば、何とかできるかもしれない」と立ち上がりますよね。身に沁みますよね。日本人の一人として、みなさんはどう思いますか?と、思って観ないともったいない作品です。 |
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原監督:宣伝さんに質問に、その中に、ハイネマン監督は何を悩んで撮っていたと思うかってありましたが・・・
この監督何も悩んでないですよ。欣喜雀躍として撮ってたと思います。全編刺激的でこれは面白い映画になると。。 実はね。こういう映画を撮りたかったんです。 で、総括ですが、日本人として、あなたはどうするの?って原が言ってたとSNSで拡散してください。反感を持つ方もいると思いますが。それもありです。 と、熱く語り、問いかけるトークイベントとなりました。 今回、現在、原監督が撮られているアスベスト、水俣病のドキュメンタリーなどのお話も興味深かったのですが、映画とはかなり離れているので、今回は割愛させていただきました。作品完成した時にまたと言うことで。 |
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本当にこれはドキュメンタリー映画なのか!? その衝撃の完成度にやられろ。 『カルテル・ランド』 シアター・イメージフォーラム他5/7(土)、緊迫の最前線に潜入せよ! |
監督・撮影:マシュー・ハイネマン
製作総指揮:キャスリン・ビグロー(『ハート・ロッカー』『ゼロ・ダーク・サーティ』)
2015/メキシコ・アメリカ/100分
原題:CARTEL LAND
配給:トランスフォーマー
© 2015 A&E Television Networks, LLC
【原一男:プロフィール】
1945年、山口県出身。東京綜合写真学校中退。1970年、田原総一郎演出『日本の花嫁』に出演する。1972年に小林佐智子と共に「疾走プロダクション」を設立し、同年、脳性まひ者による障害者団体「全国青い芝の会」の活動を取材した『さようならCP』が完成する。1974年、沖縄に旅立った元恋人に肉迫した『極私的エロス・恋歌1974』を発表。1987年、『ゆきゆきて、神軍』でベルリン国際映画祭カリガリ映画賞とパリ国際ドキュメンタリー映画祭グランプリを受賞する。作家・井上光晴の晩年を追った『前身小説家』(94)で、キネマ旬報年間ベストテン第1位を獲得。2004年には初の劇映画『またの日の知華』を手がけた。現在、大阪芸術大学客員教授を務めている。