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辰巳芳子100歳記念上映
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河邑厚徳監督×松本春野登壇
辰巳との最初の出会い辰巳との最初の出会いを聞かれた松本は、「編集者から本を作ると依頼を受けて辰巳邸に行ったので、合意が取れている状況だと思ったら、ちゃんとした本物のものが作れるかどうかを聞かれたんです。『この話、まだ企画段階なの?』と、試されるような対面でした。辰巳さんは、最初のラフから、『そんなものなら出さなくていい』くらいの気持ちでいらっしゃるんです。対話を通して、何を伝えたいのかというのを確かめていきました」と苦労を話した。 辰巳が映画で描きたいこと河邑監督は、辰巳はその頃「『いのち』の目指すところは、『ヒト』が『人』になること」という言葉をずっと言っていたと話し、「『ヒト』が『人』になるのは愛だとおっしゃっるんですが、『それを映画にするって難しくない?』と始まったんです」、とこちらも企画の立ち上げ当初の苦労について述懐。「スープを柱として構成したいと思っていたんですが、辰巳さんに、『スープの湯気の向こうに見える実存的使命を描いてください』と言われました。カメラは目に見えるものしか撮れないので、人の中は撮れない。けれど、ドキュメンタリーというのは、その時その時に頭の中で考えているものじゃないものが力になる。“実存的使命”というのは、岡山(のハンセン病の女性)からきた手紙が象徴的でした」と宮﨑かづゑさんとの奇跡的な出会いを挙げた。 最後に・・司会を務めた矢内プロデューサーが、「本作のテーマは、12年経ってもみなさんに観ていただける普遍的なテーマです。辰巳先生は現在100歳2ヶ月で、みなさんの前にお出になることはできませんけれど、画面を通じて辰巳さんのメッセージをみなさんのお子さん、お孫さん、次の世代に伝えられるのが、映像・映画・本というメディア」と本作や松本の本の意義を訴え、トークイベントは終了しました。 |
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『天のしずく 辰巳芳子“いのちのスープ”』
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監督・脚本:河邑厚徳
出演:辰巳芳子
朗読:草笛光子
語り:谷原章介2012年/113分/カラー/デジタル
配給:ルミエール・プラス
©2012年 天のしずく製作委員会