ヌーヴェルヴァーグを代表する名優ジャン=ピエール・レオーを主演に迎え、『M/OTHER』『不完全なふたり』の諏訪敦彦監督が『ユキとニナ』から8年ぶりに撮り上げた、仏日合作作品『ライオンは今夜死ぬ』が絶賛公開中です。
鑑賞直後のお客さんの質問に諏訪敦彦監督自らが回答したQ&Aイベントが行われました。 トークイベント開催 |
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本作は、南仏を舞台に、死を演じられない年老いた俳優ジャンが、訪れた屋敷でかつて愛した女性の幻影と再会し、地元の子どもたちと共に映画制作をすることになる。やがて残された時間、ジャンは「死」と向き合い「生」の歓びを知っていく心温まるストーリー。
◉ジャン=ピエール・レオーから日本の皆様へメッセージ! 諏訪監督:敬愛する諏訪監督の作品で主演が出来て、とても嬉しいです。俳優として多くの人たちが直面する試練ともいえる“困難な課題”を、この作品に出演することで前向きに考えることができました。それはつまり、“いかに一人の俳優が神話から伝説になるか“ということです。ありがとうございました。 と、ゆっくりと言葉を紡いだ諏訪監督。 その姿はどこか劇中のレオーを彷彿させ、会場からは思わず拍手がおきました。 |
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◉Q&A では監督の本音がポロリ!
そんな中、Q&Aへ。 Q:本作はいろんなことを感じる映画でした。未来へのメッセージか?はたまた老いることへの前向きなメッセージなのか?諏訪監督自身はどういったことを伝えたかったのでしょうか? 諏訪監督:映画というものは“何かを伝えたい”為にある道具なわけじゃない。絵画だってどう思われるかを考えていないですよね?映画は人間が心理的に画面から何か感じることで初めてリンクするものだと考えています。 と我々からすると、目からウロコな発言を! 諏訪監督:この映画は見た人がいろんな見方をする映画です。『はっきりしてよ!』と思う人もいることでしょう。それもわかります。でも現実と映画は区切られていない。だから『こう思ってほしい』という具体的な思いはありません。みなさんがそれぞれ自由に、何かを感じて欲しい。だからそんな感想を聞けて嬉しいです。 と、監督が感謝を述べる場面も。 そしてフランスで行われた子供向けに行われた試写会で、彼らが好き勝手に感想を述べる姿が、自由で素晴らしいと思ったと語る監督。 諏訪監督:ジュリエットを見て、『あれは幽霊じゃない!だって手が透けないじゃないか』って言うのです。その自由さがいいですよね。 続いて、 Q:諏訪監督の中で、前作から本作を撮るまでの8年間。何があったんでしょうか。 諏訪監督:映画監督にとって8年というのはあっという間。時間が経ったという感覚はないけれど、自分の中に変化はあったかもしれません。『こんな明るい映画を撮ったのですか』と三浦友和さんにも驚かれましたけど、子どもたちとレオーのおかげで『何でもありだな!』と思えたことは、僕をいろんなものから解放してくれました。 と、監督の中の変化を経て本作が生まれた経緯を明かしました。 |
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◉ジャン=ピエール・レオーが本作への思いを綴った文章を監督が披露!
フランスのカイエ・デュ・シネマでジャン=ピエール・レオーがメールインタビューに応じ、その貴重な内容を披露した監督。監督自身が言葉の美しさに感動をしたという一節を読み上げました。 とジャン=ピエール・レオー自身が、自由溢れる子供たちとの共演に影響され、喜びに満ちた撮影だったと明かしました。 終了時間が過ぎても観客からの質問を丁寧に答えた監督。監督の口から伝説的俳優、ジャン=ピエール・レオーの多くの言葉を聞いた観客は大満足な様子でした。 物語・・・ 生きることは素晴らしく、死はふたたび出会う場所。 南仏コート・ダジュール。死を演じられないと悩む、年老いた俳優ジャン。過去に囚われ、かつて愛した女性ジュリエットの住んでいた古い屋敷を訪ねると、幽霊の姿となってジュリエットが彼の前に現れる。さらに、地元の子ど もたちが屋敷に忍び込んできて… 子どもたちからの誘いで突然はじまった映画撮影。撮り進めるうちに過去の記憶と向き合い、残された時間、ジャンの心に生きる歓びの明かりがふたたび灯されていく。 YEBISU GARDEN CINEMAほか絶賛公開中! |
監督・脚本:諏訪敦彦
出演:ジャン=ピエール・レオー、ポーリーヌ・エチエンヌ、イザベル・ヴェンガルテン
2017 年/フランス=日本/103 分
配給:ビターズ・エンド
© 2017-FILM-IN-EVOLUTION-LES PRODUCTIONS BAL THAZAR-BITTERS END