アジア初の国際ドキュメンタリー映画祭として、1989年から隔年で開催されてきました山形国際ドキュメンタリー映画祭は今年で記念すべき15回目を迎えます。開催概要及び、インターナショナル・コンペティション部門の15作品が決定しました。
■欧州から中東、北米、中米、アジア出身者まで多様な才能による作品を選抜! インターナショナル・コンペティション部門は、ベテランから新人まで応募可能で、今年は121の国と地域から応募された1,146本より厳選した15作品が上映されます。入選作品の特徴として、日本、アメリカ、中米の著名なベテラン作家の新作(フレデリック・ワイズマン、ジョン・ジャンヴィト、ラウール・ペック、原一男)が選ばれた一方、30歳前後の若手作家らによる、洗練された映像美や作家としての立場を追求した意欲作も並んでいます。15本のうち4作品がアジア作家によるもの(日本、インド、中国)で、日本人監督が2人揃うのは97年開催以来、20年ぶりの快挙となりました! |
|
■長期にわたって取材した長尺の映画が多く入選!
15作品中、上映時間が3時間以上の作品が4本入選しています。そのうち3本が、フレデリック・ワイズマン、ジョン・ジャンヴィト、原一男らベテラン監督によるものであり、時間をかけて対象と向き合い、調査し、まとめあげた揺るぎない真摯な姿勢と作品の完成度が評価されました。長尺の作品がコンペティションのラインナップに4本も入るのは世界の映画祭の中でも珍しく、劇場公開に向け短尺化が好まれる世界の映画業界の中で、商業性にこだわらず、見応えのある優れた作品を紹介し続けている本映画祭独自の姿勢が色濃く出ています。 |
|
■主要テーマの特徴
政府や雇用主、植民地主義による圧政・搾取、戦争、災害、公害、貧困など理不尽な環境に苦しむ底辺の人々の姿と生活に共感をもって迫る作品が多く入選しました。今そこにある貧困や苦難をいかに映像で表現するかという点に焦点を合わせた作品(『機械』『聖餐式』『また一年』など)がある一方で、 人々の苦難をより大きな歴史的観点から捉え、怒りとともにその由来と経過を説き起こす視野の広い作品(『私はあなたのニグロではない(仮)』『ニッポン国vs泉南石綿村』『航跡(スービック海軍基地)』など)もあり、苦難に弱者に寄り添うような作品群です。 東西を問わず人々が陥る社会/社交生活の闇に迫った作品が入選しました。 |