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公開記念トークイベント

 
ドイツ地方都市の小さなカンパニーだったシュツットガルト・バレエ団を一躍世界トップレベルに引き上げた天才振付家ジョン・クランコの半生を描いた『ジョン・クランコ バレエの革命児』が昨日、各地で劇場公開となりました。
『ジョン・クランコ バレエの革命児』
そして、3月13日(金)夜Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下にて映画上映後に行われたトークイベントには、東京バレエ団ゲスト・プリンシパルの上野水香が登壇し、作品の感想や振付家ジョン・クランコ、さらには映画に出演している現役のダンサー、フリーデマン・フォーゲルの魅力について語った。
『ジョン・クランコ バレエの革命児』
 
公開記念トークイベント
日付:3月13日(金)
場所:Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下
登壇:上野水香(東京バレエ団ゲスト・プリンシパル)
 

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上野水香登壇

 
上野はまず、映画を観て印象に残った場面について、ドイツ・シュトゥットガルトの街の映像を挙げた。実は上野自身、来週共演するシュツットガルト・バレエ団のダンサー、フリーデマン・フォーゲルとのリハーサルのため、つい先日までシュトゥットガルトを訪れていたばかりだという。映画には、上野が毎日のように通っていた劇場や道が映し出されており、「何度も訪れている馴染みの場所なのに、こんなに美しい場所もあったんだと改めて気づかされた」と語った。特に、劇場前でフォーゲルがアラベスクをしながら踊り始める冒頭のシーンについては、「クランコが未来を思い描く気持ちが、ダンサーの動きとして表現されているようで、とても美しい映像だった」と印象を語った。
『ジョン・クランコ バレエの革命児』
また、今回の映画では、実際にシュツットガルト・バレエ団で活躍する現役ダンサーたちが俳優として演技にも挑戦している点も見どころの一つだという。マルシア・ハイデ役を演じたエリサ・バデネスと後日会った際、上野が「演技もセリフもとても素晴らしかった」と伝えると、本人は「ドイツ語があまり得意ではないので、意味もよく分からないまま暗記して言っただけ」と話したという。これには上野も「そんなふうには全然見えなかった」と驚いたそうで、「普段は言葉ではなく身体で表現しているダンサーが、セリフを通して役を表現しているのは本当にすごいこと」と語った。そんな上野自身も最近、NHKのドラマ「替え玉ブラヴォー!」に出演したこともあり、バデネスに「シンパシーを感じ嬉しくなった」という。
 
さらに上野は、ジョン・クランコが振り付けた作品の魅力についても言及した。映画を通して、クランコが非常に感情の起伏の激しい人物であったことを知り、「その激しい感情が、あれだけ感動的な作品を生み出したのではないか」と感じたという。特に、彼が落ち込んでいる時にこそ優れた作品が生まれているように見える点について、「まるで破壊が創造につながっているよう」と印象を語った。
 
振付の特徴としては、ケネス・マクミラン(イギリスのバレエ振付家)の作品のようにアクロバティックなリフトや技巧的な動きで魅せるタイプとは異なり、クランコの作品には日常的な動作が多く取り入れられていることを挙げた。例えば「オネーギン」では、手紙を破くといったごく日常的な仕草が強い感情表現につながっている。「手紙を破くだけなのに、なぜこんなに涙が出てくるのだろう?誰もが経験する動作だからこそ、観客の心に強く伝わるのではないか」と語り、そうしたリアリティが観客を物語へと引き込むのではないかと分析した。
 
そして、本作でハインツ・クラウス役を演じているフリーデマン・フォーゲルついては、「身体条件も技術も本当に優れたダンサー。舞台に立つと一瞬で観客を惹きつけるチャーミングな魅力もあります。基礎や精度の高さも素晴らしく、46歳になった今もさらに磨かれていて、私にとっても大きな刺激を与えてくれる存在です。」と絶賛した。
 
最後に上野は、映画を通して芸術の世界の厳しさだけでなく、「愛情の力の大きさ」を感じたと語る。「そういう思いがあるからこそ、感動的な芸術が生まれ、舞台の上のダンサーと観客が通じ合うことができるのだと思う」と述べ、「自分自身もハートの部分を大切にできるアーティストでありたい」と語りトークを締め括った。
 

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上野水香 Profile

 
東京バレエ団ゲスト・プリンシパル
12月23日鎌倉生まれ。5歳よりバレエを始め、1993年、ローザンヌ国際バレエコンクールでスカラシップ賞を受賞した後、モナコのプリンセス・グレース・クラシック・ダンス・アカデミーに留学、首席で卒業。1995年牧阿佐美バレエ団入団。1997年『くるみ割り人形』の金平糖の役で主役デビューを果たす。以後、『白鳥の湖』、『眠れる森の美女』、『ドン・キホーテ』などの古典作品のほか、ローラン・プティの作品を数多く踊った。2004年東京バレエ団にプリンシパルとして入団。モーリス・ベジャールに直接指導を受け、故ジョルジュ・ドン、シルヴィ・ギエムらとともに『ボレロ』を踊ることを許された世界でも数少ないダンサーの一人となる。V.マラーホフ、M.ガニオ、J.マルティネズ、R.ボッレ、D.ホールバーグ、F.フォーゲル、L.サラファーノフ、I.コルプ、M.ゴールディング、J.べランガール、J.カレーニョ、N.ツィスカリーゼ、M.ムッル、D.カマルゴ、I.ゼレンスキー、M.ゴメスら世界のトップダンサーとの共演多数。2007年より神奈川県観光親善大使。2014年11月、2018年11月、2025年3月に自身によるプロデュース公演〈ジュエルズ フロム ミズカ〉を行った。2022年文化庁の芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。2023年より東京バレエ団ゲストプリンシパルとなる。2023年紫綬褒章を受章。
 
『ジョン・クランコ バレエの革命児』は、ドイツ地方都市の小さなカンパニーだったシュツットガルト・バレエ団を一躍世界トップレベルに引き上げ、“シュツットガルト・バレエの奇跡”と言われた天才振付家ジョン・クランコの半生を描いた作品。代表作「オネーギン」の誕生秘話と、45歳という若さで非業の死を遂げたクランコの半生と素顔が、シュツットガルト・バレエ団花形ダンサーたちによる卓越したテクニックと表現力によって彩られ、描かれる。情熱と革新的な才能にあふれ、バレエと人々に愛される天才ジョン・クランコを見事に演じたのは、『マレフィセント』(2014)のサム・ライリー。監督は長年にわたりシュツットガルト・バレエ団を取材し、演目のDVD撮影を担当するほど信頼関係の深いヨアヒム・A・ラングが務め、撮影はシュツットガルト・バレエ団の本拠地であるシュトゥットガルト州立歌劇場で行われた。さらに音楽はシュトゥットガルト州立管弦楽団が演奏しており、シュツットガルト・バレエ団の全面協力を得て、美と音楽に酔いしれる珠玉のバレエ映画が完成した。
 

■「上野水香オン・ステージ」公演詳細

@mizuka-ueno/index.html

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『ジョン・クランコ バレエの革命児』

 
2026年3月13日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
 
公式サイト:
https://johncrankojp.com  
 
公式X:
https://x.com/johncrankojp
 
『ジョン・クランコ バレエの革命児』
『ジョン・クランコ バレエの革命児』
 
物語・・・
ロンドンの英国ロイヤル・バレエ団やサドラーズ・ウェルズ・バレエ団で振付を手掛け、マーガレット王女との親交も深めるなど新進気鋭の才能として活躍していたジョン・クランコだったが、警察のおとり捜査によって同性愛行為の罪で起訴された。1960年、ロンドンを追われたクランコは、つてを頼ってシュツットガルト・バレエ団で客演することになった。偏見なく自分を受け入れてくれるシュツットガルト・バレエ団に居場所をみつけたクランコは翌年の1961年に芸術監督に就任し、既存の常識にとらわれず、自由な発想で美と情熱を完璧に表現する作品とカンパニーを作り上げていく。斬新な振付の「ロミオとジュリエット」は評判を呼び、プーシキンの原作を基にしたドラマティックバレエの最高傑作のひとつ『オネーギン』は観客を魅了し夢中にさせた。1969年、バレエ団はニューヨークのメトロポリタン歌劇場に招かれ、公演は大絶賛され、シュツットガルト・バレエ団は一夜にして世界の頂点へと駆け上がる。ソ連まで含む盛大な世界ツアーが行われ、まさに絶頂を極めるが、1973年6月26日、アメリカからの帰国する飛行機の中で悲劇が起きる。
 
『ジョン・クランコ バレエの革命児』
 

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【STAFF】
監督・脚本:ヨアヒム・A・ラング
【CAST】
サム・ライリー『マレフィセント』、マックス・シンメルフェニッヒ『恵まれた子供たち』、ハンス・ツィッシュラー『ミュンヘン』、ルーカス・グレゴロヴィチ『ベルンの奇蹟』 
【シュツットガルト・バレエ団CAST】
フリーデマン・フォーゲル、エリサ・バデネス、ジェイソン・レイリー、ロシオ・アレマン、ヘンリック・エリクソン 

ドイツ/2024年/138分/シネマスコープ/ドルビーSRD/カラー/ドイツ語/原題:John Cranko
配給:アット エンタテインメント  映倫:G 
© 2023 Zeitsprung Pictures GmbH

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