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黒沢清監督トークイベント

 
第46回を迎えるPFF(ぴあフィルムフェスティバル)が9/7(土)より開幕。
今年のPFF招待作品部門「自由だぜ!80~90年代自主映画」内の企画として本日9/11に実施された。特別上映企画「自主映画じゃないけど自由だぜ!「2本撮り」という技、「編集」という技」と題して、90年代の自由な映画作りを象徴する、黒沢清監督の『蛇の道』『蜘蛛の瞳』2作品を上映、今年1月に逝去した映画編集者で2作の編集を担当した鈴木歓(かん)氏を偲び、黒沢監督が登壇し創作秘話を語った。
PFF黒沢清監督第46回ぴあフィルムフェスティバル

映画情報どっとこむ ralph 黒沢清監督
 
2作品の上映後に登場した黒沢清監督は開口一番、「自分の作品は必要でなければ観ることがないんです」と語り、「『蛇の道』は必要があったので見返しましたが、『蜘蛛の瞳』は公開以来、数十年ぶりに観ました」と明かした。
PFF黒沢清監督第46回ぴあフィルムフェスティバル
2作品の撮影について、「『蛇の道』『蜘蛛の瞳』の順番で、2週間ずつ撮影、間に1日休みをとって、トータル1ヶ月くらいで作っています。2本撮りのシステムで、主演の哀川翔さんとスタッフは全く同じで、内容やキャストは哀川さん以外はガラッと変えました。哀川さんも楽しんで嬉々としてやられていた印象があります。
僕の記憶では、撮影は気持ちよくできで楽しかったのですが、脚本が大変でした。2作とも自分では書く時間がないので、『蜘蛛の瞳』は西山(洋一)さんにプロットをお願いし、『蛇の道』は高橋(洋)さんが脚本を進めてましたがなかなか出来ない。なんとか撮影にこぎ着けた感じです(笑)。
『蜘蛛の瞳』は自分自身があっという間に書いた脚本だったけど、プリミティブな欲望が詰まっていると理解してもらい、撮影は自主映画のような自由で楽しい現場でした。いくつかのシーンはアドリブのように撮ったり、シナリオ通りではありますが、現場で変えることもありましたし。なぜ成立したかというと、それは俳優やスタッフたちとの信頼関係です。どんなものが出来上がるか分からないけれど必ず完成するという確信がありました。信頼関係だけで作り上げた2作品ですね」と当時の撮影を振り返った。
 
自身の作品を改めて観た感想を聞かれると、「哀川翔さんは凄い方だと改めて思いました。『蛇の道』の直後に撮った『蜘蛛の瞳』で全く違うキャラクターとして成立しているのは流石です。撮影時は「(2作について)全然違いますね」と言いながら、それを楽しんで演じてくれました」と語り、『蛇の道』で主人公が難解な数式を書き連ねる印象的なシーンについては、「哀川さんはあの数式を完璧に覚えて演じていたんです」と驚きのエピソードも明かした。
数十年ぶりに見直したという『蜘蛛の瞳』については、「間違いなく北野武監督の影響を受けていますね。ダンカンさんが出演していることも大きいですが、割とためらいもなく素直に、北野風なことをやりたかったのだろうな、と感じましたね」と告白する場面も。
PFF黒沢清監督第46回ぴあフィルムフェスティバル
 
『蛇の道』『蜘蛛の瞳』などをはじめ黒沢監督作の編集を担当した鈴木歓氏については、「歓さんには、僕がVシネマをやり始めた頃から編集をお願いしていて、『CURE』や『カリスマ』などもご一緒しました。いつも「どこまで切れるか」の競争を楽しくやってました。ただ、自然に起きたセリフの間は切らないんです。シーンの頭とお尻をどれだけ切れるか。切り方によって、次に何か起こりそうな気がするシーンになって、なるほど!となりましたね」と、鈴木歓氏との編集作業について語り、「歓さんがシーンを大胆に切ってくれるから、2本とも80分台の長さに収められました。逆に撮影のたむらまさきさんはうんと間をとる方だったので、撮影の現場ではたむらさんと「延ばすだけ延ばそう」と言いながら撮って、編集室では歓さんと「どしどし切ろう」って(笑)。そんなことをやって楽しんでいましたね」と撮影や編集にまで及ぶ映画作りの自由さを楽しんだエピソードを披露した。
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第46回PFF(ぴあフィルムフェスティバル)

 
国立映画アーカイブにて9/21(土)まで開催中。
生誕100年を記念した増村保造監督特集や、8ミリ映画全盛期の傑作を紹介する「自由だぜ!80~90年代自主映画」など映画祭でしか観ることのできない魅力的なプログラムが上映される。

【東京】

9月7日(土)~21日(土) 
会場:国立映画アーカイブ ※月曜休館

【京都】

11月9日(土)~17日(日) 
会場:京都文化博物館 ※月曜休館
 
https://pff.jp/46th/
 

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