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特別先行上映会

 
この度、4月24日より公開の映画『LOST LAND/ロストランド』。
その特別先行上映がkino cinéma新宿にて行われ監督の藤元明緒、俳優の河合優実が登壇しました。
『LOST LAND/ロストランド』特別先行上映会
 
特別先行上映会
日付:4月7日
場所:kino cinéma新宿
登壇:藤元明緒監督、河合優実

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藤元明緒監督、河合優実登壇

 
満席の会場を見渡す藤元監督
「すごいですね、これまで色んな国で上映してきたんですけれども、いよいよ日本上陸ということで嬉しく思っています」とあいさつすると、「撮影が1年半前で、すごく長い旅だったなと。皆さんの顔を見ていると、この物語がこれから届くんだという実感が湧いています。今日はベネチアの3倍緊張してます」と照れ笑いを浮かべた。
『LOST LAND/ロストランド』特別先行上映会
海外の観客の反応について問われた藤元監督は、「出演しているのは本物のロヒンギャの方々なのですが、ほとんどの観客がロヒンギャの人たちと会ったことがない中で、『このスクリーンを通して、彼らと出会えて嬉しい』という言葉を、どの国の方々も投げかけてくれました」と振り返った。

一方、本作の予告編ナレーションを務めた河合は、「わたしは予告編のナレーションを務めただけなんですが、『LOST LAND/ロストランド』を広めるアンバサダーとしてチームの一員という気持ちでおります」と挨拶。
『LOST LAND/ロストランド』特別先行上映会
本作を鑑賞した感想を問われると、「わたしも色んな映画を映画館に観に行くんですが、ここまで心が大きく動いて放心してしまう事って、なかなか年に何回あるかな、というくらい。大きな衝撃を受けました」と告白。「その時の気持ちをどう表せばいいかわからないんですけど、とにかく心が大きく動いたのを今でも覚えています」と振り返った。

本作には200名以上の実際のロヒンギャ難民が出演しているが、中でも主演を務めた姉弟の演技は世界中で絶賛されている。彼らのキャスティングについて藤元監督は、「ロヒンギャの方でプロの俳優はいらっしゃらないんですが、たまたま海外で取材活動をしている時に、僕の近くでウロウロ遊んでた子どもが、弟のシャフィくん。本当に一目惚れでしたね。当時彼は、4歳ぐらいだったんですけども、すごく彼に惹きつけられて。イメージが湧いたんです。そこで彼の家について行ったところ、お姉ちゃんが出てきたんですけど、お姉ちゃんもすごく素晴らしくて。2人とも本当に太陽みたいな輝きを放っていて、きっとこの映画を引っ張ってくれるに違いないっていうインスピレーションが湧いたんです」と明かす。

そんなふたりの演技を河合も「見ている時はとにかく物語に引き込まれて見ていましたし、実際のロヒンギャという民族の方にどういう風にお芝居をしてもらい、どうやってこの映像が撮られたんだろうと。考えれば考えるほどわからない。そのぐらい素晴らしい現象が映っていました」と、その自然すぎる振る舞いに驚嘆したという。

河合の疑問に対し、藤元監督は「本当に特別なことはしていないんです」と語りつつ、「淡々と説明していくだけなんですが、ただ映画の脚本をロヒンギャの文字に訳すということができないと言いますか、文字でのコミュニケーション文化が一般的ではないので、すべて台本を渡さずに口頭で説明していきました。今はこういう状況だから、と大まかなことだけを言って。出演してくれている人たちが自由にその場で発言したり動いたりするというスタイルでしたね」と説明する。

さらに感情面の指示についてもなるべく言わないようにしていたとのことで、「僕から言えるのは本当に1、2行で説明できるシンプルなことだけ。その環境に合わせて彼らがどう反応するのかを、僕らがドキュメンタリーのように見つめ続けていくという撮影スタイル」と明かした。

これに対し河合は、「感情的な指示をしないとおっしゃっていましたが、それでも彼らの中で何かが確実に心の中で動いている、という顔をずっとしているので、どうやってやっているんだろうと、すごい不思議だったんです」と述べつつも、ベルギーの映画監督、ダルデンヌ兄弟と会った際に彼らが話した「リハーサルをかなり行い、体の動きだけを決める」という言葉を思い出したという。「今日聞いている話がそれとすごく繋がって。ドキュメンタリーみたいにリアルに見えるのって、本当に即興を撮ることとはちょっと違うんだろうなと思いました」と、世界的巨匠との共通点に深く納得した様子を見せた。

さらに藤元監督も「最小限、導いているんですよね。『この動きとこの動きはしてください』ってポイントだけを言っている形です。でも当然彼らは幼いんで、全然違うとこにも行きますし。そこはフレキシブルにやっていったという形ですね」と付け加えた。

そしてトークの後半では、1月にバングラデシュのロヒンギャ難民キャンプを訪れた二人の写真がスクリーンに投影された。藤元監督から「ミャンマーから迫害を受けた人が避難していくのがこの難民キャンプで。僕が聞いた時は確か120万人以上が住んでいて、毎年10万人以上が避難してくる。そして毎年4万人の赤ちゃんが生まれていくのに面積はそのまま。密度がすごいんです。その中で食料、医療、教育、人間的な生活に必要なものが圧倒的に足りていないという現実を目の当たりにして、本当に重大なことが起きているんだなと衝撃的でした」と過酷な現状を説明。

キャンプ内の住居は「シェルター」と呼ばれているとのことで、「ここに住んでいるわけではない、という建前を守るために、恒久的なものを作ってはいけない、一時的なシェルターしか作ってはいけないというルールになっていて。実際は何年も住んでるんですけど、小屋以上家未満みたいな簡易的なところ」だと明かす河合。藤元監督も「すごく燃えやすいので火災が起きて、避難先でも安全ではないという状態が続いている」と深刻な状況を訴えた。

さらに現地を共に訪れた河合が「行く前に情報として、品川区ぐらいの広さに100万人以上が住んでることや、人々が抱えきれないことが起きてるというのは分かっていても、やっぱり行くと、子どもたちや家族がそれぞれ暮らしているだけで、そこに生活や社会はできている。どうにかしなきゃいけないんだけど、そこに個人個人の人生があるんだなっていうのをすごく感じた」と実際に訪れたからこその実感を語ると、「今回演じてくれた姉弟も、ロヒンギャの人なら誰でも良かったわけではなくて、この才能ある2人だからできたことなんだなって。1人1人違うんだなということをすごく感じました」とふたりの姉弟の存在感についてあらためて感じ入っている様子だった。
『LOST LAND/ロストランド』特別先行上映会
そんな河合について、藤元監督は現地で気付いたことがあったという。「最初は膨大な情報量に圧倒されて言葉を発する状態じゃなかった中で、3日目に河合さんが同じ年ぐらいの女性と交流した時に、何か一つスイッチが入ったような気がしたんです。キャンプというと、社会を大きく捉えようとするんだけど、だんだん個人との結びつきになっていくみたいな形だった」と振り返る。

河合は「シェルターを見せてくださった女性が1人いて、これ以上この人といれないんだということも辛いというか。私はただ訪問して見学しただけで、2時間しかいることができなかった。だから心は一瞬通ったかもしれないけど、この人は難民であり私は日本に帰らなきゃいけないということもより強く感じた」と現地で感じた無力感と葛藤を吐露しつつも、「でもやっぱり、映画もすごい同じ力があると思います。パーソナルな話は自分ととても近く感じると思うので」と映画というメディアが持つ力に希望を感じているようだった。

そしてイベントの終盤、これから映画を観る観客へ向けて藤元監督が「ある種、日本ではない、日本語も出てこない映画ではあるんですけれども、本当に同じ、変わらない人たちが熱意を持って、それぞれの物語を持ち込んでくれた。監督だけでなく色んな出演者、スタッフの思いが集まった、魂を込めた作品ですので、ぜひ皆さんに受け取っていただけたら」と呼びかけると、河合も「映画自体は難しい映画ではないと思うので、本当に誰でも見ることができると思いますし、もし気に入ったらおじいちゃんでも子どもでもお勧めしてほしいなと思います。自由にご覧ください」と笑顔でイベントを締めくくった。
 
イベント後には、藤元監督にサインを求めて長蛇の列ができ、オリジナルチャリティトートバッグは完売。『LOST LAND/ロストランド』のメッセージは、鑑賞後の観客の心に届き、それぞれが今、現実で起きているロヒンギャの人々のことを考えるきっかけとなった。
 

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河合優実インタビュー映像

 

 

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映画『LOST LAND/ロストランド』

 
4.24(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、kino cinéma新宿、ポレポレ東中野ほか全国公開
 
公式サイト:
lostland-movie.com
 
故郷を追われた難民の幼い姉弟が、家族との再会を願い、命懸けで国境を越えていく──
 
世界三大映画祭の一つである第82回ベネチア国際映画祭オリゾンティ部門にて日本人監督初の審査員特別賞をはじめ、各国の映画祭で続々と受賞を重ねる本作。“世界で最も迫害されている民族の一つ”といわれるロヒンギャ難民たちが、総勢200名が出演する長編映画は世界初。故郷を追われた実際の当事者である彼らの声と眼差しは、演技未経験ながらも、映画の世界に圧倒的なリアリティと強度を与えている。監督・脚本を務めるのは、移民の物語を描いた『僕の帰る場所』(2017) 、『海辺の彼女たち』(2020)で、大島渚賞や新藤兼人賞を受賞し、国内外で注目を集める藤元明緒。実話をもとに、息を呑むような容赦のない現実と子どもの温かな幻想が入り混じる世界観の中、難民たちが辿る旅路を映し出す。
 

 
物語・・・
難民キャンプで暮らす5歳のシャフィと9歳の姉ソミーラ。二人は家族との再会を願い、叔母と共に遠く離れたマレーシアへ旅立つことに。パスポートを持てない彼らは密航業者に導かれるままに漁船へと乗せられる。自然の猛威や人身売買の危機に阻まれながらも、シャフィとソミーラは過酷な道のりを必死に乗り越えていく。
『LOST LAND/ロストランド』
 
藤元明緒監督Profile:
1988年、大阪府生まれ。ビジュアルアーツ専門学校大阪で映画制作を学ぶ。在日ミャンマー人家族を描く初長編『僕の帰る場所』(2018年)が第30回東京国際映画祭アジアの未来部門 作品賞&国際交流基金アジアセンター特別賞を受賞。2021年、ベトナム人技能実習生を描く長編第二作『海辺の彼女たち(日本ベトナム国際共同製作)』を公開。同作品はPFF第3回「大島渚賞」、2021年度「新藤兼人賞」金賞、第13回TAMA映画賞最優秀新進監督賞、第31回日本映画批評家大賞・新人監督賞などを受賞。主にミャンマーなどアジアを舞台に合作映画を制作し続けている。

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予告編ナレーション:河合優実
脚本•監督•編集: 藤元明緒
出演: ムハマド・ショフィック・リア・フッディン、ソミーラ・リア・フッディン 他 / 撮影監督: 北川喜雄 / 音響: 弥栄裕樹 / カラリスト: ヨヴ・ムーア / 音楽: エルンスト・ライジハー / 助監督: 川添ビイラル / 撮影助手: 吉田寛 / 水中撮影: 河瀬経樹 / DIT: 香月綾 / エグゼクティブプロデューサー: 國實瑞惠、安川正吾 / プロデューサー: 渡邉一孝 / 共同プロデューサー: アンジェル・デ・ロルム、スジャウディン・カリムディン、エリス・シック クリスチャン・ジルカ / コンサルティング・プロデューサー: エリック・ニアリ / 宣伝プロデューサー:伊藤敦子 / 企画・制作: E.x.N / 製作: E.x.N、鈍牛倶楽部、キネマトワーズ / 共同製作: PANORAMA Films、Elom Initiatives、Cinemata、Scarlet Visions / 特別協力: シネリック・クリエイティブ / 配給: キノフィルムズ / 宣伝: ミラクルヴォイス
2025年 / 日本=フランス=マレーシア=ドイツ / ロヒンギャ語 / カラー / 1.5:1 / 5.1ch / ドラマ / 99分 / DCP
©2025 E.x.N K.K.
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