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海に行き、靴を買い、恋をする?

都会の喧騒から遠く離れて、水辺の街で1週間のヴァカンス。

永岡俊幸監督作品『クレマチスの窓辺』

が、4月8日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開となります。

喫茶店で、海辺や湖畔で、家の庭でだらだらとおしゃべり。街中で知り合いにばったり会っちゃってまたおしゃべり。少し長い休暇を田舎の古民家でゆったり過ごす。もしかしたらちょっとした事件があるかも。

この度、公開を前に、監督・共同脚本・編集の永岡俊幸のオフィシャルインタビューが届きましたので、ご紹介。
『クレマチスの窓辺』永岡俊幸監督

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永岡俊幸インタビュー

Q.「クレマチスの窓辺」を着想したきっかけを教えてください。
ヴァカンス映画を撮ってみたいと思っていました。休暇の中でいろいろな人に出会ったり、発見があったりするような物語を。きっかけになったのは、2018年12月、とある映画祭の会場で、今回共同で脚本を書いた木島悠翔君に声を掛けてもらったことです。話をして、お互い島根県出身であることが分かりました。その後、何度か彼とやりとりをするうちに「島根で映画を撮りますか」という計画が持ち上がり、松江を舞台にヴァカンス映画に挑戦しようと決めました。

Q.1週間を1日ずつに分けて描いています。作中のエピソードには監督の実体験も含まれていますか。
脚本を書くにあたって島根県松江市を訪れシナハン(シナリオハンティング)しました。「絵里は○日目にはこんなことをする」という方向性だけは大まかに決めていました。シナハンで市内を散策したり、毎晩のように飲みに出たりして、いろいろな人に話を聞いたりしながら具体的な内容を固めて最終的な台本を仕上げました。例えば、古墳を訪れるシーンで星能豊さん演じる向井慎一は石室に向かって手を合わせて拝みます。ロケハンに行った時、古墳を管理している方が手を合わせて拝んでいるのを僕自身が目の前で見たので、その経験を盛り込んでいます。細かな部分に関して言えばそういったところから生まれています。

Q.絵里役の瀬戸かほさんがほぼすべてのシーンに登場しています。瀬戸さんを選んだ理由を教えてください。
一言で言えば「絵になる」女優さんです。舞台となった島根県、松江市のロケーションに負けない雰囲気がある。瀬戸さんにはこれまで2度、僕の作品に出演していただきました。倉本結梨役を演じた小山梨奈さんも同様です。お二人には僕の演出手法なども分かっていただいているので、一番向き合いやすい女優さんです。「当て書き」とまではいきませんが、脚本自体は出演する女優さん、俳優さんに合わせて書きました。

Q.―その他の主要キャラクターのキャスティングについてはいかがでしょうか。
キャラクターを設定する時、演じていただく女優さん、俳優さんが同時に思い浮かびました。以前に映画祭で見たり、出会ったり、話をした方々です。島根出身のしじみさんには「花屋の娘」黒木夏子役を演じていただきましたが、実はこの役は最終稿の手前まで存在していなかったんです。たまたま、しじみさんと10年ぶりくらいに再会したことがきっかけになって「是非出演してもらいたい」と急遽、脚本に加え、誕生したキャラクターです。

Q.初めて、故郷の島根県、松江市を作品の舞台に選んでいます。
僕の出身地は島根県西部の益田市という街です。松江市にある松江工業高等専門学校(松江高専)に通っていましたが、単位が足りず3年で退学しています。今回シナハンで10年ぶりくらいに松江市を訪れました。島根県は東西に細長く「出雲」「石見」と言われるほど文化も言葉も違います。例えばですが、益田市を舞台にしてしまうと、客観的に撮ることはできなくなってしまうと思ったんです。松江高専時代は松江市内に住んでいましたが、中心市街地からは離れていたため、学生以外の「松江で暮らしている人」との交流はありませんでした。だからこそ、客観的に見られます。

Q.方言や地名など、島根と分かるものはあえて作中で排しています。どういった狙いからでしょうか。
映画を観ていただく人たちには、先入観なしに「どこか分からないけど、すてきな場所だな」と思ってほしかったんです。それとある種、現実世界から離れた、ここじゃない場所にしたかった思いもあります。「島根といえば・・・」で思いつく有名な観光地はいくつかありますが、それを出してしまうと一気に〝ご当地映画〟っぽいものになってしまいますし、実際そういう映画って多いですよね。僕はそういう映画を作ることは得意じゃないなと思いました。

Q.アドリブで生まれた演技を随所に取り入れています。監督ご自身、現場に脚本を持ち込まないことも多かったと聞きました。
現場でカメラテストをする時、瀬戸さんたちに動いてもらって、僕から「もうちょっとこうしてほしい」と注文を付けることもありますが、基本的には自由にやってもらいました。何回かそれを繰り返しているうちに、だんだんと脚本から変えたくなっちゃうんですよね(笑)。脚本上はシーンが終わっているんだけど、カットの声は掛けず、演技を続けてもらうことが多かったです。結果的に、おもしろいものが生まれれば採用、そうでなければばっさりカットといった具合でした。完成した作品にその自然な雰囲気が少しでも出ていればいいですが。

Q.舞台は現代ですが、スマートフォンのような現代的な道具を画面上に登場させていませんね。
ロケハンで松江を訪れた時の僕自身の経験が関係しています。ちょうど松江の夏の風物詩「水郷祭」のタイミングと重なっていました。撮影でお借りした古民家の方とその友人の方々と、川辺でお酒を飲みながらご飯を食べ、きれいな花火を見ました。その時、誰もスマホを触っていなかったんです。普通ならきれいな花火を写真や動画で収めるのに。僕も自分のスマホの存在は完全に意識から離れていました。本当に濃い、面白い体験をしている時って(スマホなど)そういうものから遠ざかっていくんじゃないかな、と後で思いました。もともとの台本では何カ所かスマホは登場していたんです。だけど、その経験をした後、冒頭を除いてすべて削りました。そう思ってみると、絵里は僕自身だったのかもしれません。僕自身が体験し、感じたことが絵里を通じて現れていますね。

Q.見どころはどこだと思いますか。
ロケーションとキャストの皆さん、そして衣装がとてもマッチしていると思います。衣装や小道具など色の配置は、あるものの中で可能な限り考えました。目に優しいものになっているはずです。また、7日間の休暇の中で、絵里が少し変わったなと思えるような場所があるので、そういったところも楽しめると思います。

Q.読者にメッセージをお願いします。
このコロナ禍だからこそ観ていただきたい作品です。タイトルにもあるクレマチスという花の花言葉に「旅人の喜び」というものがあるのですが、それを劇場でご体験いただけると思います。

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『クレマチスの窓辺』

4月8日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開

4月8日(金)から4月14日(木)まで夜に上映されることが決まっているヒューマントラストシネマ渋谷では、初日と2日目の舞台挨拶が決まっている。 4月8日(金)夜 瀬戸かほ、里内伽奈、小山梨奈、永岡俊幸監督 4月9日(土)夜 瀬戸かほ、福場俊策、サトウヒロキ、小川節子、永岡俊幸監督

Twitter:
@clematis_madobe

Facebook:
@clematismadobe

Instagram:
clematis_madobe

風光明媚な島根県オールロケで日本発のヴァカンス映画を監督したのは、本作が劇場デビュー作となる永岡俊幸。主演はモデルとして活躍し、「愛の小さな歴史 誰でもない恋人たちの風景 vol.1」などで女優としてもいま注目を集めている瀬戸かほ。そして、街で出会う人々を個性豊かな俳優陣が演じる。1970年代の日活映画で活躍した伝説の女優・小川節子の約45年ぶりの復帰作となる。主題歌「まどろみ」は、島根県出身のシンガーソングライター・山根万理奈による書下ろし曲。

あらすじ
東京生まれ東京育ちの絵里は、ストレスが溜まる都会での生活を抜け出して、地方の水辺の街でヴァカンスを過ごすことに。亡くなった祖母の古民家で暮らす1週間の中で、絵里はその街で生きている人々と交流する。建築家の従兄、そのフィアンセ、大学生の従妹、靴職人、古墳研究者、バックパッカーなど、一癖ある人ばかり。そんな出会いと祖母の遺したものたちが絵里を少しだけ変えていく
クレマチスの窓辺

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瀬戸かほ
里内伽奈 福場俊策 小山梨奈 ミネオショウ 星能豊 サトウヒロキ 牛丸亮 宇乃うめの しじみ 西條裕美 小川節子
監督・編集:永岡俊幸
脚本:永岡俊幸、木島悠翔
プロデューサー:辻卓馬
主題歌:山根万理奈「まどろみ」
撮影:田中銀蔵 照明:岡田翔 録音・効果・整音:中島浩一 ヘアメイク:ほんだなお
衣裳:小宮山芽以 監督助手:長谷川汐海 制作進行:秋山友希 撮影助手:滝梓
車輌:西村信彦 タイトル・ヴィジュアルデザイン:東かほり
カラリスト・DCPマスタリング:清原真治 劇中音楽:ようへい、伴正人、sing on the pole
制作:Route9、focalnaut co.,ltd 配給・宣伝:アルミ―ド
協力:島根県観光連盟、松江フィルムコミッション協議会、松江観光協会
後援:ダブルクラウン、TROMPETTE
©Route 9  2020/日本/カラー/62分/ヨーロピアンビスタ/デジタル

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