心を揺るがす衝撃のヒューマン・サスペンス。
『紙の月』 その監督の吉田大八が、Apple Store,Ginzaの「Meet The Filmmaker」に登場、トークイベントを行いました。 今回は吉田大八監督のフィルモグラフィーを振り返りながら、CMディレクターから長編映画を撮るまでの変遷、最新作『紙の月』の創作活動についてのトークイベント。 |
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映画『紙の月』トークイベント「Meet The Filmmaker」概要 日 時:10月15日(水)19:00~20:00 会 場:Apple Store,Ginza/アップルストア銀座3Fシアター ゲスト:吉田大八監督 モデレーター:矢田部吉彦(東京国際映画祭コンペティション部門プログラミングディレクター) 今年の第27回東京国際映画祭のコンペティション部門に邦画で唯一、『紙の月』が選出されたことから、同映画祭同部門の熱きプログラミング・ディレクター矢田部吉彦氏がモデレーターで進行しました。 予約ですでに満席状態となった本イベント。 矢田部氏:CMディレクターとして映像の世界でキャリアをスタートさせた吉田大八監督は、20年経って初監督作品『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』で長編映画監督デビューですが。 監督:CMロケに行くときにいつも文芸集を買うんですが、そこに本谷有紀子さんの原作が入っていて、読み終わったあと『面白かった』というよりも映画が出来た気がしたんです。 と語り、ご本人に企画を持ち込んで、一緒に仕事をしていたスタッフが乗っかってくれたことで、意外と順調に進んだと。 監督:映画作りをどうやっていいか最初わからなかったけれど、撮影が終わって編集をしてみて、ある程度の手応えは感じた。 今の監督の地位を確立する布石が当時すでに出来ていたことを思わせる言葉に客席も納得の表情。 |
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続けて 矢田部氏:『クヒオ大佐』『パーマネント野ばら』とヒット作を生み出し、どの作品にも「どこかで自覚しながらも勘違いをしている女性像」という共通性があるのでは? 監督:意図しているわけではないんです。現実とギャップがあるキャラクターというのは考えています。 と率直に語りました。 |
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本題の『紙の月』の話になると、吉田監督がさらに雄弁に。プロデューサーから企画が来たときには、
監督:来たものを自分でどう打ち返すか」というのが自分のテーマと言い、「打ち合わせで無責任にしゃべっている間に自分の中で回路が出来上がったという。原作との違いに関して問われると「原作どおりだと回想が多くなって、映画として重くなると直感的に思ったんです。逆に銀行の中のシーンが多くなって、宮沢さん演じる梨花がどういう表情で、横領して破滅していくのかを見てみたかった。 そして宮沢りえさんの話に・・ 監督:宮沢りえさんという女優については一言で言い表せない。女優オーラがすごい。プロフェッショナルで、監督として信用してくれて、自分がどう映るかよりも映画として必要なことを完璧にこなしてくださった。 監督:梨花が普通の主婦から、銀行員としてパートから契約社員になって、横領に手を染めて、それがどんどんエスカレートして…と、彼女の表情の変遷が見て取れるんですが、順撮りできなくて撮影しているときもなんとなくうまくいってる気がしたんですけど(笑)、編集でつないでみてビックリ!表情がちゃんとつながったいるんです。 と語りました。 |
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監督:自分史上、最大に音楽を使っている作品」と違う角度からのアピールもしつつ「自分の中でこういう作品と言いたくないんです。観る方によって違う作品になると思っているので、自分でも早く新しい『紙の月』に出会いたいです。公開したら、ぜひ観に来てください。
と締めくくりました。 最も美しい横領犯 『紙の月』 11月15日(土)全国ロードショーです! 公式サイト:http://kaminotsuki.jp |
気になる「紙の月」物語は・・・
バブル崩壊直後の1994年。夫と二人暮らしの主婦・梅澤梨花は、銀行の契約社員として外回りの仕事をしている。気配りや丁寧な仕事ぶりが上司や顧客に評価され、何不自由ない生活を送っているように見えた梨花だったが、自分への関心が薄い夫との間には、空虚感が漂いはじめていた。
そんなある日、梨花は年下の大学生・光太と出会う。光太と過ごすうちに、ついに顧客の預金に手をつけてしまう梨花。最初はたった1万円を借りたつもりだけだったが、次第に金銭感覚と日常が少しずつ歪みだし…。
原作:「紙の月」
(角田光代・角川春樹事務所刊/第25回柴田錬三郎賞受賞)
監督:吉田大八
(『桐島、部活やめるってよ』『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』)
脚本:早船歌江子(『ラッキーセブン』『未来日記』)
制作プロダクション:ROBOT
配給:松竹
出演:宮沢りえ、池松壮亮、大島優子、田辺誠一、近藤芳正、石橋蓮司、小林聡美
主題歌:ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ『Femme Fatale』(ユニバーサル ミュージック)
(C)2014「紙の月」製作委員会