五輪ファーストの陰で・・・強制退去させられた都営霞ヶ丘アパート住民の最後の生活の記録から、五輪ファーストの陰で繰り返される排除の歴史を描くドキュメンタリー『東京オリンピック2017 都営霞ケ丘アパート』が、東京ドキュメンタリー映画祭 特別賞受賞を経て、2021年8月13日(金)よりアップリンク吉祥寺ほか全国ロードショーとなります。 この度、2014年から2017年の住民たちを追った青山真也監督のオフィシャルインタビューと川瀬慈(映像人類学者)とジェーン・スー(コラムニスト/ラジオパーソナリティ)の推薦コメントが到着しました。 |
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青山真也監督のオフィシャルインタビュー・本作の制作の理由をお教えください。 ・撮影は、手持ちカメラで人物を追ったり、インタビュアーがインタビューして誘導したりする形ではなく、固定カメラで実際に起こることを淡々と記憶していく形ですが、そのようにした意図をお教えください。 ・タイトル『東京オリンピック2017都営霞ヶ丘アパート』に込めた想いをお教えください。 ・冒頭、テレビの取材班が、「オリンピック反対ということはテレビでは放送できない」と言っているところから始まりますが、あの映像はどうして撮れたんですか? ・『SAYONARA 国立競技場 FINAL “FOR THE FUTURE”』が開催された際、青山さんは、ブルーインパルスというよりは、観客の取材に国立競技場に行ったのだと思いますが、感じたことはありますか? ・私は東京のマンションに40年住んでいますが、アパートの住民たちが一緒に掃除をしたりする映像を見て、現代の東京の希薄なご近所関係にはないコミュニティがあったように感じました。取材していてどう思われましたか? ・アパートの下に青果店があって、「後で上に持って行っておいて」というのも新鮮でした。歩くのも大変な高齢者の方々が移転先で、同じようなサービスを受けられるか心配になりましたが、取材していて、どう感じましたか? ・読者の方にメッセージをお願いします。 |
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川瀬慈とジェーン・スーの推薦コメント到着川瀬慈 (映像人類学者)我々は絶対に忘れてはなるまい、互いに支え合いつつましやかに ジェーン・スー (コラムニスト/ラジオパーソナリティ)移り変わりの速い都会のど真ん中で、静かに佇む霞ヶ丘アパートが好きだった。東京は目のくらむような商業だけの街ではないことを体現するシンボルだと思っていた。外苑前を訪れることがあれば、青山通りから覗いてみたり、キラー通りから眺めたりした。「汚い住宅」だなんて思ったことは一度もない。年金受給者になったら、女だらけでここに住みたいと、ぼんやり夢見たこともあった。霞ヶ丘アパートには精神的に豊かな生活があることが、遠目からも分かったから。 |
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『東京オリンピック2017 都営霞ケ丘アパート』7月29日(木)までアップリンク吉祥寺&アップリンク京都にて先行上映中 公式ツイッター:https://twitter.com/TOKYO2017film
明治神宮外苑にある国立競技場に隣接した都営霞ヶ丘アパートは、10棟からなる都営住宅。1964年のオリンピック開発の一環で建てられ、東京2020オリンピックに伴う再開発により2016年から2017年にかけて取り壊された。本ドキュメンタリーは、オリンピックに翻弄されたアパートの住民と、五輪によって繰り返される排除の歴史を追った。 平均年齢が65歳以上の高齢者団地であるこの住宅には、パートナーに先立たれて単身で暮らす人や身体障害を持つ人など様々な人たちが生活していた。団地内には小さな商店があり、足の悪い住民の部屋まで食料を届けるなど、何十年ものあいだ助け合いながら共生してきたコミュニティであったが、2012年7月、このアパートに東京都から一方的な移転の通達が来た。 あらすじ |
監督・撮影・編集:青山真也
劇中8mmフィルム映写協力:AHA! [Archive for Human Activities/人類の営みのためのアーカイブ]
音楽:大友良英
整音:藤口諒太
配給:アルミード
2020 / 日本 / カラー / 16:9 / DCP / 80min ©Shinya Aoyama