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輝きを失った世界にはルールがあった。

土手と夫婦と幽霊_メインスチール
渡邉高章監督『土手と夫婦と幽霊』8月6日よりアップリンク吉祥寺ほかにてロードショーとなります。

小説家の「私」は、葬式の帰りに「高橋」に誘われて、土手沿いに住む「女」の元に行く。「私」は目覚めると、帰る場所もわからず、「女」の家に居座ることになる。思い出せない記憶、不味い食事、ぬるい風呂……輝きを失ったこの世界にはルールがあった。

男女の一つの最終形として、「夫婦」の姿にスポットを当てている。

夫婦とは?
その単純な問いかけは、映画をラブストーリーにも、ホラーにも、サスペンスにもしている。

この度、公開を前に、渡邉高章監督インタビューが届きましたので、ご紹介。
渡邉高章監督_土手と夫婦と幽霊

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渡邉高章監督インタビュー

Q.夫婦と幽霊の話にしたきっかけはありますか?

監督:当初、「土手と夫婦」というタイトルで、夫婦がもう一度歩き出すというシンプルな物語を考えていましたが、すぐに撮影に入れず、温めて色々と考えているうちに、様々な変化をして、最終的に幽霊が登場していました。私は作品の中で、ある種の境界線として「川」や「土手」をモチーフにすることが多いのですが、その世界観に浸食されていったような感じでしょうか。

Q.原作としてクレジットされている日下部征雄「土手と夫婦と幽霊」は、主人公の「私」が書いたという設定かと思います。メインキャストの皆さんには脚本の前に読んでもらったそうですが、どのような内容ですか?

監督:私(日下部征雄)が書いた約4万字の小説です。文庫本に製本してから俳優さんたちに渡しました。大まかな内容は基本的に映画と変わりませんが、主人公「私」の心情や、主人公が彷徨う世界観は、より細かく書き込まれています。
渡邉高章監督_土手と夫婦と幽霊

Q.タイトルにも関係してくるかと思いますが、モノクロで撮影した理由はどこにありますか?

監督:撮影時はカラーでした。当初衣装をモノトーンにしてと、色調をあまり派手にしないよう努めましたが、仮編で画を繋いでみると、思ったより多摩川には様々な色があり、自分がイメージしていたよりカラフルになっていました。それを消したいと思って、編集段階でモノクロに変換しました。結果的に、文学的な要素と相まって、相乗効果が得られたのではないかと思います。

Q.衣装に関してはどのようなこだわりがありますか?

監督:全体的には世界観を汲み取ってモノトーンで探しました。(主演の)星能豊君の衣装は、ご本人の希望で、ご自身で用意していただきました。物語に関係してくるので多くは言えませんが、衣装のカミフクモトジュン君が、(<高橋>役の)佐藤勇真君の衣装にビンテージのアロハシャツを幾つも用意してくれました。ちなみに、<高橋>のハットは私のパナマ帽です。

Q.〈私・小説家>役の星能(ほしの)豊さん、〈女〉役のカイマミさん、〈高橋〉役の佐藤勇真さん、〈髪の短い女〉役の小林美萌さんのキャスティング理由をお教えください。

監督:星能豊君は、2013年に製作した映画『くにこマイル』のオーディションからの付き合いです。以来、家族ぐるみの付き合いをさせていただいております。これまで何本も星能君を撮っていますが、毎度一緒に作品を作りたいと思わせてくれる俳優です。カイマミさんと初めて会ったのも、星能君と同じオーディションでした。実は、脚本の時点で、カイマミさんだけは想定がありました。〈女〉役は、カイマミさんしかいないと思っていました。今回承諾していただいて、本当に嬉しかったことを覚えています。佐藤勇真君は、それまでも短編映画に出てもらったり、映画祭で出会ったりということがあって、知らない仲ではなく信頼の置ける俳優さんでしたので、自然と今回〈高橋〉という役をお願いしました。小林美萌さんは4人の中では一番古い付き合いです。喜怒哀楽を表現するのがとても上手な方で、私は彼女の動きがあるお芝居がとても好きで、今回も色々とお願いしてしまいました。今回の撮影形態は、メインスタッフ私一人ということがあって、現場をいかに効率的に回すかは重要でした。そのために、現場での俳優さんとの演技に関するコミュニケーションを極力減らしたかった。よって、自然と以前から信頼の置いている俳優さんにお願いすることにしたのです。

Q. 日本芸術センター主催映像グランプリでグランプリを受賞し、湖畔の映画祭では主演俳優賞を受賞しましたが、受賞した際の感想をお教えください。

監督:「映像グランプリ」は、初めての受賞、それもグランプリだったこともあり、とても嬉しかったです。「映像グランプリ」は、毎回色々な映画祭で選ばれているような作品がノミネートされています。その中で本作の名前が最後に呼ばれた時は、すごく信じられないような思いでした。
「湖畔の映画祭」では、星能君と並んで授賞式に出席したのですが、星能君の名前を呼ばれた時に、彼が隣で泣いているのがわかったんです。その時に初めて、この作品を撮る意味があったというか、報われたと感じました。「映像グランプリ」でグランプリを受賞した時以上に嬉しかったのを覚えています。

Q.読者の方にメッセージをお願いします。

監督:本作は、モノクロでクラシックな風変わりな作風かもしれませんが、「生と死」、「この世」と「あの世」など、様々なテーマを内包した作品になっております。きっと皆様の心に何かを残せると信じております。お時間がありましたら、くれぐれも健康にご留意されたうえで、是非とも劇場に足を運んでいただければと思います。

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『土手と夫婦と幽霊』

8月6日(金)よりアップリンク吉祥寺ほかにてロードショー

公式サイト:
https://www.dotefufu.com/

Twitter:
@dotefufu
Facebook:
@dotefufu

主演はインディーズ映画に愛されてきた星能豊とカイマミ。
そして、これまでも渡邉高章監督作品において重要な役割を果たしてきた舟見和利、小林美萌、狗丸トモヒロ、佐藤勇真、由利尚子、そして、松井美帆が脇を固める。音楽は、映像や舞台のみならず「ドラゴンボール改」などTVアニメにも楽曲提供をしている音楽家の押谷沙樹。

国内では、第10回日本芸術センター主催映像グランプリでグランプリ、湖畔の映画祭2019で主演俳優賞(星能豊)を受賞。その後、アメリカ、ロシア、イギリス、ルーマニア、フィリピンなど海外映画祭を巡業するように上映され、受賞を重ねて、8月6日よりアップリンク吉祥寺にて、9月名古屋 シネマスコーレほかにてロードショーが決定している。

あらすじ
小説家の「私」は、葬式の帰りに「高橋」に誘われて、土手沿いに住む「女」の元に行く。「私」は目覚めると、帰る場所もわからず、「女」の家に居座ることになる。思い出せない記憶、不味い食事、ぬるい風呂……輝きを失ったこの世界にはルールがあった。
土手と夫婦と幽霊_ポスタービジュアル
【受賞歴】
・第10回日本芸術センター主催映像グランプリ2018 グランプリ
・湖畔の映画祭 2019 主演俳優賞受賞(星能豊)
・GENRE CELEBRATION FESTIVAL 2019 BEST DRAMA FEATURE WINNER・TOP INDIE FILM AWARDS 2019 BEST IDEA WINNER・EURASIA INTERNATIONAL MONTHLY FILM FESTIVAL 2019BEST ACTOR AWARD(星能豊) BEST ACTRESS AWARD(カイマミ)・SHORT FILM BREAKS 2020 SILVER ELEPHANT WINNER
・DREAMANILA INTERNATIONAL FILM FESTIVAL 2020 BEST FILM AWARD
BEST FEATURE FILM AWARD 2021 BEST FEATURE FILM AWARD

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< 出演 >
星能豊  カイマミ  
佐藤勇真  小林美萌
由利尚子  舟見和利  狗丸トモヒロ
中嶋定治  松井美帆  渡邉帆貴

< スタッフ >
監督・脚本・撮影・録音・編集:渡邉高章
原作:日下部征雄「土手と夫婦と幽霊」
音楽:押谷沙樹  スチール:田畑友子  題字:岡崎絵美
衣装:カミフクモトジュン(tone)・渡邉美帆  英訳:Union Pole  デザイン:TEAM66  
製作:ザンパノシアター  配給宣伝:アルミード
2018 / 日本 / モノクロ / 16・9 / ステレオ / 59分 / DCP © 2021 zampanotheater

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