「篠田正浩監督生誕90年祭『夜叉ヶ池』への道モダニズムポップアートそしてニッポン」松竹は、昨年2020年に、映画製作を開始して100周年を迎えました。その記念プロジェクトの締めくくりとして、1979年に公開した篠田正浩監督・坂東玉三郎主演作品『夜叉ヶ池』を4Kデジタルリマスター版として42年ぶりに蘇らせました。 7月7日(現地時間)カンヌ国際映画祭クラシック部門でワールドプレミア上映を無事に終え、ついに7月10日(土)にユーロスペースでの特集上映「篠田正浩監督生誕90年祭『夜叉ヶ池』への道モダニズムポップアートそしてニッポン」が始まりました。初日を記念して、主演の坂東玉三郎、篠田正浩監督が登壇し、満席となったお客様に向けて、作品への思いや撮影時のエピソードなどを語りました。 |
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坂東玉三郎、 篠田正浩監督が登壇『夜叉ヶ池』初日舞台挨拶昨年の夏、40年ぶりの再会を果たしたという二人。篠田監督は「玉三郎さんに会いたくて声をかけたら、彼も会いましょうということで。『夜叉ヶ池』はどうしてももう一度見せなきゃいけない映画じゃないかと、40年間密かに思っていました。この作品は坂東玉三郎という才能と情熱がなければつくれなかった。百合と白雪姫の二役を演じられるのは、私は坂東玉三郎しかいないと思いました」と言い、「玉三郎くん、ありがとう」と玉三郎に感謝を伝えました。玉三郎は「撮影中、監督も私もまだ若かった。40年経ったとも思いません。撮影中の日々をほとんど覚えているくらい、印象深いものなんです」と当時を振り返り、自身が演じた二役に対し「百合と白雪姫がいて一つの魂、学円と晃がいて一つの魂、みたいな形になると思うんですね。そういう意味で二役をやらせてもらいました」と続けます。 今回の4Kデジタルリマスター化について、玉三郎は「監督ともお話しし、明るいところは明るく、日照りのところは日照りのように、夜のところは暗くということができました。こういう形で皆さまに改めて観ていただけることはこの上ない、本当の意味での喜びです。本当に感謝しかない」と語りました。 篠田監督は撮影中の思い出を聞かれると「玉三郎さんが『池のほとりに柳があるでしょ。あの柳全然動いていませんよ。風がいりますよ』と言われました。大舞台を踏んで装置の一つ一つを、自分の目線でいつもつくってきた玉三郎くんだからこその素晴らしい感性。『夜叉ヶ池』は玉三郎なくしてはできなかったということを現場でも思い知らされました 篠田監督は「自分が映画監督として生まれ育った場所は、松竹大船以外のなにものでもない。本作は、あまり松竹の伝統ではない特撮と女形の映画。いろいろな才能が集まってこの映画をつくりました。これは映画界の越境者たちのユートピア映画だと思っています。この技術は、これからは永久保存のために活用していただきたい」と述べると、玉三郎も「映画というものでこそ、時を越えて観ることができるという喜びを感じております。至らぬ29歳の作品ではございますが、楽しんでいただければ」とお客様に呼び掛けました。 監督は特集上映について「『夜叉ヶ池』をつくるまでの間に、つくった映画です。私の青春でもあるし、最も振り乱して映画のなかに生きていた時の作品。もうあんな勢いをやれと言われても無理です」と言うと、会場もどっと盛り上がりました。 |
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≪篠田監督特集上映劇場公開情報≫2021年7月10日(土)~30日(金) ユーロスペースにて篠田監督特集上映! 『夜叉ヶ池4Kデジタルリマスター版』 トークイベント |
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映画『夜叉ヶ池4Kデジタルリマスター版』ブルーレイは7月14日水に発売です 発売日:2021年7月14日(水) |
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『夜叉ヶ池』1979/10/20(土)公開・4Kデジタルリマスター版2021/7/10(土)公開 あらすじ |
出演:坂東玉三郎、加藤剛、山﨑努、丹阿弥谷津子
原作:泉鏡花
脚本:田村孟、三村晴彦
監督:篠田正浩
製作:杉崎重美、富沢幸男、中川完治
撮影:小杉正雄、坂本典隆
特撮監督:矢島信男
音楽監督:冨田勲美術:粟津潔、朝倉摂、横山豊
照明:飯島博録音:平松時夫
調音:西崎英雄
編集:池田禅、山地早智子
監督助手:熊谷勲
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