思いを寄せる相手の心が可視化されて目の前に現れたとして、それは本当の相手の心なのか? それとも相手に焦がれる自分の願望なのか? それとも全く別の思いもしない、誰かの心なのか?
「もしも心を可視化できたら?」という着想から始まり、SF的要素と恋愛感情を掛け合わせ、観客の認識を静かに揺らす、不思議な「心」の恋愛映画『メカニカル・テレパシー』10月9日(金)よりアップリンク渋谷にてほか全国順次公開されます。 この度、本作主演の吉田龍一のインタビューが届きました。 |
|
Q. 本作への出演の経緯をお教えください。 関西だと、「映画=シネアスト・オーガニゼーション大阪(CO2)」という程知名度がある、映画の製作を行っている組織があって、関西で活動をしているのであれば、そこで1回はやってみたいという想いがあり、交流を持たせて頂いたのがきっかけです。石井裕也監督などが若い頃にそこで映画作りに励んでいらっしゃったので、登竜門ではないですけれど、そこで1度やってみたいと思って、オーディションから参加させて頂きました。 Q. その中から、最後の1人に選ばれたんですよね? はい、助成制度に、映画の1作の主演ができる俳優枠もあって、俳優が全国から集まって、オーディションをするんですけれど、200〜300人が集まって、ありがたいことに、その中から選んで頂きました。CO2は何十年も映画製作の取り組みをされていたんですけれど、ラストイヤーに選んで頂いて頂きました。 Q. 碧は、キャリアウーマンでありながら、「どうしよう、間に合わなかったら」という弱い部分のギャップも魅力的だと思いましたが、真崎は碧のどこに惹かれたと思いますか? 何か真崎に対して優しさをくれたからとか、見た目が綺麗だからだとかで惹かれたのではなく、碧さんが草一さんを必死に思い続けるその姿に惹かれたのではないかと思います。 Q. 碧役の白河奈々未さんとの共演はいかがでしたか? 白河さんはお綺麗な方なんですけれど、碧という役柄もあったからかわからないですけれど、最初は近寄りがたい印象があったんです。けれど、カメラが回っていないところだとか、クランクアップ後にお話しさせて頂いたら、すごくフレンドリーな方で、全然印象と違うんだと思いました。 Q. 実験で失敗して意識不明となっている碧の旦那さんの草一役の申芳夫さんとの共演はいかがでしたか? 申さんは、心が広いと言うか、とても穏やかな方で、優しくて、とても温かい方なんです。二人で芝居場に入っていく時に、演じて作られた草一と真崎で会話しているんではなくて、生身の二人でその場で会話できているような感覚がしました。撮影が終わった後に、申さんが、「いいなぁ。楽しいなぁ」と言ってくださったのがとても嬉しくて。僕が感じていたことと共鳴していたんだなと思いました。楽しかったです。 Q. 真崎に恋心を抱くアスミ役の伊吹葵さんとの共演はいかがでしたか? 芯があって、だけどガラスのように割れそうですごく透き通っていて純粋な印象を感じました。 Q. アスミとのシーンが、本作が言いたいことなのではないかと思いました。真崎も試されますが、そのシーンはどう取り組みましたか? 真崎もそうですし、登場人物みんな試されているような場面がめちゃくちゃあると思います。その試されている時に向き合うのかで先の答えが変わると思っていて、それって人生観に近いなと思います。そういうのを感じながら言葉を受けていました。 Q. 理事長役の青山雪菜さんは、宝塚歌劇団の元星組娘役スターですが、共演はいかがでしたか? お芝居では言葉をはっきり話す方で、強い印象を受けたんですけれど、それ以外のところでは、すごく謙虚で素敵な方でした。 Q. 印象に残っているロケ地はありますか? 海です。めちゃくちゃ綺麗でした。撮影は真冬だったんですが、神戸ってめちゃくちゃ寒いんです。真冬の外ロケだったので、ベンチコートを着てやっていました。 Q.完成した映画を見た感想はいかがですか? ラストシーンで電気が暗くなっていくんですけれど、黒くなって、情景の音だけが流れてくるんですね。その時に、自然と涙しました。「人やなー」とか、「こういうのって人生なのかな」とか、自分が大事にしていたいい思い出、今まで経験してきた思い出、楽しかった思い出が浮かんできました。 Q.本作は、大阪アジアン映画祭のインディ・フォーラム部門で上映されました。観客の反応はいかがでしたか? 知り合いの海外の方や国内の日本人の方だとかが一緒に観て下さいました。海外の方から「すごく興味深かった。人の本質的なところを描いている作品じゃないかと感じた」と言われ、とても嬉しかったです。 Q.本作で特に注目してもらいたい部分はありますか? 真崎は秀才で、社会的な世界に生きている人物なのですが、科学的根拠の説明・説得に重きを置いたコミュニティの中で、現代の社会や人の在り方に真崎がすごく重なりました。そういう人たちが自分のエゴとか自分たちの欲のために、目に見えがたいものを可視化すると、一体どうなるのか。何に気付いていくのか。全てを科学的な成長のために成功させることが正しいのかと言ったらそうではないこともあると思うんです。本来、人が人であるべき姿というか、信頼関係や絆って、人が大切にしなくてはいけない部分なのに、科学的な成功を優先させることによって、何か大切な物が消えてしまうんじゃないかなというのを感じています。物語だけでなく、そういうところも踏まえた上で観て頂けたら、より理解しやすいのではないかと思います。 Q. AbemaTVの恋愛リアリティーショー「さよならプロポーズ2」で吉田さんを初めて知った方には役者としてどのようなところを見てほしいですか? 「さよプロ」に関しては、「ナヨナヨして泣いてばっかり」とアンチもすごく多かったので、「少しは頑張っているんやぞ」という部分を見て頂けたら幸いです。 Q.webインタビューの読者にメッセージをお願いします。 命だとか心というものに対して、本質的なところが込もっている作品だと思っています。作品を通して少しでも自分の人生観だったり、今の社会であったり、何か気づきになったらと思います。それも踏まえて楽しんで頂けたらと思います。 |
|
本作は、大阪を拠点に、2004年より映像制作者の人材発掘を行っているシネアスト・オーガニゼーション大阪(CO2)の第13回助成作品で、第12回大阪アジアン映画祭 インディ・フォーラム部門及びアメリカのThe Philip K Dick Science Fiction Film Festivalに正式上映され、日本芸術センター第10回映像グランプリでは優秀映画賞を受賞した。
眠ってしまって目覚めない夫・草一。 https://mechatelemovie.wixsite.com/mechatele/ あらすじ・・・ |
出演:
吉田龍一
白河奈々未
申芳夫
伊吹葵
青山雪菜 / 石田清志郎 / 時光陸 / 松井綾香
長尾理世 / 竹中博文 / 古内啓子(声の出演)
監督・脚本:五十嵐皓子
撮影:中瀬慧 照明:加藤大輝 美術:松本 真太朗 衣装:蔭木いづみ ヘアメイク:榎本愛子
音楽:宇波拓 録音:川崎彰人 音響:川口陽一 編集:和泉陽光・五十嵐皓子
VFX:守屋雄介 助監督:吉原裕幸 制作担当:清水美和・根本克也
配給・宣伝 アルミード
2018 / 日本 / カラー / 2.4:1 / ステレオ / 78分
© Akiko Igarashi