2018年7 月14日(土)は、ベルイマンの100回目の誕生日!
この100年に1度の記念すべき日を祝して、世界各国の総勢25名に及ぶ有名監督・俳優たちがベルイマンへの思いを語る珠玉のドキュメンタリー『グッバイ!ベルイマン』を特別上映し、上映前にはベルイマンを愛してやまない菊地成孔さんをお招きしてのトークショーを実施。世界の巨匠たちとともに、ベルイマンの100歳の誕生日を熱く祝う特別なイベントとなりました。 |
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菊地さん:世界の名だたる巨匠監督が様々な影響を受けているのが、イングマール・ベルイマン監督です。ドキュメンタリー映画『グッバイ!ベルイマン 』でも、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、ミヒャエル・ハネケ、アン・リー、マーティン・スコセッシ、フランシス・フォード・コッポラ、リドリー・スコット、チャン・イーモウといった、錚々たる面々が登場し、ベルイマン への愛を語っていますが、その中でも、一番のベルイマン 好きは、ウディ・アレン。いつも屈折した表情を浮かべインタビューをうけている、ウディ・アレンが、今回は、とても愛に満ち素直に応じているんです。次に、ラース・フォン・トリアー。ただ、彼の場合かなり屈折していて、ベルイマンに対する偏愛がすごい。作風からして一緒にいたら大変な人だろうな、と感じていたけど、このドキュメンタリーで、トリアーがめんどくさい奴なのが全面にでています(笑)。ベルイマンは世界中の巨匠監督たちのインフルエンサー。ベルイマン作品を見ていなくても、影響を受けた多くの監督たちの作品からベルイマン 体験をしているんです。また、ベルイマンにとってのインフルエンサーは、かの黒澤明監督、というのも凄いことですよね。
ベルイマン生誕100年映画祭の上映作品でお薦めは、「魔術師」と「夏の夜は三たび微笑む」。なぜかというと、どちらも喜劇だから。 「夏の夜〜」は初期作品で、ゴダールが一番好きだと言ってる作品。はっきりと喜劇だと言える作品で、いわゆる艶笑喜劇、ポルノコメディですね。完璧な画面構築と脚本で素晴らしい、でも露骨にエロいんです。エロ笑わせ映画です(笑)。キスシーンなんて生々しくエロい。こんなことは、製作の1955年当時、もしアメリカなどでは許されないし無理です。北欧=エロい、という偏見のあった悪い時代があって、北欧だから出来た作品、ともいえる。シェイクスピア喜劇を意識してると感じますね。 ベルイマンといえば、神の沈黙とか暗くて辛くて重い作品ばかりのように思われてますが、この二作のように、笑いたいけどベルイマンだから笑えない!という喜劇もあるんです。なかなか出来ない特殊な経験だと思うので、ぜひ体験してほしいですね。 |
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『グッバイ!ベルイマン』 原題:Trespassing Bergman ベルイマンが暮らしたフォール島の自宅。「侵入禁止」の立て札が見える敷地内に、世界各国から集まった映画監督たちがカメラとともに入っていく…。 憧れの人が暮らした場所の空気に包まて高揚する者、ハリウッドのオフィスで冷静に分析する者。パリで、東京で、コペンハーゲンで…世界中の映画作家たちが敬愛してやまないスウェーデンの巨匠について熱く語り始める。ベルイマンの生涯とフィルモグラフィーの紹介も分かりやすく 、入門編としても最適な珠玉のドキュメンタリー。 監督:ヤーネ・マグヌッソン、ヒネク・パラス |
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「ベルイマン生誕100年映画祭」 7月21日(土)より、YEBISU GARDEN CINEMA ほか全国順次開催 公式サイト:
【上映作品】 配給:ザジフィルムズ、マジックアワー |