映画『ブラック・スワン』の振付で知られるバンジャマン・ミルピエ。彼の異端とも言える伝統に対する挑戦を圧巻の映像美で描き出す珠玉のドキュメンタリー『ミルピエ ~パリ・オペラ座に挑んだ男~』が、12月23日(金・祝)Bunkamuraル・シネマ他にて公開となります。
12月23日の公開に先駆け、その冒頭映像5分が公開。 映像前半は、2015年9月のシーズン初日に発表された新作「クリア、ラウド、ブライト、フォワード」の上演が、まさに始まろうとする開幕直前の舞台裏を捉える。トゥーシューズに綿を詰め、余念なくウォーミングアップに励むダンサーたちのまなざしからは、ピリッとした緊張感が伝わってくる。154名の中からミルピエが選抜した16名の若手ダンサーには、日本でも人気の高いレオノール・ボラックや黒人ハーフダンサーのレティツィア・ガローニの姿も映ります。 本国でも絶賛された、本公演は完成までにどのような道のりを辿ったのだろうか。映像後半では、公演40日前へと時間が巻き戻る。世界的クリエイターのニコ・マーリーの曲を聴きながら、インスピレーションを働かせ、ミルピエは振り付けのアイディアを書き留めていく。その後、実際に自らが体を動かし、さらなるシミュレーションを進めていく。そばで密着しているカメラの存在を気にする素振りもなく、純粋な創作への喜びがにじみ出てくるような表情が印象的だ。ミルピエはノートへの記録やスケッチ、動画撮影、写真などを駆使しながら構想を深めていくが、 「瞬間の美しさをイマジネーションだけでとらえるのは困難だ。写真を撮るのは大好きだし、ビデオは私のバレエとの間に一定の距離を取ってくれて、間違いを正し、進歩させてくれる」 とコメントしている。密着撮影に対して寛容な態度を見せる背景には、自身の仕事のステップや作品の制作過程を映像によって捉えるという試みに対する好奇心、アメリカ流バレエで培った合理性が表れている。 初めのアイディアからリハーサル、ガラ・プレミアまで、創作過程の各ステップを追い撮影に臨んだティエリー・デメジエールとアルバン・トゥルレーは次のように語っている。 「パリ・オペラ座バレエ団の芸術監督として挑んだショーの創作を通して、バンジャマン・ミルピエに密着しました。このエネルギーに満ちた男は、振付作業、ダンサー達との関係、公演のマネジメントの裏側、何から何まで包み隠さず見せてくれました。我々は彼の作品のそれぞれのステージにおける創造過程、イマジネーションの道筋、野望を追いました。彼はカメラの前で疑念、進歩、発見、全てをさらけだしています。意識的か無意識的かに関わらず観客に映画の世界に没頭してほしいと願っています。決して語られることのなかったストーリー…偽りのない物語に飛び込んだという確かな感情に直面して欲しいのです。」 |
監督:ティエリー・デメジエール/アルバン・トゥルレー
音楽:ニコ・マーリー 衣装:イリス・ファン・ヘルペン
出演:バンジャマン・ミルピエ、レオノール・ボラック、ユーゴ・マルシャン、ジェルマン・ルーヴェ、アクセル・イーボほか
2015年/フランス/110分
配給:トランスフォーマー
©FALABRACKS,OPERA NATIONAL DE PARIS,UPSIDE DISTRIBUTION,BLUEMIND,2016