1月9日(土)より全国にて公開され、大ヒットを記録中の『ピンクとグレー』の行定勲監督と、原作小説がすでに話題沸騰!そして、黒木華を主演に迎えた待望の実写長編作『リップヴァンウィンクルの花嫁』の公開が3月26日(土)に控える岩井俊二監督。
実は岩井俊二監督作『Love Letter』、『スワロウテイル』で、行定勲監督が助監督で参加していたこともあり、20年以上の付き合いで、師弟関係ともいえる間柄のおふたり。 2人の最新作の公開を記念して、『リップヴァンウィンクルの花嫁』×『ピンクとグレー』スペシャルトークショーが行われました。 岩井俊二監督×行定勲監督 登壇スペシャルトークショー |
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MC:それでは、岩井俊二監督、行定監督からお一言づつ、お願いいたします。
岩井俊二監督(以下、岩井監督):行定は一番優秀で、大切な片腕でしたからね。いなくなってから大変でしたよ。彼はキャスティングが天才的で、連れてくる子がみんないい子ばかりだった。彼の存在は非常に助かっていましたね。 行定勲監督(以下、行定監督):昔、岩井さんに「お前は監督になるんだろうからさ、それまではうちでやってよ」って言われた一言が、今でも支えになっているんです。この人は日本映画を変えるなって思っていたし、負けない監督になれてるかなって思いますね。キャスティングする時も、求められていることと違ったものを出すと、「なるほど」ってそれが採用って意味で。こっちがしっくりきているキャスティングを出すとしっくりしすぎているって却下されることもあって…今回の岩井さんの作品でキャスティングは絶妙でうまいですよね。悔しいです。 MC:岩井監督は、行定監督を見守られてんですか? 岩井監督:彼は時々ハラハラしつつも、自分のテイストを上手くエンターテイメントに加えていて、こだわり続けているなぁって思います。彼の作品は”主人公不在”という永遠のテーマを掲げている気がして、この作品はその中でもひとつも到達点かなって思いますね。 MC:行定監督は、助監督として働いていた頃と見方は変わりましたか? 行定監督:変わりましたね。『リリイ・シュシュのすべて』を観た時に、これが岩井美学かって改めて感じました。スクリーンからはみ出すくらいの圧を感じるんですよね。それが心地いい。岩井さんの癖が内側と外側から見るのとじゃ全然違う。敵わないなって思いますね。岩井さんの作品は社会派のものが多いですが、だからって10年経っても古くならない。この間、娘と『スワロウテイル』を観る機会があって、「すごい面白かった」って言ってました。
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MC:まずは、3月26日に公開を迎えます『リップヴァンウィンクルの花嫁』についてお話を伺いたく思います。なぜ今この作品なんでしょうか?
岩井監督:僕は海外にいて感じたのは、3.11が起こる前の日本は、どこかイジメが蔓延している教室のような雰囲気でした。そんな中で何を表現したらいいのか、みんな何が起こさなきゃいけないってわかってはいても、前に進めないような感じでした。そんな時に3.11が起こって、そこで何が描けるかって、この作品が生まれました。 MC:行定監督は『リップヴァンウィンクルの花嫁』をご覧になっていかがでしたか? 行定監督:絶望の中に幸せって必ずあるってところに胸が打たれましたね。絶望のままじゃいられない。だから小さな幸せを見つける。岩井さんは壮大な何かに繋げようとしているんだって思いました。 岩井監督:みんなが正しいと思っていることが本当に正しいのか。全く嘘をつかない人がいれば、その人は人を傷付けますよね。昔はテレビの前で呟いていたことが、今はSNSで呟くことができる。加害者は自分の意見を言っているだけだけど、それが一塊になった時、恐ろしいし、それは一瞬にして人の生活を踏みにじってしまう。だから、そうゆう意見が規定になってしまうことが、僕たちには死活問題で、試行錯誤しないと太刀打ちできなくなってしまうんですよね。 |
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MC:現代の若い方にぜひ見ていただきたいという映画だと伺っております。
岩井監督:作ったばかりなので、これからじっくり検証するところです。昔よりは嘘の質が求められている気がします。真実であればいいってわけではなく。 MC:それでは、大ヒット公開中の『ピンクとグレー』についてお話を伺いたく思います。 行定監督:ちょっと、やっちまった感があります。(笑)今までに他の監督の前例があったら安心なんでしょうけどね。キャストや原作を考えた時、若い子たちが観るだろって思って、いかに飽きさせずに見せるかって考えました。 岩井監督:思っていたところから一変して、「えっ」って驚いた。大林宣彦監督の『北京的西瓜(ぺきんのすいか)』みたいに、たまによく途中で画面が切り替わって、映画をやめちゃう作品ってあるんですが、そうゆうのとはまた違って今までにないものだった。あまりにもよくできたトリックでした。ヨーロッパ映画のようなテイスト感で、ビター&スイートな世界でしたね。 行定監督:映画って新しい人が感化されていくものだと思っていて、最近は破綻された作品が少ない気がします。今回、岩井さんの作品は3時間って聞いて、やらかしてくるなぁ~って思いましたね。でも、その3時間は今までこれほど純度の高いものってないんじゃないかってくらいです。 |
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映画『ピンクとグレー』 芸能界の嘘とリアルを現役アイドル加藤シゲアキが描いた問題作を、『GO』『世界の中心で愛をさけぶ』の行定勲が、映画初出演・中島裕翔を抜擢し、映画化。幕開けから62分後の衝撃。ピンクからグレーに世界が変わる“ある仕掛け”に、あなたは心奪われる。 出演:中島裕翔 菅田将暉 夏帆 岸井ゆきの 小林涼子 宮崎美子/柳楽優弥 映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』 出演;黒木華 綾野剛 Cocco 原作 岩井俊二『リップヴァンウィンクルの花嫁』(文藝春秋刊)2015年12月4日発売 制作プロダクション ロックウェルアイズ |