映画情報どっとこむ ralph

『男はつらいよ』公開から55周年

人類初の月面着陸が成功し、高度経済成長に日本中が沸き返っていた昭和44年(1969年)8月27日。

1本の映画が劇場公開されました。山田洋次監督、渥美清主演による『男はつらいよ』は、人々を笑いと涙で包み込み、のちにギネスブックに認定されるなど、総観客動員数8,000万人を超える国民的映画シリーズとなりました。

 平成を経て、令和元年(2019年)には50周年を迎え、それまでの全49作が4Kデジタル修復技術によって蘇り、奇跡の第50作『男はつらいよお帰り寅さん』が製作され、日本中に再び寅さんブームを巻き起こしました。

 その後、世界中を襲ったコロナ禍は、社会も、人々の意識や行動も一変させました。そして、そのコロナ禍からの出口がようやく見えた2024年、第1作の劇場公開から55周年を迎えます。

 すべての人々の背中を“55”(ゴーゴー)と押してくれる寅さんの笑顔と言葉とともに、55周年プロジェクト「Go!Go!寅さん」を、下記のコンセプトのもと、盛りだくさんのメニューを、2025年12月31日まで約2年かけて『男はつらいよ』の魅力をさらに多くの人にお届けしてまいります。

今回は第一弾として、そのうちの一部を発表となりました。

映画情報どっとこむ ralph

第一弾

★コンセプト①

 こんな生きにくい窮屈な世の中だから…寅さんの言葉の数々を伝えたい!
 失敗することを恐れ、一度のミスも許されないように感じる社会は、SNS等での「炎上」という現象とセットなのかも知れません。
 思い返せば車寅次郎=寅さんは失敗ばかり。心優しい柴又の家族とは些細なことで大ゲンカをして飛び出し、高嶺の花のマドンナに恋をしてはフラれる……。
 でも、寅さんは何度でも仲直りをして、また恋をする。失敗を繰り返しながらも前向きなのです。
 そんな寅さんが発する言葉は、いつでも私たちを励ましてくれます。『男はつらいよ』シリーズと寅さんが、また日本中を元気づけてくれるのです。

★コンセプト②

寅さんと『男はつらいよ』は世代を越える!ミレニアル世代、Z世代にも観て欲しい!
 祖父母・親・孫の三世代が楽しめる、松竹映画の王道『男はつらいよ』。
 映画に描かれる普遍的な家族の愛情、懐かしい昭和の原風景、時代を超える渥美清さんの喜劇的感性。
 1本の映画を通して、家族が語り合えるのも、55年にわたって愛されてきた『男はつらいよ』シリーズならではのポイントです。

①「Go!Go!寅さん」プロジェクトキービジュアル&ロゴ決定
『男はつらいよ』55周年GoGo寅さん

『男はつらいよ』55周年GoGo寅さん 

②NHK-BS特別番組「渥美清にあいたい山田洋次と黒柳徹子が語る」(仮題)3/17(日)放送
『男はつらいよ』55周年GoGo寅さん

③第1作『男はつらいよ』(1969)を、シリーズ初の「4KUHD」で発売予定!

④「辰年の寅さん」グッズMerchonDemandで発売開始!
『男はつらいよ』55周年GoGo寅さん

⑤山田洋次監督から『男はつらいよ』55周年に際してメッセージコメントが到着!
『男はつらいよ』55周年GoGo寅さん
『男はつらいよ』55周年に寄せて
 「寅さん」こと車寅次郎という人物の魅力とはなんだろうか。誕生から半世紀を超えてもなお、人々がいまでも彼のことを忘れないのは、なぜだろうか。
 寅さんは人一倍の深い「情」を持っていて、困っている人々をみると放っておけない。親との関係に悩む娘、恋心を抱きながらも行動に移せない者、大金を騙し取られた芸者、不治の病に侵された貴婦人、大切な家族を亡くした人……。寅さんは彼ら彼女らに寄り添い、共に心を痛め、叱咤激励し、時に自らの空回りが思いがけず功を奏するなどして、周囲の人たちの心を癒し、背中を押して次の一歩を踏み出すきっかけを与える。
 しかし、寅さんが持っている価値基準は「情」だけであり、統一した基準を持たない。要するに無茶苦茶なのであり、そこが寅さんの魅力なのだが、私たちは誰もが「寅さんのようには生きていけない」ということを知っている。困っているときには頼りになり必要とされるが、問題が解決すると途端に厄介者になる人物だ。寅さんは困難な時代でこそ光り輝き、人々を救ってくれるスーパーヒーローだとすれば、暗く、重苦しい今の世の中にこそ逢いたい人物ではないだろうか。
 弱った人間を励ます時に、寅さんは的確にその人を慰める言葉を持っている。
 「おい青年!」「労働者諸君!」と呼びかける時、<日本の未来は君たちにかかっている>という期待を込めて励ましている。その言葉の根底には、<自分はだめな人間だ>という想いがある。「お前は俺と違うんだぞ、立派なんだぞ」と、低い位置から応援している。
 そんなだめな男の破天荒な言動に、周囲の人々は「馬鹿だねえ」と笑い、呆れながらも、寅さんを愛していく。「笑い」は人の内側で、心が自由になる感動だ。めちゃくちゃな価値観を許している自分にホッとして、そのひと時解放される。
 大人だけではない。寅さんに憧れる子供たちに何人も出会ってきた。きっと彼らも大人と同じように、生きる苦しさを味わっているのだろう。
 遠い他国を旅している寅さんよ、帰って来てくれ。そして魂が自由であることの喜びを、もう一度味わせてくれ。

山田洋次

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©松竹株式会社
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