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公開記念舞台挨拶

福岡、佐賀を舞台に、3人の異母姉妹が織りなす物語を描いた『緑のざわめき』が公開となりました。

本作は、新鋭・夏都愛未監督(『浜辺のゲーム』)が、大江健三郎や中上健次の文學にインスパイアされ、葉脈と血の繋がり、ファミリーツリー、性と聖の繋がりをテーマに描くオリジナル作品。3人の異母姉妹に、元カレ、女子会メンバーらが交わり、物語は思いもよらない方向へと進んでいく…という作品です。

9月2日にその公開記念舞台挨拶が行われ、岡崎紗絵演じる菜穂子の友人・絵里役で『忌怪島/きかいじま』での熱演も記憶に新しい川添野愛と、倉島颯良演じる杏奈の伯母・芙美子のベテラン・黒沢あすかが登壇しました。
緑のざわめき
『緑のざわめき』公開記念舞台挨拶
日時: 9月2日(土) 
場所:キネカ大森
登壇:川添野愛、黒沢あすか

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川添野愛、黒沢あすか登場

川添は、本作では、岡崎紗絵演じる菜穂子の友人・絵里役。「監督に絵里の印象を聞いたら、お嬢様とか大雑把とか、『博多弁のようなものをしゃべっているけれど、本当は関東出身で、大人になってから移住してきて、周りの人が喋っているから、自分も喋り出したという子』とのことなんです。監督に、『川添さんだと思って書いているんで』と言われたことを思い出すと、一体どういう印象で私のことを思っていたんだろうとちょっと複雑だったんですけれど、結果的に私にとってはすごく愛おしい役になりました」と心情を吐露。

絵里が友達より男を優先してしまう心理については、「(草川直弥演じる宗太郎を女友達との)旅行に呼んでしまったり、ずっと携帯を持って、景色も楽しんでいないようで、なんでそういう行動を取るんだろうとその理由を考えたんです。普通だったら女の子たちが離れていってもいいのに周りにちゃんと友達がいる、と考えた時に、本当に自分の目の前のことにただただ一生懸命生きている子なんだな、裏も表もなくて、みんなから見えている絵里が全て、という答えに辿り着きました。どんな人にも理由があって、見えていない一面もあるんだなと絵里を掘り下げていて思いました。」と、撮影前に役を掘り下げた際の結論を話した。

芙美子役の黒沢あすかは、「この映画の芙美子のようなポジションのような役を演じられるようにと長年思っていたところ頂いたお話でした。」と公開を迎え、感無量の様子。

黒沢は、倉島颯良演じる杏奈の伯母・芙美子役。杏奈宛の手紙を勝手に読んでしまう芙美子の行動心理については、「叔母という立場から大事なものを見てしまうというのは、あまりの心配さに見てしまったんだっていう風に私は自分に言い聞かせて演じました。とんでもないことをしてしまったんだという気持ちも携えて、演じました。今回の役は、すんなり演じられたところはなかなかなかったです。」と苦労について吐露。

現在32歳の夏都愛未監督に関しては、「芙美子のセリフの言葉のチョイスが、言いにくいということがなかったんです。(撮影当時)30歳くらいだったのに、作り手の彼女は年齢とともに、自分が描きたい世界観にピッタリあった完成をお持ちなんだということにも感動したし、この方と出会えてよかったなと思いました。」と話した。

芙美子は、芙美子の亡き親友の娘である松井玲奈演じる響子に対しては、理想の相談相手。黒沢は、松井玲奈に感銘を受けたというエピソードも披露した。「人生を生きてきた者同士という形で接しようと思いました。本読みの日に、松井さんに対して、『この人って凄い人なんだ。アイドルとして活躍をされているあのお姿しか見ていなかった。けれど、一つの作品に関わる者として、本読みに参加した時に、彼女が日頃本を読むという話をされたんです。隣にいた倉島さんも『私も本を読みます』とおっしゃった。夏都監督も『私も本が好きなんです』と、次から次と手を挙げてきた。本を読む人たちに尊敬の念が一気に増しました。あくまでも私の中の感想ですが、松井さんが紡ぎ出す言葉というのが、私の耳には、セリフという響きとは違う、日焼けした本をこれなんだろうと捲った時の日向の匂いや埃の匂いのような、厚み・深さを感じて、心地よかったんです。若い方たちとご一緒するのは何て素晴らしいんだろうといういい機会をいただきました。素敵です、松井さん。私は好き!』と大絶賛した。

川添は、芙美子が響子にかけた、”きっと全部、自分に折り合いをつけるための旅”という台詞が好きだそう。「それは、台本を読ませていただいた時に一番に引っかかった台詞で、私自身川添野愛という人間がすごく救われたセリフでした。色々あるけれど、折り合いをつけている旅という風に思うと、『明日からも頑張るか』という気持ちになるというか。作品上で言うと、その台詞が発せられた後に、それぞれの登場人物の見方が変わるというか、それぞれ旅をしていると見ると、一人一人が深い人として見れる、すごく重要なセリフだなと思っていたら、ポスターのキャッチコピーになっていたので、やっぱりなと思いました」と解説。黒沢も、「こんな台詞をいただけるんだと嬉しかったです。あの台詞の大きさと深さ。この台詞を話す役を黒沢あすかにと選んでいただけたことが嬉しかったです。自分が子育てをしたことによって、それなりに人間味を持てるようになったのだから、自分で選んだ道ですけれど、ここに至るまでに、エキセントリックな役からできるならば徐々に距離を置いて、役に反映できればと欲張りなことを目標にしていたところに、若い監督から役をいただけ、お応えしたいなという気持ちになりました」と熱弁した。

黒沢は、カトウシンスケ演じる集落の長老・コガ爺とのシーンにも触れ、「コガ爺にだけなら、自分が押さえ込んできたものを吐き出すことができる。さらに、目の前にあの大木があったので、もっと自分の体も委ねて、実はコガ爺を突き抜けて、あの大木に言っているという気持ちで台詞を言えました」と裏話を披露した。

最後のメッセージとして、川添は、「関係性をわかった上でもう一度観ていただくと、一人ひとりのもっと後ろにあることを感じていただけるんじゃないかなと思います。」、黒沢は「大木の前でコガ爺と芙美子が語り合うシーンなんかは、それなりに生きて来た方には染みるシーンなんじゃないかと思います。夏都監督が、心象証言である部分を映像化したとい部分も、素晴らしい才能があると思いましたし、語るばかりが伝えるツールではないので、こういった映画を通して、改めて人の目に見えない心のありようをご自身にも重ねて、相手にも重ね見て、探り探りこんな映画を観たよと伝えていっていただければと思います。これからの夏都監督を応援したいと思います」と話した。

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『緑のざわめき』

ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開中

公式サイト:
https://midorinozawameki.com/

公式ツイッター:
@midori_zawameki

公式Facebook:
@midorinozawameki

第18回大阪アジアン映画祭インディ・フォーラム部門に正式出品された、福岡、佐賀を舞台に、3人の異母姉妹が織りなす物語を描いた『緑のざわめき』。本作は、新鋭・夏都愛未監督(『浜辺のゲーム』)が、大江健三郎や中上健次の文學にインスパイアされ、葉脈と血の繋がり、ファミリーツリー、性と聖の繋がりをテーマに描くオリジナル作品。3人の異母姉妹に、元カレ、女子会メンバーらが交わり、物語は思いもよらない方向へと進んでいく…。

■あらすじ

過去の痴漢被害のトラウマを抱えて生きてきた響子(松井玲奈)は、病を機に女優を辞め、東京から生まれ故郷のある九州に移住しようと福岡にやってきて、元カレの宗太郎(草川直弥)と再会する。

異母姉の響子と繋がりたいと、彼女をストーカーする菜穂子(岡崎紗絵)は、異母姉妹ということは隠し、響子と知り合いに。

施設に預けられていて、8年前から佐賀県嬉野で叔母の芙美子(黒沢あすか)と暮らす高校3年生の杏奈(倉島颯良)は、自分宛の手紙を勝手に読んだ叔母に不信感を募らせていた。「まずは話してみませんか?」という支援センターの広告を見て、身元もわからない菜穂子からの電話に、悩みを打ち明け始める。同じ頃、杏奈に思いを寄せる透(林裕太)は、杏奈とうまくいくよう、集落の長老・コガ爺(カトウシンスケ)に相談しに行っていた…

就職活動がうまくいかない中、 地元・嬉野に戻り、親友の保奈美(松林うらら)に就職の相談をする響子は、ひょんなことから自分と杏奈が異母姉妹ということを知ってしまう。菜穂子は、宗太郎に恋焦がれる絵里(川添野愛)等いつもの女子会メンバーとの旅先を嬉野に決め…。
緑のざわめき

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松井玲奈 岡崎紗絵 倉島颯良 
草川直弥(ONE N’ ONLY) 川添野愛 松林うらら 林裕太 
カトウシンスケ 黒沢あすか
    
監督・脚本:夏都愛未    
プロデューサー:杉山晴香 / 江守徹 
撮影:村松良  照明:加藤大輝  音楽:渡辺雄司   
配給:S・D・P  製作:「緑のざわめき」製作委員会
2023年/日本/カラー/4:3/Stereo/115分 ©Saga Saga Film Partners
文化庁「ARTS for the future!2」補助対象事業
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