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青山スクエアトークイベント

この度、第1回「暮らしの小説大賞」を受賞した「ジャパン・ディグニティ」(髙森美由紀著)が、主演 堀田真由、鶴岡慧子監督で映画化した「バカ塗りの娘」が、8月25日(金)より青森県で先行公開・絶賛公開中、9月1日(金)より全国公開となります。
バカ塗りの娘
この度、伝統工芸と海外のハイブランドを結びつけ、数々のコラボ商品の企画を実現させた家庭画報編集長・千葉由希子さんと、『バカ塗りの娘』の盛夏子プロデューサーが青山スクエアでのトークイベントに登壇しました。
バカ塗りの娘
青山スクエアトークイベント
日時:2023年8月31日(木) 
場所:伝統工芸 青山スクエア 特設会場
登壇:千葉由希子(「家庭画報」編集長)、盛夏子(映画『バカ塗りの娘』プロデューサー)

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千葉由希子、盛夏子登壇

自身が香川県高松市出身でもあることから、香川漆芸と海外のハイブランドを結びつけ、数々のコラボ商品の企画を実現させてきた千葉は、伝統工芸・津軽塗をテーマにした本作を観て「漆塗りのシーンがとても綺麗。漆器がどのように出来ていくのか、普段見られる機会は、なかなかないと思いますが、この映画をご覧になると、ああこんな風に(できていくんだ)…と思えるシーンが出てきます。」とコメント。さらには「(鑑賞して)とても温かい気持ちになりました。人が生きるということがどういうことか、それぞれが自分の物語を生きている、どんな人生であっても価値があるという想いにもさせていただきました。」と語った。そして、印象的なシーンを二つあげる。
前述の“漆塗りのシーン”と、漆塗り職人だった主人公の祖父が「やり続けること」と3回繰り返して言葉にするシーン。
ひとつめは、まさに盛プロデューサーが「本当にこだわった」シーン。「BGMもなく、(親子の)会話もなく、ただひたすら作業を重ねるシーンなんですが、こういうシーンはドキュメンタリー映画でなければプロデューサーとしてはカットしたくなるところ。ですが、自分で観ていても、もっと観たいと思ってしまい…。監督も編集マンともこのシーンいけるよねと話し、残しました。結果、あのシーンを褒めてくださる方がとても多かった。台詞も音楽もない、その場で撮った(漆塗りの)ハケの音や、磨く音を大事に作ったシーンです」とこのシーンに自信をのぞかせる。
ふたつめのシーンは、この映画のテーマのひとつでもある伝統工芸を「やり続けること」の大切さと「やめられない」ほど漆塗りの仕事が魅力的だということが伝えられるシーン。映画を作るにあたりたくさんの職人を取材した盛プロデューサーは「漆塗りは本当に難しく、前の日と同じことをやっているのに、できるものが違う、それが本当におもしろいと、ベテランの職人さんが話していました。その皆さんの想いを映画に込められたら」と語った。

そして、千葉の伝統工芸へ関わり・取り組みについて語られる場面も。自身の出身地である香川県の香川漆芸を拡げるために思い付いた海外ブランドとのコラボレーション。
靴のヒールや、クラッチバック、先には食器などに塗りを施し販売。
「これまでになかったかなというものに、職人さんたちにも挑戦をしていただいた。今の生活に合うもの、皆さんが驚いてくれるものを考えた。」と、伝統工芸の受け継がれる良さだけでなく、新しい挑戦についての興味深いトークも繰り広げられた。

本作でも、伝統工芸の漆塗りを新しいもの=ピアノに漆塗りを施す…という主人公の挑戦が描かれているが、イベントの最後に、観客から映画の予告編にも映し出されていたピアノのシーンついて質問があると、盛プロデューサーから「実際にピアノをばらして職人さんに塗っていただき組み立てています。
弘前市からピアノを3台お借りして、塗る前、途中のもの、塗った後のものを使用して撮影、最後まで塗ったものを組み立てて完成品となりました。観ていただいたらわかるのですが、津軽塗りは、本当に多彩な色が表現できるのです。このピアノには本当に面白い色が施されていますので、お楽しみ頂ければと思います。」と明日からの映画公開に先んじて、撮影秘話を語った。

日本の伝統工芸に深く関わり、職人たちに多く出会ってきた盛と千葉が声を揃えて伝えたいという漆器に込められた想いとその工芸品の魅力。「塗っては研いで、塗っては研いで、の工程は、本当に人生のよう。だからその漆器が愛おしいものになる。映画の中でその漆器を使っているところを見るだけで、とても魅力的に感じる。少しいいものを自分に取り入れると気持ちを豊かにする」(千葉)、「職人さんの技術と手間…どうしても伝統工芸品は少し金額が高いと思われるかもしれないが、その製品にはそれだけの価値と意味があるということを皆さんにお伝え出来たら」(盛)。職人の技の工程はもちろんのこと、本物の漆塗りの魅力が随所に散りばめられた本作の世界を語り合う、アットホームで気持ちが豊かになるようなトークショーとなった。

映画情報どっとこむ ralph 登壇者Profile

千葉由希子(『家庭画報』編集長)
1992年世界文化社入社時より『家庭画報』ファッション班所属。
2001年『MISS』副編集長。『MISS Wedding』所属後、『家庭画報別冊ときめき』と『家庭画報.com』編集長を経て、2018年より現職。趣味はスキー、読書、犬の散歩。

盛夏子(映画『バカ塗りの娘』企画プロデュース)
1996年 日活株式会社入社、2003年 株式会社アミューズ入社。
プロデューサー作品として「深夜食堂」ドラマシリーズ、『映画 深夜食堂』『続・深夜食堂』、NHKドラマ「すぐ死ぬんだから」「今度生まれたら」「おもかげ」など。

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『バカ塗りの娘』

9月1日(金)全国公開/8月25日(金)青森県絶賛公開中

公式サイト:
https://happinet-phantom.com/bakanuri-movie/

公式X(Twitter):
@bakanuri_movie

公式Instagram:
@bakanuri_movie

海外では「japan」と呼ばれることもある“漆”。 漆は時代を問わず、工芸品、仏像、社寺建築、芸術品など日本の歴史と文化を象徴するものに使用され、世界中の人々を魅了する。耐久性があり、たとえ壊れてしまっても修理してまた使うことができる漆器は、昔から日本人にとって大切な日用品として私たちの暮らしに寄り添ってきた。本作はその中でも、青森の伝統工芸・津軽塗をテーマに描かれる物語。そして津軽塗職人を目指す娘・美也子と寡黙な父・清史郎が、漆や家族と真摯に向き合う姿を、四季折々の風景や、土地に根付く食材と料理、そこに生きる人々の魅力を織り交ぜ描く。主人公・美也子役に堀田真由。将来への不安やほのかな恋心に揺れる等身大の女性をたおやかに演じる。津軽塗職人の父・清史郎には、日本映画界には欠かせない俳優、小林薫。二人は実際に地元の職人から津軽塗の技法を教わり撮影に挑んだ。監督は、初長編作『くじらのまち』でベルリン国際映画祭、釜山国際映画祭などで高い評価を得たのち、西加奈子の小説『まく子』の映画化も手掛けた鶴岡慧子。
つらい時、楽しい時を塗り重ねるように日々を生きる父娘が、津軽塗を通して家族の絆を繋いでいく。

物語・・・

「私、漆続ける」その挑戦が家族と向き合うことを教えてくれた――
青木家は津軽塗職人の父・清史郎と、スーパーで働きながら父の仕事を手伝う娘・美也子の二人暮らし。家族より仕事を優先し続けた清史郎に母は愛想を尽かせて出ていき、家業を継がないと決めた兄は自由に生きる道を選んだ。美也子は津軽塗に興味を持ちながらも父に継ぎたいことを堂々と言えず、不器用な清史郎は津軽塗で生きていくことは簡単じゃないと美也子を突き放す。それでも周囲の反対を押し切る美也子。その挑戦が、バラバラになった家族の気持ちを動かしていく――。
バカ塗りの娘

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堀田真由/坂東龍汰 宮田俊哉 片岡礼子 酒向 芳 松金よね子 篠井英介 鈴木正幸 
ジョナゴールド 王林/木野 花 坂本長利/小林 薫
監督:鶴岡慧子 脚本:鶴岡慧子 小嶋健作 
原作:髙森美由紀「ジャパン・ディグニティ」(産業編集センター刊) 
企画プロデュース:盛 夏子 プロデューサー:遠藤日登思 松岡達矢 福嶋更一郎 
ラインプロデューサー:大川哲史
撮影:髙橋 航 照明:秋山恵二郎 録音:髙田伸也 音響効果:齋藤昌利 美術:春日日向子 
装飾:松尾文子 衣裳:藪野麻矢 ヘアメイク:光岡真理奈
編集:普嶋信一 音楽:中野弘基 スクリプター:押田智子 スチール:蒔苗 仁 助監督:栗本慎介
製作:「バカ塗りの娘」製作委員会 制作プロダクション:アミューズ映像企画製作部 ザフール 
配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
(C)2023「バカ塗りの娘」製作委員会
2023年/日本/カラー/ビスタ/5.1ch/118分
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