映画情報どっとこむ ralph

待望の全国公開初日

沖縄のコザを舞台に、幼い息子を抱えた17歳のアオイ(花瀬琴音)が社会の過酷な現実に直面する姿を描き、第56回カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭 [クリスタル・グローブ・コンペティション部門]に出品、Variety誌が“貧困にあえぐ日本の性差別を、痛烈に告発する。溝口健二的な現代悲劇。”と激賞した映画『遠いところ』が、大ヒット上映中の沖縄に続き、7月7日(金)より全国公開を迎えました。

待望の全国公開初日となる7月7日(金)に、ヒューマントラストシネマ渋谷にて主演の花瀬琴音、石田夢実、佐久間祥朗、尚玄、工藤将亮監督が登壇する初日舞台挨拶が行われました。
『遠いところ』初日舞台挨拶
映画『遠いところ』初日舞台挨拶
日時:7月7日(金)
場所:ヒューマントラストシネマ渋谷
登壇:花瀬琴音、石田夢実、佐久間祥朗、尚玄、工藤将亮監督
MC:奥浜レイラ

映画情報どっとこむ ralph

キャスト&監督登壇

主人公のアオイを演じた花瀬はモスグリーンのサテンドレスで登場し、「沖縄で先行上映され、ようやく全国公開ということでやっとだなという気持ちです」と笑顔で挨拶。
『遠いところ』初日舞台挨拶
警察官を演じた沖縄出身の尚玄は観客に向けて、「沖縄の若年層の貧困を描いていますが、この問題は沖縄だけの問題でないと思っているので、東京の皆さんに関心を持ってもえて嬉しい」とコメント、工藤監督も「皆さん、本当に今日はありがとうございます」と感謝の言葉を口にすると、満席の会場は観客たちの温かい拍手に包まれた。
『遠いところ』初日舞台挨拶
 工藤監督とプロデューサーが本作を企画してから、5年の年月を経て全国公開を迎えた。工藤監督は、「この映画に携わって下さった沖縄の方々、スタッフやキャスト、公開の配給、宣伝のチームに感謝の気持ちでしかないです」と改めて感謝の気持ちを伝え、「こういった沖縄の若年母子であったり、シングルマザーのことを知るきっかけになったのは、沖縄から発信されているルポルタージュであったり、ノンフィクションの本でした。僕はそれを読んだ時、ものすごく強烈に登場する少女たちが脳裏に焼き付いて離れませんでした。男である自分がなぜ強く惹かれて、こんなにも強烈に映画を撮りたいと思ったのか、その感情を探るために取材からはじめたというのが、この作品のスタートです」と製作の経緯を説明した。

撮影1か月前から沖縄生活
過酷な現実に直面する若者たちを演じた花瀬、石田、佐久間は、撮影が始まる1か月前から沖縄で生活をして役作りに挑んだ。花瀬は「アオイが実際に住んでいるセットに1か月住んで役作りをスタートしたのですが、その中で沖縄のコザに住むアオイと同じような境遇のお母さんや女の子たちのお話を聞いていたので、そういった方々の声を大切にして演技に反映させていただきました」、石田は、「この作品が女優のデビュー作だったのですが、本当に役作りというものが何かわからない状態で入ったので、花瀬さんや佐久間さんには「どうしたら良いの?」と聞き、真似をしながら自身で取り入れていきました。私と同じ役柄のようにキャバクラで働いている方や、実際に同世代の学生さんにインタビューしたり、そこで方言を学んだり、その子たちと同じような洋服を着たり、メイクをしたりして吸収していきました」と話し、佐久間は「僕はひたすら沖縄の人たちとお酒を飲んでいました。(役作りのために働いていた)工事現場で一緒に働きながらも、サボって電話が鳴りやまなかったり…アオイに「お金を貸してよ」みたいなことをやっていました」
『遠いところ』初日舞台挨拶
と役作りの準備期間中は、演じたマサヤと日常が混在しながら生活していた話すと、花瀬が「まだ3千円返してもらってないよ」と突っ込み、佐久間は「あ、そうだった」と忘れていたことを謝罪し、会場を笑いに誘った。

続いて、沖縄が故郷である尚玄は、「色々な方が沖縄で映画を撮影する機会が増えてきて、僕も出身地の作品なので目を通す機会も多かったのですが、エッセンスの一つとして沖縄を扱われるというわけではないですが…もっと時間をかけて、じっくりとやったら違う描き方が出来るのではないかなと思う部分も多々ありました。でも、今回監督たちの覚悟をみて、何か僕に出来ることはないかなと思い、参加させていただきました」と工藤監督との信頼関係のもと、次世代に残してはいけない問題を描く本作への友情出演を決めたと明かしました。
『遠いところ』初日舞台挨拶

映画情報どっとこむ ralph

撮影で苦労したエピソード

花瀬は、「ほとんどのシーンが精神的に辛くて、アオイとして大変だったシーンは多かったのですが、肉体的にきつかったのは裸足で走るシーンがあって・・・でも、何度走っても工藤監督に疾走感が足りない、本当に逃げているのだから本気で走れと言われて。でも、観ていただいたらわかると思うのですが、スローモーションで編集されているんですよ!」と赤裸々に語り、会場は驚きと笑いで包まれた。
『遠いところ』初日舞台挨拶
「本当に痛かったよね?」と石田と共感しあうと、監督は「すみませんでした」と謝罪。花瀬は「でも、あのスローがアオイの必死さが伝わり、画として素晴らしいんですよね」と作品の見どころを語った。

尚玄は印象深いエピソードとして、「撮影場所のキャバクラで座っていたら、お姉さんが「何を飲みますか?」と尋ねてきたんですけど、それがお店の人だと思ったらアオイだったんですよ。沖縄の方言で慣れた手つきだったので、僕は「沖縄の子?」って聞いたら主演の花瀬さんでした」とアオイに同化したかのような花瀬のたたずまいが素晴らしかったと称賛した。

工藤監督は準備期間中が印象深かったと明かす。「僕も助監督として仕事をしていたのすが、今の作り方に疑問を持っていたので、せっかく一生懸命やってくれるチームがいるので思い切って色々とやっていようと思っていました。彼女たちにはアプローチとして、普段の映画ではやらないことを挑戦してもらいました」と撮影へのこだわりを語り、「台本を事前に渡さずに、撮影の直前に読んでもらったり、1か月前に沖縄に住んでもらって、彼女たち自身に当事者に話を聞いてもらうとか・・・そういうことを繰り返して、正解か分からないことをずっとやってきたんですが本当に沖縄の子たちに見えてきて。彼女たちの演技でピリピリときた瞬間もありました」とキャスト陣の演技を絶賛した。

事前に台本を渡されなかった
事前に台本を渡されなかったことに対して花瀬は、「まさに今から皆さんが映画で観る目線が、本当にそのまま私の気持ちだったと思います」とリアルな映像としてとらえられているとコメントした。
尚玄はこの映画が描く社会問題を、「他人事ではなく、みんな自身の問題としてちゃんと想像して向き合っていくことが大切だと思っています。もしこの作品を観て感じるものがあれば、是非周りの皆さんにも伝えてほしいです」と観客に想いをぶつけた。続いて監督が、「この作品を作るまで沖縄について何も知らなかった。でも、尚玄さんが仰っていたように沖縄で起こっていることは“遠いところ”では決してなくて、本当に同じ日本人の問題であり、こういったことは今もずっと続く問題であるということ、それを知っていただけるきっかけになればと一番だと思っています」とコメントし、「この問題を僕と一緒に“知る”という体験をこの映画を通じてしていただけたら幸いです」と言葉を締めくくった。

最後に・・・
花瀬は、「皆さんがどう感じるかを凄く大切にしていただきたいですし、何か感じた時はより多くの人に観ていただけるように協力していただけたら幸いです。本当にありがとうございました」とこれから映画を観る観客たちにメッセージを送った。

映画情報どっとこむ ralph

『遠いところ』

全国劇場で絶賛公開中。

作品公式サイト:
https://afarshore.jp

公式SNS:
@afarshore_jp

『遠いところ』が描くのは沖縄の局地的な社会問題ではなく、日本中のどこでも今まさに起こっている問題。

物語・・・
沖縄県・コザ。
17歳のアオイは、夫のマサヤと幼い息子の健吾(ケンゴ)と3人で暮らし。
おばぁに健吾を預け、生活のため友達の海音(ミオ)と朝までキャバクラで働くアオイだったが、建築現場で働いていた夫のマサヤは不満を漏らし仕事を辞め、アオイの収入だけの生活は益々苦しくなっていく。マサヤは新たな仕事を探そうともせず、いつしかアオイへ暴力を振るうようになっていた。そんな中、キャバクラにガサ入れが入り、アオイは店で働けなくなる。
悪いことは重なり、マサヤが僅かな貯金を持ち出し、姿を消してしまう。仕方なく義母の由紀恵(ユキエ)の家で暮らし始め、昼間の仕事を探すアオイだったがうまくいかず、さらにマサヤが暴力事件を起こし逮捕されたと連絡が入り、多額の被害者への示談金が必要になる。
切羽詰まったアオイは、キャバクラの店長からある仕事の誘いを受ける―
監督・脚本:工藤 将亮『遠いところ』

***********************************

キャスト
花瀬琴音  
石田夢実、佐久間祥朗、長谷川月起/松岡依都美

スタッフ
監督・脚本:工藤 将亮
エグゼクティブプロデューサー:古賀 俊輔 
プロデューサー:キタガワ ユウキ 
アソシエイトプロデューサー:仲宗根 久乃
キャスティング:五藤 一泰 
撮影:杉村 高之
照明:野村 直樹 
サウンドデザイン:木原広滋、伊藤 裕規
音楽:茂野 雅道 
美術:小林 蘭 
共同脚本:鈴木 茉美
主題歌:“Thanks” by 唾奇
製作:Allen、ザフール
©2022 「遠いところ」 フィルムパートナーズ

関連記事:




良かったらランキングUPにご協力ください。
  にほんブログ村 映画ブログ 映画情報へ    にほんブログ村 アニメブログ アニメ情報へ