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家族の絆、主人公の挑戦、淡い恋…
第1回「暮らしの小説大賞」を受賞した「ジャパン・ディグニティ」(髙森美由紀著)が、主演 堀田真由、鶴岡慧子監督で映画化。タイトルを「バカ塗りの娘」とし、9月1日(金)より全国公開、8月25日(金)より青森県先行公開となります。
場面写真が解禁
この度、主人公・美也子と彼女を取り巻く人々の姿を切り取った場面写真が解禁となりました。
内気な性格ゆえに、本当は興味のある津軽塗に挑戦したいと素直に打ち明けることのできない美也子(堀田真由)。スーパーで働きながら父親の津軽塗の仕事を手伝う美也子が、“津軽塗で生きていくことは簡単じゃない”と反対する周囲を押し切り、ある大仕事に挑戦していく姿が描かれる。目の前の漆に向ける眼差しからは、津軽塗に向き合う真剣な想いがひしひしと伝わってくる。
今回解禁された場面写真には美也子と家族の関係性も映し出されている。父・清史郎(小林薫)とは、祖父の代から記録してきた津軽塗の柄見本がまとめられた資料を並んで見る場面が映し出される。
穏やかな表情の父と、何かを覚悟したかのような娘の間には、親子の関係だけでなく津軽塗職人としての“師弟の絆”を感じさせる。
一方、家業を継がないと決め、美容師という夢に向かって家を出た兄・ユウ(坂東龍汰)との2ショットも。父とは仲違いをして会話もままならないが、妹・美也子を可愛がるユウは、自分で切ったという妹の不揃いな髪を整えてあげる優しさを持つ。兄妹の仲の良さが滲み出る1シーンだ。さらに、美也子が漆以外に熱視線を送るのは、商店街の花屋で働く青年・鈴木尚人(宮田俊哉)。日も暮れた教室で微笑みながらピアノを弾く尚人、それを愛おしそうに見つめる美也子からは、ほのかな恋を予感させる。
ひたむきに塗ることは、ひたむきに生きること。つらい時、楽しい時を塗り重ねるように日々を生きる父娘たち。津軽塗を通して築かれていく絆が、この『バカ塗りの娘』が持つ大きな魅力の一つである。
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コメント続々
また、この度いち早く本作を観たマスコミ関係者からのコメントも続々と到着。
ヒロインが、あきらめることをやめた時、日本の息苦しい現実に風穴があく。
主人公渾身の「バカ塗り」と、鶴岡慧子監督の映画づくりが二重写しになってきらきら光る。
人の心を動かす表現の力が心にしみる希望の映画だ。
恩田泰子(読売新聞編集委員)
日本映画で伝統的な芸道を描くと、どうしても成長譚カタルシスに走りがちだ。鶴岡慧子監督はその方式を採らない。ブレッソンが「手」に施した唯物的演出を、手作業の執拗な持続によって超越せんとする大胆な意志を貫いている。
荻野洋一(映画評論家)
人騒がせなタイトルは津軽の伝統工芸を守り引き継ごうとする娘へのリスペクト。父と呼吸を合わせるようにして、黙々と漆塗りと磨きを繰り返す娘の丁寧な演出に、鶴岡慧子監督の彼女への共感が感じられ、しかもどこか軽やかなのが素晴らしい。
北川れい子(映画評論家)
何度も塗っては削る津軽塗の工程をじっくりと捉え続ける画面には、執念と葛藤と誠実が映る。
塗りの作業を続ける堀田真由と小林薫の無言の対話が、雄弁で美しい。
中井 圭(映画解説者)
これは<扉>の映画である。あちら側とこちら側。そんな目には見えない境界線が、扉の開閉、或いはその動作によって繰り返し演出されている。そして<扉>を越えるたび、何かが成長するのだ。奇しくも斯様な反復は、幾重にも漆を塗ることとも似ているのである。
松崎健夫(映画評論家)
職人さんたちからもコメント
津軽塗職人・津軽塗関係の方々からの応援コメントも到着! ※順不同・敬称略
津軽塗の技術をしっかりと時間を使って、伝えている部分に本当に感銘を受けました。
また、静寂の中で津軽塗を制作している音が最高です!
作り手にしか聞こえない音は、映画をみるお客様に感動を与えることになると思います。
全国的に女性の作り手が増えてきているので、さらに後継者を発掘できる、きっかけになるはずです。感動しました。
石岡 健一(青森県漆器協同組合連合会 会長 有限会社イシオカ工芸 代表取締役)
青木親子を通し、⾃分が祖⽗や⽗から教わった津軽塗職⼈として当たり前だった制作の景色を伝えたいなと思いました。一つのモノを丹念に作るだけでは無く、数百個もの同じ塗りのお椀を作ることもあります。師匠と弟⼦が並んで作業し、師匠が弟⼦に技術を見せ、覚えさせ、沢山の経験を積ませ、職⼈としての技術が上達していくのを、⻑い目で待つ。そんな師弟の姿も見てもらいたいなと思っています。
津軽塗職⼈ 松山昇司(劇中津軽塗監修・指導)
木目の見える椀木地が、荒いものから細かいものに繰り返す下地工程を経て、仕掛けや塗りかけの模様付けまで丁寧に繰り返され、次第に見慣れた津軽塗のお椀になっていく。この映像と漆刷毛やヘラの音、砥石の音が、頑固に津軽塗を守ってきた父親と、この道を継ぐと決心した娘の無言の会話のようだった。
九戸眞樹(元青森県工業試験場漆工部長)
津軽塗を題材にとりあげてくださって感謝します。塗っては研ぎを繰り返す津軽塗。同じような作業でも、一つ一つに理由があり、一つの工程の中でも、たくさんの事を考えながらの作業。湿度・温度の管理をし、季節で漆の調整をし、仕掛けでは音を聞き、粘りをみて高さを合わせながら打つ。錫分を撒きつける作業では漆に息を吹き、その色で半乾きのタイミングをみる。こだわり出せばキリが無いが、常に漆の声を聞きながらの作業。一筋縄ではいかない漆だが、その底力に助けられる。
冬の訪れに、白鳥の鳴き声が聞こえてくる。美しく仕上がった津軽塗も同様、ステキな贈り物のように感じる。そしてその地道な工程の末に美しい漆器ができる様は、なんだかこの土地での生活そのものにも感じる。津軽の四季と、津軽塗のある景色も感じてもらえると嬉しいです。
津軽塗職人 山岡奈津江(劇中津軽塗監修・指導)
津軽塗は、下地からはじまり、模様をつけたり、色を重ねたり、研いだり、磨いたりさまざまな工程を経て生まれます。
映画の中では、それら全てが工程ごとに丁寧に描かれていています。
無骨な職人の雰囲気、作業中の音や工房の空気感もとてもリアリティがあるので、観る人に伝わったら嬉しいです。
また、映画の中にはさまざまなバリエーションの津軽塗も登場します。
主人公の家族たちそれぞれの生き方とともに
津軽塗の多様性もぜひ感じてください。
gallery CASAICO 葛西彩子
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『バカ塗りの娘』
8月25日(金)青森県先行公開
9月1日(金)全国公開
海外では「japan」と呼ばれることもある“漆”。
世界中から注目を集める漆器は、日本人の暮らしに寄り添う大切な日用品であり、芸術品。本作では青森の津軽塗の工程をひとつひとつ丁寧に映し出す。そして、津軽塗職人を目指す娘・美也子と寡黙な父・清史郎が、漆や家族と真摯に向き合う姿を、四季折々の風景や、土地に根付く食材と料理、そこに生きる人々の魅力を織り交ぜ描く。主人公・美也子役に堀田真由。将来への不安やほのかな恋心に揺れる等身大の女性をたおやかに演じる。津軽塗職人の父・清史郎には、日本映画界には欠かせない俳優、小林薫。二人は実際に地元の職人から津軽塗の技法を教わり撮影に挑んだ。監督は、初長編作『くじらのまち』でベルリン国際映画祭、釜山国際映画祭などで高い評価を得たのち、西加奈子の小説『まく子』の映画化も手掛けた鶴岡慧子。
つらい時、楽しい時を塗り重ねるように日々を生きる父娘が、津軽塗を通して家族の絆を繋いでいく。
公式サイト:
@bakanuri-movie/
公式Twitter:
@bakanuri_movie
公式Instagram:
@bakanuri_movie
物語・・・
「私、漆続ける」その挑戦が家族と向き合うことを教えてくれた
青木家は津軽塗職人の父・清史郎と、スーパーで働きながら父の仕事を手伝う娘・美也子の二人暮らし。家族より仕事を優先し続けた清史郎に母は愛想を尽かせて出ていき、家業を継がないと決めた兄は自由に生きる道を選んだ。美也子は津軽塗に興味を持ちながらも父に継ぎたいことを堂々と言えず、不器用な清史郎は津軽塗で生きていくことは簡単じゃないと美也子を突き放す。それでも周囲の反対を押し切る美也子。その挑戦が、バラバラになった家族の気持ちを動かしていく。
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堀田真由/坂東龍汰 宮田俊哉 片岡礼子 酒向 芳 松金よね子 篠井英介 鈴木正幸
ジョナゴールド 王林/木野 花 坂本長利/小林 薫
監督:鶴岡慧子 脚本:鶴岡慧子 小嶋健作
原作:髙森美由紀「ジャパン・ディグニティ」(産業編集センター刊)
企画プロデュース:盛 夏子 プロデューサー:遠藤日登思 松岡達矢 福嶋更一郎
ラインプロデューサー:大川哲史
撮影:髙橋 航 照明:秋山恵二郎 録音:髙田伸也 音響効果:齋藤昌利 美術:春日日向子
装飾:松尾文子 衣裳:藪野麻矢 ヘアメイク:光岡真理奈
編集:普嶋信一 音楽:中野弘基 スクリプター:押田智子 スチール:蒔苗 仁 助監督:栗本慎介
製作:「バカ塗りの娘」製作委員会 制作プロダクション:アミューズ映像企画製作部 ザフール
配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
(C)2023「バカ塗りの娘」製作委員会
2023年/日本/カラー/ビスタ/5.1ch/118分
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