公開直前ティーチインイベント人と人の関係が希薄になってしまった現代社会に、真の絆とは何かを問いかけ、観る者を生への希望で照らし出す珠玉のヒューマンドラマ映画『渇水』は6月2日(金)より全国公開となる。 この度、下記概要にて、本作の公開直前ティーチインイベントが行われ、主演の生田斗真、門脇麦、髙橋正弥監督、白石和彌(企画プロデュース)が登壇し、一般の観客の皆さんから寄せられた質問に答えました。 水道料金を滞納する家庭の水を停めて回る水道局員・岩切を演じた生田と、岩切に水を停められる幼い姉妹の母親・有希役の門脇。お互いに難しい役どころを演じきった二人の俳優と髙橋監督、今回初となるプロデュースを務めた白石和彌が、撮影時の心境や本作に込めた思いを語りました。 |
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キャスト、監督、プロデューサー登壇早速、生田が「楽しんでいただけましたでしょうか?この映画の撮影中、ずっと雨が降っておりました。先日やった完成披露試写会でも大雨でございました。僕はこの映画のキャンペーンは“雨男キャラ”で行こうと思っていたのですが、今日ものすごく晴れてしまいました。(笑)キャラが崩壊しました。(笑)どう宣伝すればいいのかわからないので、みなさんのお力をお借りしたいと思います。」と早速会場を沸かし、門脇が「いよいよ公開間近ということで嬉しく思います。」と、 本作への参加への決め手は?本作への参加の決め手を尋ねられると、生田が「日本映画界でとんでもないおもしろい脚本があるんだというのが噂になっていたようで、そんな脚本が時を経て自分の元に回ってきて、その時に感じたのは中身の良さもあるんですが、たくさんの人の想いや作品への愛情が詰め込まれた、ただならぬオーラをもった脚本でした。参加しないと後悔するだろうなと思って、即座に参加させてもらうことを決めました。」と、門脇が「台本を読ませていただいて、なんていい本なんだろうと思ったのと、白石さんと何度もご一緒しておりまして、白石さんが“門脇さんで”と言ってくださっていると言うのを聞いて、断る理由がありませんでしたね。」とそれぞれ熱い想いを語った。 役を演じる上で心掛けたことは?役を演じるにあたって心がけたことを尋ねられると、「岩切は自分のせいで大切な家族と離れて暮らすことになってしまって、そのことをきっかけに、彼の人生がストップしてしまって、思考も止まっていたような気がします。自分がどこにいて、何をしていて、何のために働いていて、どうして人の家の水を停めなきゃいけないのか、そういうことに蓋をしていて、無理をしている。そういう男の悲しい、独特なオーラが滲み出てくるといいなと思ってやりましたね。」と生田が、「ネグレクトをしているという難しい役柄だったので、地に足がついていて実在感があるように、私とは遠い登場人物と感じましたが、そう見えないように演じました。彼女にもそういう行動をとってしまった理由があって、ただの悪い人ではないので、0.1秒だけでもいいので、娘たちを見守る瞳が哀しみが滲めばいいなと思って演じました。」と難役に挑んだ門脇が話した。 相思相愛のキャストと監督続いて、髙橋監督の演出について、印象に残ったことについての話になると、生田が「雨で撮影がストップしちゃった日も、撮影が思うようにいかない日も、髙橋監督はずっと嬉しそうでしたね。この映画を撮れているという幸せに満ち溢れていて、一番潤っているのは監督かなって思っていました(笑)髙橋監督の人柄に惚れて、この現場が進んでいったなと思います。」と撮影を振り返ると、髙橋監督は「映画を作ることは楽しい作業ですので、雨で恨めしい時もありましたが、映画が中止になったわけではないので、自分としても励みというか、次は面白いシーンを撮ろうという気持ちでいたのかもしれないですね。」と恐縮している様子。 苦労したシーンは?一番大変だったシーン、苦労したシーンの話になると、生田が「磯村くん、そして子役のお二方とアイスを食べるシーンがありまして、長回しの撮影だったので、アイスを何本も食べて頭が痛くなりましたね(笑)特に磯村くんは食べ切らなきゃいけないという使命があったので、あの時期にはなかなか見れない、震える磯村勇斗というのがみえましたね。(笑)」と会場の笑いを誘った。そして門脇は「撮影中雨が多くて、一番最後に生田さんと対峙して家を出ていくシーンが、雨なので今日は撮れませんというのが2、3回あったので、最後ようやく撮影できた日は、清々しい気持ちでしたね。(笑) 大切なシーンだったので、撮って不安な気持ちを終わらせたいと思っていたので、撮れた時は本当に清々しかったですね。」と話すと、生田は「麦ちゃんは僕の出会った女優さんの中で一番帰るの早いんですよね。走って車に帰るんですよ。(笑)」と現場でのエピソードを披露。そして早く帰る秘訣を尋ねられると、「段取りをちゃんと組むことですね。走りながら、脱げるものは脱いでおくのは一番大きなコツです。(笑)」と話す門脇に会場からは笑いが起こった。 向井秀徳の音楽に関してまた、劇伴と主題歌を手がけた向井秀徳の音楽の話になると、「映画がバーンと終わって、そこから”This is 向井秀徳”のギターの音が流れてくると興奮しますね。初号試写の時に、向井さんもいらしてくださって、映画見終わった後に、飲み行こうって声かけていただいて、飲みに行きました。向井秀徳に誘われた!と思って、めちゃくちゃ嬉しかったですね。」と生田が驚きのエピソードを披露。さらに、「すごく向井さんが好きで、ライブも行かせていただいたことあるのですが、映画を見ていて、最後にジャンと音が入ると、ずっと続いていた低い気持ちが、一回冷静にこの映画を振り返るきっかけになって、試写で見た時に鳥肌が立ちましたね。」と門脇。 ハッとしたシーンここからは観客からの質問に答えるコーナーに。 監督とプロデューサーはどんな印象?また、髙橋監督と白石さんの印象を聞かれると、生田が「この映画に参加することを決めてから、「(髙橋監督は)本当に優秀だよ」というのを本当に沢山の方から言われまして、映画を撮っているという現実を噛み締めている監督をみているのが幸せでしたね。」と、門脇が「髙橋監督はとにかく柔らかい暖かい雰囲気があって、その中でも緊張感もあって、どのようなモチベーションで撮っているか、そういう熱って絶対に伝わるので、その中で仕事をしているのが幸せでたまらなかったですね。白井さんも何度もご一緒していますが、チャーミングな監督ですが、血まみれのシーンとかすっごい笑って撮っていますね。(笑)物申したいことが腹の中に沢山ある人で、そういう話を具体的にやるんじゃなくても、感じるので、ものすごくエネルギーを感じる人ですね。」と今度は監督と白石プロデューサーを役者陣が大絶賛。 16mmの撮影に大興奮!16mm フィルムで行われた撮影に関しての質問になると、生田が「フィルムで撮影すると、8分しか撮影できないんですね。そのリミットが来ると、フィルムチェンジの時間が来て、時間がかかるから待つんですよ。その待っている時間がすごく好きで、待ち時間の間に撮影部や照明部とコミュニケーションできるのがたまらなく好きで、フィルム映画を映画館で観る機会が少なくなってきているので、フィルムでしか刻めない味とか香りを楽しんでいただきたいですね。」と満面の笑顔。さらに門脇も「フィルムってだけでテンション上がりますよね!自分がずっと観てきて大好きな映画のあの監督も役者さんもフィルムチェンジっていう時間を通ったんだっていうのがすっごい嬉しいし、スタッフの皆さんが嬉しそうなのでこっちも嬉しくなりますね。」とこちらもテンション高く話した。そして、髙橋監督は「メリットで言うと、水の表現とか、光に映る水や、太陽、滝のシーンはフィルムで撮って良かったな、というのがありますし、粒子が荒れていて、ざらついていたり、映像の中で粒が見えたりするんですが、そういったところがこの映画の中では非常に有効だったと言うのがありますね。」と、本作のポイントの一つであるフィルム撮影の魅力を語った。 最後に…最後に生田が「この映画はエンタメ作品ではないし、心を抉られるようなシーンもあると思うのですが、この映画を観る前と観た後では世界が変わって見えると思います。長年かけて完成したこの映画をたくさんの人に見ていただければと思いますので、みなさんお力をお貸しいただければと思います。」と、門脇が「口コミでじわじわ広がる映画、今年絶対ナンバーワンですよね。インタビューも言葉選びが難しかった作品ですが、だからこそ、おひとりおひとりの口コミで本当の良さが伝わってくる映画だと思うのでお願いします。」と、が「現代人って岩切のようにどこか心の中が渇いていて、愛が足りなくて渇いて、色々な状況で渇きがあると思うんですよね。この作品は、河林さんが書いた作品を、髙橋さんによって映画化された時点で化学反応が起きていて、渇いた心にちゃんと水を届ける作品になったと言うのを観るたびに感じています。小説はビターな終わり方なのですが、映画は観て良かったな、もうちょっと人間とか社会を信じてみようかなと言う作品になっているので、是非応援していただければと思います。」と、髙橋監督が「御三方が言い尽くしていただいたのですが、いい原作、いい脚本、16ミリフィルムで撮られて、スタッフ、キャストの皆さんが全身全霊をかけてつくっていただいたので、そういう良い芝居が観れる、良い映像だったと言うことを周りの方々に広めていただければと思います。本当に僕だけではなくて、スタッフキャストが一丸となってつくった映画なので、そこを感じ取っていただければと思います。」と話し、イベントを終えました。 |
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『渇水』6月2日(金)全国公開 1990年、第70回文學界新人賞受賞、第103回芥川賞候補となり注目を浴びた河林 満による「渇水」。〈生の哀しみ〉を鮮烈に描いた名篇が、『凶悪』(13)、『彼女がその名を知らない鳥たち』(17)、『孤狼の血』シリーズ(18、21)、『死刑にいたる病』(22)など、多くの重厚な作品を世に贈り出し続ける映画監督・白石和彌の初プロデュースにより刊行から30年の時を経て映画化した。監督は、根岸吉太郎、高橋伴明、相米慎二、市川準、森田芳光、阪本順治、宮藤官九郎ら錚々たる監督作品で助監督としてキャリアを重ねた髙橋正弥。主演には、『土竜の唄 シリーズ』(14、16、21)、『彼らが本気で編むときは、』(17)、『湯道』(23)など数々の映画作品、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(22)でも話題となり、華やかな人気と、多彩な役どころを変幻自在に演じ分ける実力を併せ持つ俳優・生田斗真。 水道料金を滞納する家庭の水を日々停めて回る業務に就く水道局員の主人公・岩切俊作が、心の渇きにもがきながらも“生の希望”を取り戻していくという難しい役どころを体現した。さらに門脇麦、磯村勇斗、尾野真千子ら実力派俳優が揃い踏み脇を固める。 物語・・・ |
生田斗真
門脇麦 磯村勇斗
山﨑七海 柚穂/宮藤官九郎/宮世琉弥 吉澤健 池田成志
篠原篤 柴田理恵 森下能幸 田中要次 大鶴義丹
尾野真千子
原作:河林満「渇水」(角川文庫刊)
監督:髙橋正弥 脚本:及川章太郎 音楽:向井秀徳
企画プロデュース:白石和彌
主題歌:向井秀徳「渇水」
製作:堀内大示 藤島ジュリーK. 徳原重之 鈴木仁行 五十嵐淳之 企画:椿宜和
プロデューサー:長谷川晴彦 田坂公章 ラインプロデューサー:原田耕治
撮影:袴田竜太郎 照明:中須岳士 小迫智詩 美術:中澤正英 録音:石貝洋 スタイリスト:清藤美香 ヘア・メイク:酒井啓介(生田斗真) 渡辺順子
キャスティング:田端利江 編集:栗谷川純 カラリスト:髙山春彦 整音:劉逸筠 助監督:山下久義 制作担当:土田守洋 企画協力:佐久田修志
製作:「渇水」製作委員会
製作プロダクション:レスパスビジョン
制作協力:レスパスフィルム配給:KADOKAWA
©「渇水」製作委員会
2023/日本/カラー/ヨーロピアンビスタ/100分