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越川道夫監督最新作

『海辺の生と死』『アレノ』『愛の小さな歴史』『あざみさんのこと』『アララト』など高い文学性と街に生きる人々の生と性を独自の視線で描く手法から、孤高の映像詩人と謳われる越川道夫監督の最新作『さいはて』。街に生きる人々の生と性を捉えてきた越川の温かな視線により、それぞれに喪失と空虚感を抱く男女二人の街から森へ、やがて海へと展開する旅路と目映い恋模様を映しだす、新たな傑作が誕生しました。映画『さいはて』2023年5月6日(土) K’s cinemaにて公開 ほか全国順次ロードショーとなります。

ヒロイン・モモには、本作が長編映画初主演となる新進女優 北澤響。人生に絶望した男性を哀愁漂う演技で魅せるトウドウ役には、中島歩。
『さいはて』『さいはて』
この度、『さいはて』でトウドウを演じる中島歩のオフィシャルインタビューが到着。
さいはて_中島歩
配給やプロデューサーとして数々の作品を生み出し50歳で監督デビューした越川監督との初現場となった本作での演技構築について、長編映画初主演を務めた北澤との共演シーンでの裏話など、たっぷりインタービューです。

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中島歩インタービュー

さいはて_中島歩
Q.トウドウのキャラクターにはどのような印象を受けましたか?
かなり複雑な過去のある人間なので、演じるのはなかなか難しい役だと思いました。優しい人というよりも、優しすぎちゃった人という印象です。

Q.越川監督と役作りについてどのような話をしましたか?
どういう役にしようというよりも、どういう芝居をしていくのかを話し、共有していきました。現場で生まれるものを大切にして、北澤さんと僕の間で出てくるものを共有し、積み重ねていきました。僕はどんな役であっても事前に固めるってことはあまりしません。「この人はどんなふうに伝えるんだろう」みたいなことを考え、どんな些細なことであっても現場で生まれるインスピレーションを大切するようにしています。越川監督からも現場で生まれるものを大切にして、それを撮りたいという気持ちが伝わってきたので、「だよね?」という感じで作っていきました。

Q.越川監督にはどのような印象を持っていましたか?
作品を拝見し、俳優への尊敬と愛がものすごく強い方だと思っていました。実際に「俳優がよく撮れればいい」と常に口にしていましたし、撮影中も出来上がった作品からも、役者のプライオリティの高さが感じられます。何でそれを感じるのかというと、具体的には編集やカメラの位置になるのかな。一緒に映画を作る中で、俳優部への言葉からも尊敬と愛を常に感じることができました。

Q.公開決定イベント(2022年12月22日実施)では「体力的にかなり大変だった」とおっしゃっていましたが…。
かなり疲れました(笑)。7日間の撮影で、相模湖、九十九里などたくさんのロケ地を訪れました。一番大変だったのは海に入るシーンです。6月でしたが体の芯から冷えました。人生で一番、お風呂のお湯のありがたみを感じた瞬間だったかもしれません。「お湯って素晴らしい!」って思うくらいに、ありがたかったです。

Q.モモ役の北澤さんの印象を教えてください。
割とフィジカルな芝居が多い現場でした。リハでは言葉だけでやることもあるので、表現は限られてきます。フィジカルな芝居の撮影では、現場で有機的というのかな、豊かになっていく印象を受けました。表情、表現がどんどん引き出されるというか溢れ出てくると言うか。越川監督からも「できるじゃん!」なんて声が飛んでいたくらいです。最初は「まっすぐな人」という印象が強かったけれど、撮影が進むに連れていろいろな魅力を発見した気がします。

Q.公開決定イベントでは、越川監督と中島さんが北澤さんについて「まっすぐな人」と声を揃える場面もありました。
まっすぐな人という印象は最初から最後まで変わらなかったし、久しぶりに会ってもやっぱりまっすぐでした(笑)。全振りの人です。迷いがないというかな。僕も不器用なので、まっすぐにしかできない彼女の不器用さがよく分かります。
そして、とにかく元気な人です。僕は撮影を振り返ると、大変、疲れたという言葉を使っちゃうほど、消耗した感覚があるけれど、北澤さんはずっと元気でした。自信をつけていくことで、どんどん元気になっていったのかもしれません。「こんなふうにやっていいんだ」みたいな自信がついていくのが、隣で見ていて手に取るようにわかりました。
俳優って「本当にこの役は自分でいいのかな?」という迷いがあったりするもので。以前、イギリスの演出家と仕事をしたときに、アントニオ・バンデラスだってそんな風に言うことがあるんだよと教えてもらって。アントニオ・バンデラスにあるなら、僕にあってもおかしくないし、「分かる!」って思って少し気も楽になりました。その演出家に「ちゃんと自分に許可を出しなさい」と言われたのですが、今回の北澤さんはまさにそれを体現しているようでした。

Q.北澤さんの自信や変化を感じたシーンの撮影エピソードを教えてください。
海に入った後にホテルに行くシーンは印象に残っています。渋谷のホテルに1日中閉じ込められて撮影した大変なシーンの一つです(笑)。北澤さんはいつものようにフルスイングで、弱まることなく体当たりしてきました。血のついた足にキスをした後、抱き寄せてまたキスをするのですが、これは台本になかった芝居。現場で何かが生まれたらいいなという監督の思惑が形になったシーンです。疲れたけれど、充実した時間でしたし、僕にとってもお芝居をやっていく上で、何か新しいフェーズが見えた感じもしました。感情の起伏が激しい役や作品は、たまにやらないとダメだなとも思いました。限界突破みたいなことを経験できることもありますから。でも、これだけ消耗するのは“たまに”でいいですけどね。

Q.ぶつかり合いという印象が強いモモとトウドウ。二人が出会うシーンは、振り返ると静かな入り口だった気がします。
あのバー、すごく素敵ですよね。今回の映画はロケーションがめちゃくちゃ素晴らしいと思います。時計の音や置いてある本など、外国の方には相当エキゾチックに映るんじゃないかな。実は、僕も個人的に行ったことのあるバーだったので、撮影はちょっとテンションが上がりました。

Q.本作の見どころとメッセージをお願いします。
監督、俳優の“本気”が映っている作品です。僕のおすすめは音。全方位の音が拾えるマイクをカメラの脇にポンと置く方法を採用しています。音楽はアーティストでもある宇波拓さんがやっているだけあって、音のこだわりを感じていただけるはずです。映画館で音を堪能して欲しい作品です。死にたいふたりが本気で生きている姿が訴えるものを感じ取っていただければうれしいです。

Interviewer:タナカシノブ

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『さいはて』

5月6日(土)よりK’s cinemaにて公開、ほか全国順次公開。

公式サイト:
@saihate/

公式Twitter:
@EroticaQueen21

ストーリー
手をつなぎ果てまで逃げる二人
ある日、居酒屋で知り合う若い女性モモと、40歳の男性トウドウ。夜の街で手をつなぎ、「靴が鳴る」を歌いながら歩く二人。やがて二人は互いを求め合い、身体を交わす。翌朝、昨晩の記憶をたどりながら「道行みたいだね」と語るトウドウ。その言葉の意味を理解したモモは黙って彼に泣きつく。それぞれに辛い過去を持つ二人は海を目指して、この世界から逃げる事にする。
『さいはて』

『さいはて』

『さいはて』

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出演:
北澤響 中島歩
金子清文 美香 内田周作 君音 杉山ひこひこ

監督・脚本 越川道夫

製作:村上潔
プロデューサー:山口幸彦
製作:キングレコード
制作:スローラーナー
配給:キングレコード 宣伝:ブラウニー
©2023 キングレコード

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