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完成披露舞台挨拶

阪本順治の映画監督30作品目にして初の時代劇映画『せかいのおきく』の完成披露試写会が4月5日に行われ、主演の黒木華、共演の寛一郎、池松壮亮、佐藤浩市、企画&プロデューサー&美術監督の原田満生、そして阪本順治監督が登壇しました。
『せかいのおきく』完成披露

『せかいのおきく』完成披露舞台挨拶

日程:4月5日(水)
場所:テアトル新宿
登壇:黒木華、寛一郎、池松壮亮、佐藤浩市、原田満生、阪本順治監督

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黒木華、寛一郎、池松壮亮、佐藤浩市

主人公・おきく役の黒木は循環というテーマを含んだ本作について「お話をいただいたときはウンチの話だとは知らなかった」とジョークで笑わせながら「凄くロマンチックな青春物語で撮影が楽しみでした」と興味津々。おきくを演じる上で阪本監督からは「おきゃん」というアドバイスがあったそうだが「普段聞かない言葉なので、どういうことだろうかと監督に聞きながら演じていきました」と撮影を振り返った。これに阪本監督は「おきゃんって聞かない?要するに、ずけずけと大人にモノを言ったりする、活発な人という意味です」と解説していた。

中次(ちゅうじ)役の寛一郎は「環境問題もさることながら、もう一つのテーマである“循環”と言うところに興味を持ちました。僕が演じた中次はある世代の代表的役柄でもあるので、自分の立ち位置を考えながら演じました」と回想。矢亮(やすけ)役の池松は「社会問題と映画を結び付けられることができるということを映画で見せていけるのは素晴らしいこと。この企画自体が素晴らしい取り組みだと思った」と意義ある参加だと述べた。

撮影中、寛一郎と池松には裸の付き合いがあったという。池松が「体が汚れるところがあって、そんなシーンの撮影後には2人でお風呂に入って体を流したりした」と振り返ると、寛一郎は「毎日一緒にお風呂に入るのが日課でした。撮影で使ったウンコは実際に発酵させているので臭いんです」と苦労も。これに原田は「撮影で使われているものは、段ボールやお麩で作りました」と舞台裏を紹介した。

おきくの父・源兵衛(げんべえ)役の佐藤は、長男である寛一郎が横にいることにソワソワしているのか、「この並びが嫌だなあ。恥ずかしいなあ」と阪本監督の背後に隠れようとしたりするも「見たことがあるようでない時代劇が出来た」と胸を張る。常連の阪本組だが「あの時代を生きる若者たちと時代の終わりを悟りながら消えていく者たちの人間ドラマが上手く取り込まれていて、僕はその世界の中で楽しく遊ばせていただきました」と充実した表情を浮かべた。

企画&プロデューサー&美術監督の原田は本作誕生の経緯を「自分が大病を患ったり、コロナ禍になったり、価値観が崩壊する中でどうやって生きてどのように映画と向き合っていこうかと思った時期に、環境問題への関心が生まれた。循環というテーマで映画を作れないかと思って立ち上げたYOIHI PROJECTの第1弾となる映画が本作」と説明した。

本作はロッテルダム国際映画祭のプログラマーから「今までの時代劇にはない全てがある」と称賛された。これに阪本監督は「海外では日本の時代劇というと侍が馬に乗って街道を駆け抜けるイメージがあるが、最下層に生きる若者を主人公にしたという点が目新しかったのではないか」と分析しながら「淡い恋愛を含めた娯楽作品にしなければと思うと同時に、コロナ禍の閉塞感もあって、やけクソでクソ真面目に撮りました」と言葉に力を込めていた。

江戸時代のいのちの巡りを描き、現代そして未来へ大切なテーマを運んでくれるような本作にちなんで「100年後にも絶対に残っていて欲しいもの」をそれぞれ発表。黒木は「映画・舞台」、池松は「平和」、佐藤は「劇場」と返答した。一方、寛一郎は「DNA」と書いて「今回のテーマである“人が受け継ぐ”という意味もそうだし、横に父がいるのでなんですが、このいまいましいふざけた佐藤家のDNAが100年後も残っていて欲しいと思って」とひねくれつつもサラブレッドとしての誇りを口にし、父・佐藤は「コラ!」と叱りながらも表情を緩めていた。

最後に主演の黒木は「映画を愛している人たちが集まって3年かけて作った作品。愛と希望の詰まった作品なので、S色々な方に伝わったら嬉しいです」とヒットを祈願していた。

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映画『せかいのおきく』

公式サイトURL:
http://sekainookiku.jp/

『せかいのおきく』
せかいのおきく
つらく厳しい現実にくじけそうになりながら、それでも心を通わせることを諦めない若者たちを描く、愛おしい青春物語が誕生。
日本映画界を長年にわたり牽引してきた阪本順治の監督30作目は、初のオリジナル脚本による時代もの。とはいっても、髷姿の侍たちが斬り合うような活劇ではない。社会の底辺を生き抜く庶民に目を向け、苦難に直面しながらもたくましく、したたかな彼らの姿を通し、〈人と人のぬくもり〉と〈いのちの巡り〉を映し出す。若者たちを中心に、その恋や青春を軽やかに描いた、阪本監督の新境地でもある。
主演は、その卓越した演技力でもはや日本映画界に欠かせない存在となった黒木華。共演に、日本映画界の次世代を担う演技派の寛一郎と池松壮亮。さらに眞木蔵人、佐藤浩市、石橋蓮司らベテラン俳優が絶妙なアンサンブルを見せる。モノクロ、スタンダードサイズの映像は鮮烈で、墨絵のように美しい。そこに暮らす人々の様子と、ときおり映し出される自然のさまざまな表情は、日常の、世界の美しさを伝え、観る人をぬくもりで包み込む。
物語の背景には、糞尿を肥料として農業に用いるなど、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の最先端にあった江戸時代の日本の風景が重ねられている。日本を代表する美術監督であり、本作で企画・プロデュースを務めた原田満生は言う。「この映画で観る人の環境意識が変わるとは思わないが、こんな時代があったことを多くの人たちに、特に若い世代の人たちに知ってもらいたい」。人情の温かさ、青春の光、生のきらめきが余韻と共に心に響く、至高の日本映画が誕生した。

YOIHI PROJECTとは

美術監督・原田満生が発起人となり、気鋭の日本映画製作チームと世界の自然科学研究者が連携して、様々な『良い日』に生きる人々の物語を「映画」で伝えるプロジェクト。本作は、劇場映画第1弾。人々があらゆる物を大切に使い、人間の排泄物さえも肥料とし、限られた資源を使い尽くし循環型社会を確立していた江戸時代を舞台に、150年以上前のライフスタイルが教えてくれる未来のためのメッセージを、若者の青春を描いたエンタテインメントとして昇華させている。

公式サイト:
https://yoihi-project.com/

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脚本・監督:阪本順治
出演:黒木華寛一郎池松壮亮眞木蔵人佐藤浩市石橋蓮司
製作:FANTASIAInc./YOIHI PROJECT
制作プロダクション:ACCA
配給:東京テアトル/U-NEXT/リトルモア
第52回 ロッテルダム国際映画祭ビッグスクリーンコンペティション正式出品
(c)2023 FANTASIA
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