1月31日よりシネスイッチ銀座にて公開されます、ジャン=リュック・ゴダール監督の新作映画
「さらば、愛の言葉よ」 その公開を記念し、 |
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日 時:19日(月) 場 所:シネスイッチ銀座 登壇者:よしひろまさみち、川端寿子 登壇者プロフィール: ☆よしひろまさみち(映画ライター) ☆川端寿子(「an・an」編集部) |
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女が女を装うのは無敵!
川端さん:今日このトークに登壇するということで、「勝手にしやがれ」の中にもよく登場するボーダーの服を来てきました。今年の春はボーダーが来ているので、映画の中に登場するようなコーディネートも着れますよ! よしひろさん:ボーダーの嵐ですよ! 川端さん:学生のときに初めて「勝手にしやがれ」を見たんですが、当時ジャン=ポール・ベルモンドがすごくかっこよく見えて、わたしの理想の男性だったんですけど、今見直すとダメ男だなぁと(笑) よしひろさん:どうみてもダメ男でしょ!(笑) よしひろさん:ゴダールの映画はどのシーンを切り取ってもフォトグラフとして成り立つところがすばらしいですよね。あと女優の選び方がすばらしい。 川端さん:(勝手にしやがれの主演)ジーン・セバーグと(ゴダール映画の初期のミューズであり最初の妻)アンナ・カリーナだったら、よしひろさんはどちらが好きです? よしひろさん:わたしはジーン・セバーグかな。ショートカットの女性はかわいいですよね。今、ジーン・セバーグ的なミューズというとミシェル・ウィリアムズとか。こまっしゃくれたキュートな感じ。ショートカットにボーダーだと少年っぽくなるのに、ゴダールの選ぶ女優は、男性が見ても女性が見てもセクシーなんですよね。
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川端さん:あとゴダールの映画には、女の子のクローゼットが出てくるシーンが多いんですけど、同じ映画の中でいろいろなスタイルが見られるというのも特徴ですね。実はan・anの12月の特集で映画特集を組んだんですが、SMAPのみなさんにかつての名作の俳優さんを演じていただいたんです。そのなかで「勝手にしやがれ」のジャン=ポール・ベルモンドを演じていただいたのが中居さん。最初「私が理想としていたベルモンドを中居さんが!」と思ったんですが、すごくハマってビックリして。ご本人も映画を御覧になっていて、「これを演じるんですね」とおっしゃっていました。今日1999年発売のエスクワイア日本版のヌーヴェルヴァーグ特集を持ってきたんですが、やはり「勝手にしやがれ」の2人が表紙。名作というのはフォトジェニックで、ファッションも不動のものがありますね。
よしひろさん:今女性誌で取り上げようとする映画の切り口というのはファッションなんです。「プラダを着た悪魔」が代表的ですけど、有名ブランドがタイアップしていたり、有名スタイリストが衣装をやっていたり。けれどヌーヴェルヴァーグの映画はノンブランド、だけどオシャレに見える。 川端さん:ゴダールの映画の衣装はフランスのスーパーの安い衣装だったりするそうですね。 よしひろさん:フランスの一流メゾンって、最初映画を俗っぽいものとして遠ざかろうとしていたんです。ファッション的にゴダールの映画やフランス映画を見ると、ブランドとノンブランドの組み合わせとか、その自然体がかっこいい。そこに私たちは惹かれているのかなと思いますね。 川端さん:わたしはアンナ・カリーナの赤いニットがすごく好きで、3,4年に1回はブームが来ますね。ゴダールの映画は赤がポイント。字幕にしても衣装にしても、赤がアクセントになっていることが多いですね。 よしひろさん:わたしがゴダール映画の女優で一番すきなのはブリジット・バルドー。あれはね、あそこまで行くと女装なんです(笑)昔女装して遊んでいた時代に「軽蔑」のときのBBの真似して髪をアップにしてすごいつけまつげとかしてました。バルドーっていっても解ってもらえず「あんたそれ和田アキ子でしょ!」って言われる始末ですよ(笑)ドラァグクイーンは女性のセクシーさを男がどれだけ装えるかなんです。女が女を装うのは無敵なんです。 川端さん:わたしも装って今日はヒールはいてきましたけどね。映画の中のジーン・セバーグやアンナ・カリーナはぺたんこ靴なんですけど。 よしひろさん:それで階段でコケてたでしょ(笑) |
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川端さん:新作の「さらば、愛の言葉よ」は、もう一度今までのゴダール映画を復習したくなるような映画でした。どこを切り取っても絵になるのは今も変わらないし、写真集を見ているような美しさ!私がカメラマンだったら、この構図をやってみたいと思うかも。今日上映された「勝手にしやがれ」は、わたしが初めて観た時から20年近く経ちましたが、感じ方がいろいろ変わってきました。時間が経って理解できるものもあるんじゃないかなと思います。もう一度、今までのゴダールの映画を見直して、「さらば、愛の言葉よ」を観るのもオススメですね。 よしひろさん:今ゴダールは84歳、80歳をすぎて3D映画を撮ったってことそれだけでもう粋ですよね。じつは「さらば、愛の言葉よ」はカンヌ映画祭で審査員特別賞を受賞しているんですが、カンヌの出品スケジュールって直前までわからないんです。もうすぐ出発するというときにゴダールの新作が出るとわかって騒然となりました。「新作があるんだ!」という。そして見てまた騒然となりました。賛否両論なんです、それは日本だけでなく国際的にも。私は映画ライターという職業についていて、この映画を観たときに、これはゴダール先生からの挑戦状なんだと受け取りました。感覚で見るものなんだなと。色彩は蜷川実花の写真集みたい。それが3Dで迫ってくるんですよ(笑)小難しく考えちゃうといくらでも考えられると思う、でもビジュアルの素晴らしさ、インスタレーションを見る感覚で見てほしいと思いますね。 「さらば、愛の言葉よ」 |
監督・編集・脚本:ジャン=リュック・ゴダール
撮影:ファブリス・アラーニョ 『ゴダール・ソシアリスム』(2010)
出演:エロイーズ・ゴデ、カメル・アブデリ、リシャール・シュヴァリエ、ゾエ・ブリュノー、ジェシカ・エリクソン、クリスチャン・グレゴーリ、withロクシー・ミエヴィル(アンヌ=マリー&ゴダールの愛犬)
2014年/フランス映画/フランス語他/69分/原題:Adieu au Langage 3D/
英題:Goodbye to Language 3D
© 2014 Alain Sarde – Wild Bunch
配給:コムストック・グループ / 配給協力:クロックワークス