巨匠ルキノ・ヴィスコンティ監督による名作『ベニスに死す』(71)で“世界で一番美しい少年”として当時一大センセーションを巻き起こしたビョルン・アンドレセンの衝撃の真実を描いたドキュメンタリー『世界で一番美しい少年』が12月17日公開となります。
そして、12月16日。 ビョルン・アンドレセンが当時15歳でタジオ役に抜擢された2年前の1969年、松本俊夫監督にやはりスカウトされ、『薔薇の葬列』で華麗なデビューを飾った池畑慎之介。本作や『ベニスに死す』の感想だけでなく、黒澤明監督の『乱』(1985)で黒澤監督から出演オファーを受けた時の驚きのエピソードや、デビュー直後の忙殺された日々についてなど、色々語りました。 |
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映画を観た感想として、「『ベニスに死す』から50年経った時代の移り変わりを考えさせる、少しショッキングなところもあるドキュメンタリーでした。時の過ごし方をどう考えればいいのかということも考えさせられます」と明かす。
池畑といえば、16歳の頃にピーター名義でアヴァンギャルドなATG映画『薔薇の葬列』(1969)に出演し、芸能デビューを飾ったことで知られるが、自身のデビューについて、「ビョルンより少しだけデビューが早かったけど、”世界で二番目に美しい少年”でした(笑)」とジョークまじりに振り返る。 『ベニスに死す』をこれまで2度観ているという池畑は、「ビョルンのプロモーションビデオのようでもありますよね」と語る。その上で、劇中のアンドレセンについて「彫の深さと肌の透き通るような綺麗さ!」と、その姿に言及。その上で、自身のデビュー時のブロマイド写真がステージに飾られると「もういいよ!なんでこんな色黒に生まれたのか…」と自虐で笑わせた。 1969年にヒットした楽曲『夜と朝のあいだに』のブレイク時を振り返り「連日連夜全国に連れまわされて仕事をしていた時代。記憶が点々としかない。1日7本くらい仕事をして、大人たちの食い物にされていることだけはわかっていた。17、18歳で億は稼いでいたのに、4年くらい月給10万円で、周りの大人たちががっぽがっぽ。だから、事務所を退所する時は全部帳簿持って出たんで(笑) 搾取されてたんですよね…」と昭和のショービズ界ならではのハチャメチャぶりを回想した。 市川崑監督の『獄門島』 (1977)、『病院坂の首縊りの家』(1979)や、黒澤明監督の『乱』(1985)にも出演。黒澤監督から『乱』への出演オファーを受けた時のエピソードとして、「今はお金はないけど、いつか資金がたまったら『乱』という映画を撮りたいんだ、と言われたんです」と、すでに池畑自身を当て書きして作られた絵コンテを見せられたという。「すでに私の顔になってたんです。それがすごく嬉しくて…」と感慨深そうに振り返る。オファーから実際に撮影をした時は5年以上経っていたという。 今年で芸能生活53年になる。長い活躍ぶりの秘訣については「健康で病気をしないこと。8時間はベッドの中で体を横にする」と明かし「楽しいお仕事をさせてもらえるのも健康の秘訣。周りから『ゆっくりしたら』と言われるけれど、ゆっくりしてしまうとそのまま逝ってしまいそう。ジッとしない症候群の方がいい」と生涯現役宣言。 そのために『死ぬまでにしたい100のこと』をノートに書き溜めているという。「些細な事でもいい。書いてみて、それをやったら消す。書いたものを見るとそれをやりたくなる。ずっと書き溜めるからゼロになることがない。それがあると後ろを向かない。明日何をやろうか、明後日何をやろうかとスケジュールを自分でマネジメントできる」とお勧めし「自分の人生をまたもう一度やり直したいと思って死にたい。だからこそ辛いことも乗り越えて喜びに変えたい」とポジティブマインドの必要性を説いていた。 最後に映画の見どころとして、「私も来年70歳。見ていてドキッとする場面をあったけれど、人生においての時の流れを感じた。残された時間をどう過ごせば素敵になるのか考えさせられました。ビョルン・アンドレセンの人生が出てくるドキュメンタリーだけれど、生きるとはこういうことなんだ……と思わされる作品です」とメッセージを送った。 |
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『世界で一番美しい少年』12月17日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテ他全国順次公開 オフィシャル・サイト: 公式Twitter: STORY |
監督:クリスティーナ・リンドストロム & クリスティアン・ペトリ
出演:ビョルン・アンドレセン 『ベニスに死す』(71) 『ミッドサマー』(20)
製作国:スウェーデン/英語・スウェーデン語・仏語・日本語・伊後/2021/シネスコ/5.1chデジタル/98分/字幕翻訳:松浦美奈/映倫G
© Mantaray Film AB, Sveriges Television AB, ZDF/ARTE, Jonas Gardell Produktion, 2021