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石井裕也監督x瀬々敬久監督トーク

第42回講談社児童文学新人賞を受賞した『十二歳』で作家デビューし、数々の受賞歴のある椰月美智子の2016年に出版された同名小説を原作に、子を持つ親なら誰もが直面する問題を社会派エンタテインメントの旗手である瀬々敬久監督が豪華女優陣を迎え映画化した絶賛公開中の映画『明日の食卓』。『明日の食卓』

同じく絶賛公開中の映画『茜色に焼かれる』。
2020年、突如世界に出現した新型コロナウィルス。
全世界的にも多くの人が仕事を失い、貧困に喘ぐひとり親家庭も増えてしまった世の中で。そんな中、『川の底からこんにちは』『舟を編む』の石井裕也監督が『ぼくたちの家族』で向き合った家族をテーマに、幼い頃に亡くなってしまった自身の母への深い想いを込めて、コロナ禍でもがき続けながらも一生懸命に生きるシングルマザーの姿を描いた本作。映画を通して社会への不条理と希望を見出そうとする人々へエールを贈る物語。茜色に焼かれる

その両作品が絶賛上映中のキネカ大森にて、7月23日(金・祝)瀬々敬久監督と石井裕也監督が登壇し、「超豪華コラボトークイベント」が行われました。
石井裕也監督x瀬々敬久監督トークイベント

『茜色に焼かれる』『明日の食卓』トークイベント付き上映

日時:7月23日(金・祝)
場所:キネカ大森
登壇:瀬々敬久監督、石井裕也監督

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『茜色に焼かれる』の上映後、『明日の食卓』の上映前に行われた今回のトークイベント。

まず『茜色に焼かれる』の上映後に行われたイベントでは、瀬々監督が石井監督に色々と質問を投げかけた。石井監督の『生きちゃった』(20)、『茜色に焼かれる』、『アジアの天使』を鑑賞し、すっかり石井漬けになっているという瀬々監督だが、今作『茜色に焼かれる』はどの様に始まったのかと石井監督に聞くと、「コロナになっちゃって、色々用意してた商業映画が飛んでしまってヤル気を失っていたんですけど、そんな中で急にどうしてもやりたい企画ができちゃって」と明かし、どうしてもやりたかった理由として「コロナになって色んなお達しがでて、その中でどう考えたって人間の感情とか心っていうものが置き去りにされていっているのは間違いなくて、そういう状況を去年6月位に感じまして。それと個人的に自分の母親が死んだ年齢を超えちゃったんですよね。そういうものすごいマクロなものとミクロなものが丁度重なって、やりたいなと思ったんです」と語る。石井裕也監督x瀬々敬久監督トークイベント

石井監督が「自由3部作」と呼んでいる作品(『生きちゃった』(20)『茜色に焼かれる』『アジアの天使』)を観た時に、どれも共通しているのが芸風が変わったということだったという瀬々監督。「低予算というのもあるのかもしれないですけど、その場の空気感とかを大事にしていて、また共通テーマとして“生と死”というのが必ず出てきている。石井監督の中で、変化というようなものが訪れている感じがしたんですけど、いかがですか?」と投げかけると、「その前に…映画監督の人にこうやって聞かれるのは初めてで(笑)」と苦笑いする石井監督。「監督って独特ですよね。よく俳優の人に圧があるとか、目が恐いとか言われるんですけど(笑)。面白いな、あんまりないですよね…今日来てよかったです」と笑いあう2人。話を戻し、自身の“変化”について石井監督は「なんというか、商業映画を監督に徹して撮ってくださいと言われている時と、自分の衝動とか欲求で作る時の違いがあるかって聞かれたらあるんですけど、ないといったらないというか、そういうような感じですよね」というと、瀬々監督も「まさにそうです」とうなづく。続けて「なので自由3部作というのは、従来の日本映画の商業映画のシステムとは全然違う所でやったというので、学生の時の自主映画のシステムに近いと思う。だから低予算で現場の人間も少ないしという状況で、稚拙な言葉ですけど気迫というか、そういうようなものを見せるしか最近の映像業界の地殻変動が起きている中で、太刀打ちできないっていう思いもあったし、あとはアクセルをいっぱい踏んでみて、自分がどこまで走れるのか確かめてみたいという気持ちもあったんだと思います」と語る石井監督。さらに「あとは配信とか、そういうものがある種のジャンルレスになっているし、異種格闘技戦を申し込まれているようなもの。まだ映画は旧態依然でしか作れないという状況が歯がゆくて、どうにかして変えていかないといけないなと思っているし、日本の映画界を変えるみたいな大それたことではなくて、自分の製作者としての方針みたいなものは決めないといけないなとは思っています」と語った。
そんな石井監督の作品について、瀬々監督は「石井君の映画は最後に抜ける所を作るというか、僕たちの日常から一個飛び越えているようなものが世界にはあるんだぞっていう所を示そうとする。それはやっぱりいつも見ていて素晴らしいなと。逼迫している状況なんだけど抜けを作るというか、そこに世界の素晴らしさとかを見せてくれる。茜色もまさにそうだと思うし、3部作でいうとそこだけは変わっていないと思う」と自身の考えを明かした。
石井裕也監督x瀬々敬久監督トークイベント
さらに『茜色に焼かれる』で主演を務め、『明日の食卓』にも出演している尾野真千子さんについて、瀬々監督は「(『茜色』の尾野さんは)普段の尾野さんと近いなという表情がいっぱいある。まんまという所が多い。アテガキっぽい所もあったんですか?」と石井監督に聞くと、「まんまアテガキですね。また自分の母親をイメージして書いていて。尾野さんは5年前位に連ドラでご一緒して、そこで『なんかあったらなんでもやるでー』みたいな感じで仰っていて、それってつまり次呼ばれたら本気でいくでっていうメッセージなので、逆にその間は声をかけづらかったんですよ。今回、映画の年齢的にも概要的にも命がけになるものだったので」と、尾野さんの出演への思いを明かした。

続けて、『明日の食卓』の上映前に行われたトークイベントでは、さっそく石井監督が瀬々監督と以前会った時のエピソードを告白。「前にホリプロで俳優の方とかも交えて飲みましょうというのがあって、李相日さんとか妻夫木さんとか女優さんたちがいらっしゃって、そんな中で一応お客さんで来ているので緊張するんですけど、そこで僕が強烈に瀬々さんを尊敬するきっかけになったんですけど、二の一番に率先して泥酔するっていう(笑)。でもこれはすごいことなんですよ。そうすると若手はいきやすいんです」と述懐すると、瀬々監督が「もうこれは飲むしかないなと思って(笑)。酔っぱらうしかないなと」思ったと当時を思いだすと、石井監督がさらに「喫煙所行く時も、抱えられるように…(笑)」と明かし、瀬々監督も「大人として、人間としてひどかったと思います」と話して会場の笑いを誘った。

続けて『明日の食卓』の話になると、石井監督が「3人の女優さんが出演されるということで、本人の意思に関わらず競うようなというか、そういうのにトライする女優さんもすごいと思うし、それを演出する監督もすごいと思う」と語ると、瀬々監督は「でも一緒に共演するシーンはないですしね。一人5日から1週間、一人ずつ撮っていくっていう。初めての試みでしたけど。連ドラ3話分撮っている感じ」だったと話す。
さらに昨年、『護られなかった者たちへ』(今年10月公開)を6月に、『明日の食卓』を7月に、そして10月頃から『とんび』のなんと3本を撮影していた瀬々監督。さらに『明日の食卓』は3つのパートに分かれており、その作品数の多さにびっくりする石井監督が「普通に考えて、僕だったら全部に本気を出せないんですけど(笑)。それに関してどう思っているのか聞いてみたいんですけど…常に本気を出して、魂を焦がして撮って、よくなる場合とよくならない場合があるじゃないですか。ちょっと抜いてよくなる場合とよくならない場合もある。そういうことは計算はしてやっているんですか?」と深堀りすると、それに対し「計算はしていないんだけど、本気の映画って格闘の跡が残ったりする。格闘の跡を愛せる時もあるけど、それが上手くない時もある。仕事でやっている時に、仕事でやってる割には、たまさかとんでもない作品になっちゃたよっていう時もあるじゃないですか。これは予想外にすごいことになったなとか、そういう面白い時がある。映画というのは非常に色んなパターンがある」と語る瀬々監督。さらに作品数の多さについては、「フリーの時代が長いと、仕事を断るともう来ないんじゃないかという恐怖があるんですよね。8割がた断らない。断るのは2割位(笑)」と明かすと、石井監督も「映画.comとか見てても、ほとんど瀬々さんがやってる」と話し、瀬々監督も「そんなことはないですけど、でもそういう生き方を選んだから。だから酔っぱらったりするんだよ(笑)」と会場を笑わせた。

さらに石井監督から、「俳優さんを選ぶ際に、何を重要視されているんですか?」とベテラン監督である瀬々監督に質問が飛ぶと「人柄だよね(笑)」と即答する瀬々監督。「演技力ではなく?」と石井監督が聞くと「演技力より人柄だよね」とさらに即答。「でも悪い人がいい芝居するこもありますよね」と石井監督が聞くと「それは往々にしてあるよね(笑)」と瀬々監督も爆笑。
またカット割りについて石井監督から質問が飛ぶと、「事前にカット割りはしておくけど、大体その通りにはいかないね。とりあえず考えるのは、最初の1~2カット位しか考えない。あとはとりあえず撮ろう!と」なると瀬々監督が明かすと、石井監督も自身の撮り方との違いに興味津々の様子を見せ、なにをやってる時が一番楽しいかという問いには「ダビング」と答える瀬々監督。石井監督も同意し、「一番苦しいのは、脚本と編集じゃない?」と明かす瀬々監督。また『明日の食卓』で「好きなカットが3つあって、全部高畑さんだった」と話す石井監督。そんな高畑さんについて瀬々監督は「やっぱりウソをつけない人、芝居に。ごまかさないというか」と語り、尾野さんについては「化学反応の人。相手が投げた球で打ち方を変えていくというか。やり取りの醍醐味をよく分かっているというか、たぶん尾野さんのキャラがそうなのかなと」と話す。さらに主演の菅野美穂さんについては「菅野さんはもっと野性的というかリズミカルだし、菅野さんが一番面白いのは一気にあげていける、それが彼女の身体性だと思うんですよね。身体がスポーティー」だと明かした。

さらに石井監督は今作に出演している「藤原季節さんがすごくよくて。最近出てきた人で面白いですよね」と話すと、瀬々監督も「昭和な感じというか、それが面白いよね。季節君のお芝居もぜひ注目して」と呼びかけた。

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「明日の食卓」

公式Twitter:
@asushoku_movie
公式サイト:
@ashitanoshokutaku/
『明日の食卓』
監督:瀬々敬久
原作:椰月美智子『明日の食卓』(角川文庫刊)
脚本:小川智子
主題歌:「Motherland」tokyo blue weeps
菅野美穂    高畑充希    尾野真千子
柴崎楓雅  外川燎  阿久津慶人 / 和田聰宏  大東駿介  山口紗弥加  山田真歩  水崎綾女  藤原季節
真行寺君枝 / 大島優子 / 渡辺真起子  菅田俊  烏丸せつこ
製作幹事:WOWOW 制作プロダクション:トラヴィス 配給:KADOKAWA/WOWOW 
(C)2021「明日の食卓」製作委員会 

「茜色に焼かれる」

公式Twitter:
@akaneiro_movie
公式サイト:
https://akaneiro-movie.com/
茜色に焼かれる
監督・脚本・編集:石井裕也
主題歌:「ハートビート」GOING UNDER GROUND
尾野真千子
和田庵 片山友希 大塚ヒロタ 芹澤興人 笠原秀幸 泉澤祐希 前田勝 コージ・トクダ
前田亜季 鶴見辰吾 嶋田久作
オダギリジョー 永瀬正敏

製作幹事:朝日新聞社 制作プロダクション:RIKIプロジェクト 配給:フィルムランド 朝日新聞社 スターサンズ
(C)2021「茜色に焼かれる」フィルムパートナーズ 

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