第33回東京国際映画祭のオープニング作品と、観客賞の対象となる「TOKYOプレミア2020」作品である劇場版『アンダードッグ』。本作は、第88回アカデミー賞外国語映画賞の日本代表に選出されるなど、多数の映画賞を席巻した 『百円の恋』から6年。監督・武正晴、脚本・足立紳をはじめとする製作陣が、キャストに森山未來、北村匠海、勝地涼を迎え、再びボクシングを題材にした作品で、過去のささやかな栄光が忘れられず〝かませ犬(=アンダードッグ)〟になり果てた今も、ボクシングにしがみつく事しかできない主人公を中心に、人生から見放された三人の負け犬たちが、再起を賭けて闘う感動作です。 この度、東京国際映画祭「TOKYOプレミア2020」の公式上映が行われ、舞台挨拶を行いました。 イベントには主演の森山未來、勝地涼、武正晴監督が登壇!拳を交えた激闘試合シーンの撮影秘話や、プロボクサー並みの厳しいトレーニング、それを乗り越えた後に何をしたか等のエピソードなどを存分に語りました。 『アンダードッグ』東京国際映画祭 公式上映 舞台挨拶・Q&A 日程:11月2日(月) 場所:EXシアター六本木 登壇:森山未來、勝地涼、武正晴監督 |
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豪華キャスト陣による白熱のボクシングが繰り広げられた前編の上映を終え、まだまだ熱気の冷めやらぬ観客たちの前に、主人公の崖っぷちボクサー・末永晃を演じた森山未來、芸人ボクサー・宮木瞬を演じた勝地涼、武正晴監督が登場!
客席から大きな拍手とともに迎えられ、森山は「オープニングセレモニーには参加出来なかったので、今日参加できて嬉しく思います。後編も是非楽しんでください」、 前編を鑑賞した観客の興奮にもある通り、劇中では臨場感あふれるリアルなボクシングシーンが映し出されていくが、実際の撮影での様子ついて問われると、森山は「ボクシングシーンは撮影が進むうちにテンションも上がってくるのですが、あくまで撮影なので、長い付き合いの勝地くんとちゃんと冷静な部分も意識しながら、コミュニケーションを取って撮っていきました」と振り返り、勝地は「宮木は基本的に(森山に)殴られる役だったので、振り付けがあっても途中から何が起きているのかわからなくなることもあったんですが、そのたびに未來くんに確認してきっかけを作っていて、未來くんがひっぱってくれていましたね。」とお互いの信頼関係の上で迫力のボクシングシーンが成り立っていたことを明かした。 クランクインの1年前から本格的にトレーニングしていたという森山は「僕は格闘技経験が全くなかったので、ボクシング指導の松浦慎一郎さんと一緒にトレーニングしながら、基本的なところからスタートしました。それでも人を殴る、殴られるというのをしたことがなかったので、松浦さんやプロボクサーの方を相手にスパーリングをしっかり行わせていただいて、そこで初めてボクサーの方々がボクシングに憑りつかれる、本能的なエネルギーを肌で感じていきました」、勝地は「僕は芸人の役なので未來くんや匠海くんのようにボクシングが上手である必要はないんですが、”大振りしながら外す”という体力を削られる動きが多かったのが大変でした。ミット打ちや大振りの練習を重ねて、スタミナをつけるということも主にやっていきましたね。武監督もよく現場に来てくださって、”今のいいね!”と声もかけてくれたので、みんなで練習をしながら宮木のボクシングスタイルを作っていきました」とそれぞれが過酷な練習の裏側を語った。 |
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ここで、劇中では才能を期待される若きボクサー・大村龍太を演じながらも、今回の舞台挨拶には出席が叶わなかった北村匠海より森山、勝地、武監督へのサプライズ質問が到着!
オープニングセレモニーでも”撮影中は誰よりも主役で、とにかく映画に魅了されている方”と北村が印象を明かしていた武監督には、“映画を撮ろうと決めたきっかけは?”という質問が。武監督は「最初の映画の現場で仕事をしたときに、監督の仕事には到底就けないと思ってしまうくらい素晴らしい監督に出会った。その後、助監督を15年続けるなかで、一本くらいは映画を撮らないとやってらんないなと思い始めまして…そこがきっかけでした」と懐述。俳優として映画に出演するほかにも、舞台、またダンサーとしても活躍している森山へ、”人生における生き甲斐、気持ちいい、と感じる瞬間は?”という質問がされると、森山は「舞台であれば観客と同じ時間を共有できますし、映画であれば作品と観客のみなさんが一体になると思いますが、僕らに表現したいという想いがあっても観客の皆さんがいないと完結出来なくて、その瞬間が一番大事なんですよね。完結した時の皆さんの反応が良くて、皆さんの世界観や価値観が膨らませることが出来れば、僕にとってそれが一番の喜びだなと思います」と自身が携わる表現に対して並々ならぬ思いを明かした。共に過酷な撮影を乗り越えた勝地へは、”撮影終了後に食べたご褒美メシは?ちなみに僕は家系ラーメンを替え玉して食べました!”という質問が投げかけられ、勝地は「匠海くん、僕だけ質問が浅くない?(笑)」と会場からの笑いを誘いながら、「つけ麺ですね。未來くんと試合シーンのあとにご飯にいったのですが、その前につけ麺を食べました!」と笑顔で回答。森山にも同じ質問がされると、「前編の撮影後は勝地くんとご飯に行きましたが、後編の撮影後は匠海くんと一緒にご飯に行きました。何を食べるかということよりも撮影の後に”お疲れ様!”と言いながら同じ時間を共有できることが僕にとってはご褒美でしたね」と明かし、それに対して勝地が「未來くん、いいコメントいうわ」と羨まし気につぶやき、会場の笑いを誘った。 |
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最後に、これから後編の上映を控え、続きが気になって仕方ない観客たちに向け、監督が「前編だけで観終わるのはもったいない作品です。俳優全員が熱演をしているので、是非最後まで見届けてもらえればと思います」と力を込めた。熱いパンチが交わされるボクシングシーンさながらに、映画に込められた熱い言葉がたっぷりと交わされた舞台挨拶。 さらに、上映後は、森山と、勝地、武監督が会場に残るほか、脚本の足立紳も参戦し、観客からの質問を募るQ&Aコーナーがスタート! Q:森山さんと勝地さんと北村さんらは、俳優としても、またボクシングスタイルに関しても、三者三様だったかと思うが、それぞれに違った演出をつけたり等はあったのか。 武監督:このような状況で、この映画をまさか完成させることが出来て、2020年の東京国際映画祭で観ることができたという、非常にまれな瞬間を共有できていると思っています。ボクシングの試合において、観客の存在って大きいんだろうなとこの作品を通して感じました。映画も観客がいないと映画にならないと思いますし、改めてそう感じることの出来る瞬間に今日立ち会えて本当に良かったと思っています。是非いろんな方とこの映画について語り合ってください。 映画好きの猛者たちからのするどい質問に、監督やキャスト陣も圧倒されながらも笑顔で答え、大盛り上がり!イベントは、最後まで熱気に包まれながら幕を閉じました。 <第33回東京国際映画祭 開催概要> |
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劇場版『アンダードッグ』
劇場版『アンダードッグ』 【前編】【後編】11月27日(金)より同日公開! 手にしかけたチャンピオンへの道からはずれた今も〝かませ犬(=アンダードッグ)〟としてリングに上がり、ボクシングにしがみつく日々をおくる崖っぷちボクサー・晃(森山未來)。 |
出演:森山未來 北村匠海 / 勝地涼
監督:武正晴 「全裸監督」、『百円の恋』
原作・脚本:足立紳 『百円の恋』、『喜劇 愛妻物語』
音楽:海田庄吾 『百円の恋』、『喜劇 愛妻物語』
企画・プロデュース:東映ビデオ
制作プロダクション:スタジオブルー
配給:東映ビデオ
製作:ABEMA 東映ビデオ
公式HP:underdog-movie.jp
公式Twitter:@Movie_UNDERDOG #アンダードッグ
ⓒ2020「アンダードッグ」製作委員会
photo:©TIFF