公開が延期されていた『許された子どもたち』が、公開となった。その監督である内藤瑛亮監督が、“映画を語る”配信番組「活弁シネマ倶楽部」に登場。収録はリモートで実施され、MCを務める映画評論家・森直人を前に、本作が制作されるに至った経緯や、撮影の裏話など、多くを語っている。 |
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この『許された子どもたち』は、実際に起きた複数の少年事件に着想を得たオリジナル作品。『先生を流産させる会』(2012)、『ミスミソウ』(2018)など、そのセンセーショナルな内容により、作品が発表されるたび物議を醸す内藤監督が、8年もの歳月をかけて構想し、自主映画として完成させたもの。本作の制作にあたり、10代の出演者を対象にワークショップを開催。“少年犯罪”や“贖罪”というものについて、共に考えを巡らせたという。いじめや少年事件という社会問題を通じて、現代に蔓延する生きづらさを鋭く切り取った本作は、観る者の価値観や倫理観を激しく揺さぶるものとなっている。
『先生を流産させる会』が公開された2012年以来の対談となった、森と内藤監督。 本作の最初の着想として、1993年に起きた“山形マット死事件”を題材に映画を撮ろうとしていたという内藤監督。監督自身、事件当時は小学校高学年で、これまでずっと心に引っかかっていたのだという。「自分と同世代の人間が被害者になり、加害者になっている。なおかつ、その罪を彼らは受け止めることをしなかったことがショックでした。僕自身、体格に恵まれていた方ではないので、プロレス技をかけられることなどあり、いじめに発展するのではないかという恐怖感がある一方、明確にいじめられている子も近くにいました。でもそれに関して傍観者でしたし、そのいじめを止めさせない自分を正当化しているフシもあり、それに対して罪悪感も抱いていました。なので、作品を作る上では被害者側に寄りがちなのですが、“加害者であり得る”という意識で描いています」と、自身の体験と本作の重なりも語っている。内藤監督は親戚に学校関係者が多く、自身も『先生を流産させる会』制作時には特別支援学校に勤めていた。これに森は、「内藤監督にとって“学校空間”というものが、つねに身近なものなわけですよね。大人になってもつきまとうもの。宿命的ともいえる」と述べている。 |
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『許された子どもたち』 6月1日(月)ユーロスペース他にて全国順次公開 http://www.yurusaretakodomotachi.com/ あらすじ |
出演:上村侑 黒岩よし 名倉雪乃 / 地曵 豪 門田麻衣子 三原哲郎 相馬絵美
監督:内藤瑛亮
脚本:内藤瑛亮 山形哲生
制作協力:レスパスフィルム
製作:内藤組
2020年/日本/カラー/1.90:1/5.1ch/131分
配給: SPACE SHOWER FILMS
©2020「許された子どもたち」製作委員会 (PG12)