是枝監督の、長編14作目となる最新作にして初の国際共同製作映画 『真実』 が、10月11日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほかにて全国公開となりました。 ますます熱い注目を集まる本作ですが、この度、是枝裕和監督登壇のティーチインイベントを実施いたしました。ファンにとっては恒例となっているだけあり、質疑応答では毎回洞察力の鋭い質問が飛び出すティーチインイベント。 是枝監督初の国際共同製作作品となった本作でのティーチインイベントでは、ファビエンヌ役のカトリーヌ・ドヌーヴの魅力や撮影時の裏話など様々な話が披露となりました! 『真実』 ティーチインイベント |
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既に映画を鑑賞した観客から大きな拍手で迎えられた是枝監督は、「雨の中、ありがとうございます。なるべく長めにQ&Aを沢山やろうと思っているので、早速始めたいと思います。」と挨拶。客席からは沢山の手が挙がり、ティーチインがスタートしました。
Q. 日本、フランス、アメリカなど諸外国の監督や助監督ですごいな、才能があるなと思った方はいますか? A. 監督だとアルノー・デプレシャンが好きです。あとは、『フロリダ・プロジェクト』のショーン・ベイカーも好きですね。助監督のすごさってなんですかね。今回、『真実』の助監督をやってくれた方は二コラさんという方で、『青いパパイヤの香り』や『ノルウェイの森』などを撮ったベトナム系フランス人のトラン・アン・ユン監督のデビュー作から助監督をずっとやられている方なんです。トランが『シクロ』という映画で金獅子賞を獲ったときに、僕が『幻の光』でヴェネチア国際映画祭に出席していて、年齢が同じだったということもあって、色々な映画祭でお会いしたのをきっかけに仲良くなったんですけど、彼の現場はすごく大変だという噂を聞いていたんです。そんな彼の現場を何本も担当している助監督なら、すごく良い人なんだろうなと思って、二コラさんとお会いして、本作の助監督に決めました。すぐにトランからも「彼はとても素晴らしい助監督だから、きっと君の力にもなってくれると思うよ」と連絡を頂いて、本当にその通りでした。チーフの助監督さんは、現場の色々なトラブルを上手くまとめてくれるポジションなんですけど、そのおかげで僕は演出に専念できましたし、良い助監督さんでした。 Q. この映画はとてもフランス映画だなという感じがして、フランス人の生活感や、フランス人だったらこういうことをしそうだな、あんなこ A. 全く考えなかったですね。普段日本で撮っていても、日本映画にしようとは思わないので、普段と同じように、自分が選んだ題材と役者を最大限どう活かそうか、その空間をどのように魅力的に描こうかということだけを考えて撮りました。ヨーロッパの方たちもそこに何かしらの日本的なものを読み解いてくると思いますし、それが正しいか間違っているかはともかく、ある種の先入観も含めてそういう目で観られることには慣れています。今回、フランスの方たちはそういう目線ではない形でこの映画を観ると思いますが、その中で自分らしさのようなものがどのくらい残るか、残らないのか、意図して残そうとは思わなかったです。意図せずとも残るものはきっとあると思いますし、それはフランスで公開された後に分かると思います。 Q. 是枝監督自身も娘さんがいらっしゃって、お忙しく会う頻度も少ないかと思います。この映画では母と娘、女優と娘がテーマでしたが、父と娘、監督と娘として、今回の映画に反映したことはありますか? A. 今回はそんなに考えなかったかな。今回はカトリーヌ・ドヌーヴさんに長い取材をさせてもらって、それをベースに脚本を書いている部分があるので、自分の何かを重ねる余地はなかったです。逆に自分とは距離をとれた作品だったので、面白かったです。 Q. 以前、『万引き家族』のティーチインで、監督が作られた脚本が、役者さんたちの手でまた新しい形に変化していく面白さがあるというお話が印象的でした。今回も、監督の脚本や演出から離れて、フランスの女優さんたちが作り出した世界観のようなシーンはありましたか? A. 現場で何かアドリブが出てきているわけではないんですが、彼女たちを観察しながら足していったところはあります。本編中にあるファビエンヌの挨拶のキスの位置がココ(唇のギリギリ)なんだよ、という設定は、ドヌーヴさんが撮影後に毎日、「お疲れ様」って僕にキスをするんですけど、良いお芝居をしたときの位置が、かなり口元に寄ってきて衝撃を受けたので、そのまま脚本に書きました。 Q. 今回、是枝監督の作品の中で初めてダンスシーンがありますが、始めから入れようと思っていましたか?どういう風に、誰と踊るかという演出は、監督が考えたものですか? A. そうですね。『空気人形』という映画で宙に浮くダンスシーンのようなものは撮っているんですけど、初めてと言えば初めてですかね。日常と地続きでふっと非日常的な風景に移行する、みたいなものを脚本に入れたいなと思ったんです。今回、劇中劇と実人生が反転していく、みたいな話にしようと思ったので、フィクションが日常になるのと、日常がフィクションになっていくのを、両方やってみようと、早い段階から脚本に入れていました。誰が誰と踊ってチェンジして、っていうのも決めながら、でも自由に動いてもらう感じ。元々は細かくカット割りもしてたんですけど、カメラマンのエリック・ゴーティエさんがなるべく割らずに一連で撮りたいタイプで、いい意味で動的なカメラマンだったので、彼の動きに乗っかりました。 Q. ドヌーブさんはファビエンヌみたいにめんどくさくなかったですか? A. わがままなんですけど、チャーミングなんです、というと”わがまま”だけ切り取られて、批判しているみたいな見え方がすごく嫌なんです。まあめんどくさいか、めんどくさくないかでいえば、めんどくさい(笑) でもただめんどくさいだけの人だったら、こんなに彼女のことを好きにならないんだよね。クランクアップした日には、共演したキャストも、スタッフもみんな彼女のファンになっている感じ。そこがやっぱりすごいなって思います。それはもちろん良いお芝居をされるっていうのもあるし、人柄に嘘がないんです。良いお芝居ができたときは子供のように嬉しそうにするし、早く帰りたいときは早く帰りたいっていうし、誤魔化しがない。不快に思ったことは一度もなかったです。基本的に毎日遅刻して、楽屋に入ると「昨日、夜眠れなかったのよ」と、セリフが入っていないから良いお芝居ができないかもしれない、というような予防線を張り始めるんだけど、途中からそれもかわいくなっちゃって。楽しい方でした。 Q. 私はドヌーヴさんの大ファンで、横顔のシーンでは往年のフェイスラインが素晴らしいなと思って観ていたんですが、監督が撮っ A. やっぱり横顔ですよね。一番最初のインタビューシーンでたばこをふかしたときの、窓ボケの横顔の美しさが圧倒的で、彼女はこ Q. 『真実』という強い印象のタイトルですが、このタイトルはいつ頃決まりましたか?日本人だったら分かりやすい感情のやり取りも多 A. タイトルは2015年に、カトリーヌ・ドヌーヴで、ジュリエット・ビノシュを娘にして、イーサン・ホークを旦那さんにしてこういう話にしよ Q. 前回のイベントで、監督は中華料理屋さんのシーンが印象に残っていると仰っていましたが、そのシーンについて詳しくお聞か A. ファビエンヌが訪れる中華料理屋さんで、隣のテーブルに座っている人が良かったんですよね。実は中華料理屋さんの店主とフ |
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最後に・・・・
監督:ありがとうございました。字幕版と吹替版を観ていただいた方はもういいんじゃないかと思うかもしれませんが、11月1日から、個人的に愛蔵版と呼んでいる、捨てがたいあのダメな男たちのシーンを残したバージョンも劇場で上映できることになりました。本作は母と娘の物語にするために、だいぶ削いで絞ったんですけど、もしもう少しイーサン・ホークが観たいなという方がいたら、ぜひ。良いんだよね、あのダメさ加減が。もしお時間許す方がいれば、是非観てください! と挨拶をし、より作品の理解を深めた観客たちの満足気な表情の中、ティーチインイベントが終了しました。 |
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『真実』 全国公開中 公式サイト:gaga.ne.jp/shinjitsu/ 【STORY】 |
原案・監督・脚本・編集:是枝裕和
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ『シェルブールの雨傘』/ジュリエット・ビノシュ『ポンヌフの恋人』/イーサン・ホーク『6才のボクが、大人になるまで。』/リュディヴィーヌ・サニエ『8人の女たち』 撮影:エリック・ゴーティエ『クリスマス・ストーリー』『夏時間の庭』『モーターサイクル・ダイアリーズ』
配給:ギャガ
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