宇野維正x真魚八重子『誰もがそれを知っている』公開記念トークショー
この度、アカデミー賞受賞『別離』『セールスマン』のアスガー・ファルハディ監督最新作『誰もがそれを知っている』を、6/1(土)Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国順次公開となります。
この度、本作の公開を記念し、演出から演技まで全てが完璧な作品だと絶賛のコメントを寄せている宇野維正さん(映画・音楽ジャーナリスト)とスペインを舞台に描かれた“家族の秘密”を普遍的なものとして他人事ではなく、身近に感じたと語る真魚八重子さん(映画評論家)をお招きし、トークイベントが行われました。 『誰もがそれを知っている』公開記念トークショー |
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開場の熱い拍手の中で登場した宇野維正さんと真魚八重子さん。映画をまず観た感想について真魚さんは「血縁関係が複雑すぎて、まだ呑み込めていらっしゃらない方もいるのではないかな。」と語り、宇野さんも「話の本筋は難しい話ではないのだけれども、人間関係とか家族関係とかが結構複雑なんですよね。僕はすぐに二回目観直しました。もう一回観たい人もいるんじゃないですか??」と本作で描かれている家族たちについて、毎作リピーターを生むファルハディ監督作品の特徴“一見複雑な人間関係”を切り口としてトークがスタート。
続けて本作で一番グッときたポイントについて真魚さんは「最初、パコ(ハビエル・バルデム)の奥さんが背中のファスナーを上げるシーンが、絶妙にエロくてグッときた。」と述べると、思わず会場からは笑い声が上がり、続けて宇野さんも「この監督の作品は女性キャストが毎回綺麗すぎますよね。映画で描いていることはとてもリアリティがあるのだけれど、そこだけがファンタジーというか。スペインの人は皆綺麗なんだし、スタイルもいんでしょうけど。にしても…って感じですよね。(笑)」というこれまであまり言及されてこなかった監督ならではのキャスティングについてのコメントで会場は一層和やかなムードに。 『誰もがそれを知っている』という本作の意味深なタイトルについて「英題が『Everybody knows』でスペイン語のタイトルも同じ意味の『Todos lo saben』で。ファルハディ監督の希望で、そうなったということで。」と宇野さんがタイトルの経緯を説明し、真魚さんはタイトルの意味について「途中でパコとラウラが昔付き合っていたことを村の皆が知っているというタイトル通りのセリフがあるから、やはりキーワードなんでしょうね。」と言うと、加えて宇野さんは「それだけじゃなくて、そもそも我々観客はペネロペとハビエルが(実生活で)夫婦だってことも知っている訳で(笑)メタな意味での『誰もがそれを知っている』っていう意味でもあるし。この映画の舞台はスペインのある田舎町という設定で、映画の外側でも、人々にあの事件は…と語られていくように。噂がすぐに広まる日本の田舎にも通じる、人々はその閉鎖性の中でその後も生活していかなければいけないんだろうな…とういう。そういう意味でもこのタイトルは、ダブルにもトリプルにもとれるような深みがある」とペネロペ&ハビエル夫婦共演や、タイトルから本作の普遍性を深く考察。 締めくくりに宇野さんは「技巧的にも作品的にも本当にパーフェクトな作品。初期作も含めて全部傑作な人っていないくらい。毎回驚かされる。」とすべての作品で傑作を生み出す監督の手腕に絶賛しつつ、「前作『セールスマン』のタイトルも全世界共通であることを引き合いに出し、キューブリック的な作家性の高さを尊重しつつ、本筋では非常にわかりやすい話でもあるにも関わらず、ディティールでわかりにくい点がいくつか心に残る。でも、それは全部監督の意図的なもので、そこに絶対的な信頼感があって、うまくない監督から感じる違和感とは全然違う。そういう意味も含めて毎作、何度でも観れるしいろんな方に勧めて欲しい。」と本作をアピールし、真魚さんも「2回目を観ると人間関係がわかってくるから、よりのめり込めると思う。」とお客さんに2回観ることをお勧めし、ファルハディ監督談義に盛り上がったトークイベントとなりました。 |
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『誰もがそれを知っている』 英題:EVERYBODY KNOWS 公式サイト:
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監督・脚本:アスガー・ファルハディ『彼女が消えた浜辺』『別離』『セールスマン』出演:ハビエル・バルデム、ペネロペ・クルス、リカルド・ダリン
2018年/スペイン・フランス・イタリア/スペイン語/133分/アメリカンビスタ/カラー/5.1ch/日本語字幕:原田りえ
提供:バップ、ロングライド
配給:ロングライド
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