【日本映画スプラッシュ部門】
作品賞 『プールサイドマン』
渡辺紘文監督 「デビュー作から東京国際映画祭に出させていただいているので、僕を育ててくれたのはこの映画祭です。今年の日本映画スプラッ シュ部門は誰の目から見ても激戦で、僕が尊敬する監督の作品が集まっていたので、自分が賞をいただけるとは思っていませんで した。感謝しかありません。」
【ARIGATŌ(ありがとう)賞】
新海誠監督、高畑充希、妻夫木聡、ゴジラ
妻夫木聡さん :
「『ウォーターボーイズ』が俳優の転機となった作品です。日本映画の汗臭さ、泥臭さ、一体感をすごく感じた。映画は一人で作っ ているのではない、監督、スタッフ一丸となっていいものを作るんだという気持ちでいるから良いものができると感じている。そこから映 画に惚れて、今までやってきた。映画界からこのような賞を貰えるとは思っていなかったので、これを励みにまた一からがんばりたいで す。」
高畑充希さん:
「ミュージカルでデビューした後、映画に出るようになったので、映画界から賞をいただけて、しかもゴジラさんといっしょに壇上に立つ 日が来るなんて夢にも思っていませんでした。これからも一生懸命がんばります。こちらこそ“ありがとう”ございました。」
新海誠監督:
「受賞理由として“新星現る”とあったが、僕自身は 10 年前から映画を作っている。きっと今年発見してくださったということなんだと 思います。それはとても幸せなことです。今後も今の観客は何を観たいのか、物語が負うべき役割はなんなのかを考えながらこれか らもアニメーション映画を作っていけたら幸せです。僕の名前で賞をいただいておりますが、すばらしいスタッフやキャストがいたおかげ なので、『君の名は。』という作品に頂けたものだと思います。」
ゴジラ(『シン・ゴジラ』エグゼクティブ・プロデューサー山内章弘さん) 「僕の会社の先輩ゴジラにこのようなすばらしい賞をありがとうございます。62 年前に誕生して、日本では 12 年ぶりに復活しまし た。これはなかなか難しいこと。11 月 3 日は初代ゴジラが公開された日。そんな日にこのような賞をいただけて不思議な縁を感じ ております。」
【SAMURAI(サムライ)賞】
黒沢清(映画監督)、マーティン・スコセッシ(映画監督)(登壇なし。コメント映像あり)
マーティン・スコセッシ監督ビデオコメント:
東京国際映画祭に SAMURAI 賞の御礼を申しあげます。 とても残念ですが、日本での滞在を今日まで延長することができず、賞を直接受け取れません。敬愛する黒沢清監督に代理 で受け取っていただきます。彼の作品にはいつも感服しており、彼が代理受賞してくれるのはとても意義深いことです。ありがとう、 清。あなた自身の受賞もおめでとう。SAMURAI 賞は生涯功労賞だと理解しています。一応、申しあげますが、私も清も生涯は まだ終わっていません。しかしながら、この栄誉をいただけて感激です。私は映画を通じて、日本と日本文化を知りました。黒澤明 をはじめ、溝口(健二)、小津(安二郎)、成瀬(巳喜男)、篠田(正浩)、小林(正樹)、今村(昌平)、大島 (渚)、塚本(晋也)、そして黒沢清。他にも清水宏など、数多くの作品を観ました。観れば観るほど、その豊かで素晴らしい 世界を知りました。黒澤明監督の『夢』出演のため日本を訪れて、日本への驚嘆と好奇心は、さらに深まりました。同じ頃、日本 文学にも触れ、遠藤周作の作品に出会いました。そして小説「沈黙」を原作に、今回、映画を撮りました。私の人生がより充実し たのは、日本映画と文化に触れ、この素晴らしい国を訪れたからです。 最後にもう一度、御礼を申しあげます。ありがとう。
黒沢 清 監督コメント:
「スコセッシ監督のメッセージは今初めて見たのですが、僕自身について語っていただいていることに大変驚いています。スコセッシ監 督と並んで賞を受けることが自分の人生に起こるなんて信じられません。僕らの世代のスコセッシ映画といえば『タクシー・ドライバ ー』。スコセッシ監督のような自由自在で多様な映画作家がいたからこそ、映画は今日まで発達してきた。僕自身のキャリアはスコ セッシ監督に比べると恥ずかしいくらい。それでも小規模ではあるが、自分なりに自由で、多様で、なんでもありな映画づくりをしてき ました。そのかいあって 30 年以上映画を作り続けられています。これからも映画を作っていきます。これまで携わってきてくれたスタッ フ、キャスト、観客、すべての方にお礼を申し上げます。」
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