映画情報どっとこむ ralph 映画『消された女』が2018年1月20日(土)より、シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国順次公開いたします。

つきましては、韓国の国民的アイドルGODや東方神起、神話のPVを制作しビジュアリストとしての地位を確立したイ・チョルハ監督のオフィシャルインタビューと、岩井志麻子さん、中村うさぎさん、杉野希妃さんからの絶賛戦慄コメントが解禁となりました

映画『消された女』イ・チョルハ監督オフィシャルインタビュー

Q.「保護者2人の同意と精神科専門医1人の診断があれば、患者本人の同意なしに「保護入院」という名も強制入院を実行できるという“精神保健法 24 条”を悪用した本作の題材に興味をもったきっかけ、映画にしようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?かなり社会問題になっていたのでしょうか?

イ・チョルハ監督:この映画の脚本を読んだ時、21 世紀の現代において人権を無視した拉致監禁事件が発生しているという事実に、驚愕しました。しかしその衝撃が大きかったからこそ、この主題に向き合う事ができたのです。これだけ発展した世の中で、こういった事件が発生するという事実に多くの人が問題意識を持つべきだと思いました。

この精神保健法第 24 条を悪用した拉致監禁事件は、一時期 TV ドラマでも流行りました。しかし現実ではまだ同様の事件が横行していたのです。映画制作をしている間もこういった事件がいまだに起きている事に懐疑的な人もいました。こういった事件は一般的ではなく、突如として起こる悲劇のような事としか捉えられなかったのです。

2015 年、本作の予告編がきっかけになり、ある有名なニュース番組で「人権に関する特集」が組まれました。番組内で実際にある病院に連絡し、特定の人物を入院させたいと依頼した所、驚くべき事に本当に病院がその人物を迎えに来て、入院させようとしたのです。韓国内の人権に対する意識とはこんなにも低いのです。この番組をきっかけに、その後も多くのニュース番組が人権に関する特集を組み、本作の映像を提供もしました。

低予算映画としてスタートしたので、宣伝も大変な点が多くありました。そんな中、多くのニュース番組で取り上げられた事は追い風になり、興行としても成功を納めました。韓国内では 2017 年 4 月に公開され、9 月裁判所から精神保健法第 24 条に関して「精神疾患患者の強制入院は、本人の同意なければ憲法違反である」との判決が下されました。

この法律を変える為には、多くの人の働きかけがありました。知識人への聞き取りや、国会議員への働きかけなど、それは多くの人による多くのプロセスがあったのです。その中で僕自身も本作の監督として、国会に行ったり、証言をしたりする事がありました。僕は映画監督であってそんなに力のある人間ではありません。でも本作を通して、こういった事に携わる事ができて誇らしい気持ちになりました。 映画や芸術、文化というものは、人々の意識に働きかける事ができます。だからこういった何かのきっかけを作るといった意味では、とても有効でもあるのです。本作がそういった意味で法律を変えるきっかけになった部分があったとしたら、映画制作者でもこうして社会に貢献できたことが、これほどまでにうれしい事はありません。

映画情報どっとこむ ralph Q.カン・イェウォンの体をはった演技も素晴らしかったです。アクションシーンもすごい迫力でした。どのような演出を心がけたのでしょうか?

イ・チョルハ監督:カン・イェウォンさんは、ヒット作も多いベテランの正統派女優ですから、何か演出的な事を言うというよりは、役に集中し入り込ませるという事に僕自身は注力しました。何かとしたとすれば、撮影の1か月前から話し合いを重ねて、役に向き合っていってもらいました。なので現場での細かい演出はありませんでした。
ひとつだけあるとすれば、元々の脚本は会話劇としての要素が強く、説明的な部分はかなりあったのですが、それはかなり削りました。むしろ感情を身体、表情で表現してほしいと思いましたし、そうした事で、演技に集中してもらえる事ができたと思っています。

Q.日本映画で好きな監督や作品、影響を受けた作品はありますでしょうか?

イ・チョルハ監督:大学では日本文学を学び、浄瑠璃を専攻していました。日本語は多少理解することはできるのですが、話すことはなかなかできないですね。
作家では恩田陸さん、映画監督では、黒沢清監督、特に『CURE』『アカルイミライ』、是枝裕和監督の『幻の光』『ワンダフルライフ』など好きです。日本の文学、映画などは韓国では禁止されていた時期がありました。1980 年代、僕が大学生時代はまだ一般的に観ることが出来ず、当時はビデオテープを借りて日本映画を観ていました。

映画情報どっとこむ ralph Q.日本の観客へメッセージと、観客の皆さんへ本作を観る際に、ここに注目してほしいというところがあればおしえてください。

イ・チョルハ監督:僕自身、子供もいて家族がいます。常に社会に対して問題提起をするような、意味のある作品を作りたいと思っています。韓国ではハーフの場合、差別を受けることが多くあります。そういった社会的弱者にフォーカスを当てたのが、前作『ハロー?! オーケストラ』でした。僕は刺激的な作品より社会的弱者についてフォーカスをあて、その問題について考えられるような作品を作りたいと思っています。日本の観客の皆様にもそういった所に注目してほしいです。 最近は皆、スマホに夢中ですが、もっと周りを見渡して、他人を思いやって、なにかあった時には励まし合えるような気持ちを持ってほしいです。

映画情報どっとこむ ralph 日本の著名人からもコメントが届いています!

■岩井志麻子/作家
誰かに憎まれるより怖いのは、誰にも信じてもらえないことだ。遠いあの世の地獄へ落とされるより恐ろしいのは、今自分がいる所こそが地獄と気づくことだ。

■中村うさぎ/作家
何が怖いって、この映画が「実話に基づいている」ことに背筋が凍る。健全な人間を精神病院に強制入院させるのは、無実の人間を刑務所に入れることに等しい人権侵害だ。そんな暴挙を許す法律は、いったい何を、そして誰を守るために存在してるんだろう。

■杉野希妃/女優・映画監督・プロデューサー
退廃的でポップで、社会派でエンターテイメント。緊迫感と熱量はさすが韓国映画。予想の斜め上をいく復讐劇に、最後は混乱と爽快感に包まれた。

映画情報どっとこむ ralph 映画『消された女

物語・・・

大都会の真昼間、通りを一人歩いていた女、カン・スア(カン・イェウォン)は、理由も分からないまま突如誘拐され、精神病院に監禁された。そこで待っていたのは、強制的な薬物投与と無慈悲な暴力、そしてこれまで経験したことのない非現実の世界だった。狂気の中で、彼女は病棟での出来事を手帳に記録し始める。それから一年後、テレビ番組で火災事故を追跡していたナ・ナムス(イ・サンユン)プロデューサー宛に1冊の手帳が届く。ナムスはその手帳に記録されていた信じがたい事件の真相を暴くために、事故の唯一の生存者であるスアに会いに行く。取材を重ねるごとに彼女が体験した衝撃的な拉致監禁の事実と、その背後に蠢く底なしの闇が明らかになっていく。

公式サイト:
www.insane-movie.com

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監督:イ・チョルハ 
出演:カン・イェウォン、イ・サンユン、チェ・ジノ ほか
英語題:『INSANE』 字幕翻訳:金 仁恵   
提供:キングレコード  配給・宣伝:太秦
【2016年/韓国/カラー/91分/シネマスコープサイズ/5.1ch/DCP】
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