佐々木芽生監督による、最新ドキュメンタリー! 『おクジラさま ふたつの正義の物語』9月9日(土)ユーロスペースにて順次公開となります。 ビートたけしさんから本作を鑑賞してのコメント! としています。 そんな、本作が「タイムアウト東京」主催にて、佐々木芽生監督登壇のもと、skype で繋いだスコット・ウエスト、娘エローラ(元シー・シェパー ド)とジェイ・アラバスタ(元AP 通信記者)と上映会鑑賞後の一般のお客様による、talkセッションが行われました。 小さな町に押し寄せた、クジラを巡る大きな衝突 捕鯨は日本政府の暴挙!?北朝鮮の政策と変わらない!? 世界の対立は対話で解決する! 佐々木芽生監督、元シー・シェパード スコット・ウェスト、娘エローラ、 元AP 通信記者ジェイ・アラバスターによるトークイベント開催! タイムアウト東京主催「世界目線で考える。」特別編 |
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お客様でいっぱいになった上映会終了後の余韻の中で、佐々木監督とタイムアウト東京のモデレーター東谷彰子(MC)とのトークセッションがスタート。 町の人々は『ザ・コーヴ』の影響で、思う事はあってもメディアに対しての発言を辞めてしまった中、本作をきっかけに、去年1 0月、釜山国際映画祭ワールドプレミアへ太地町の人々も一緒に行き海外のメディアに対し初めて発言をした。 佐々木監督:これからは言いたい事はちゃんと発信していこうと思う。 と町の人々の心の変化があったと監督は話す。 しかし、メディアを使いこなすシ ー・シェパードのストレートな声は大きく拡散も早い。 トークセッション後はアメリカ・シアトルから元シー・シェパードのスコット・ウエスト、娘エローラと、アリゾナ州立大学で博士号取得用の論文作成の為に現在太地町に滞在中のジェイ・アラバスタ(元AP通信記者)をskypeで繋ぎ一般の方々も交えてのQ&Aに! |
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この日は9月1日。太地町では追い込み漁の解禁日だ。 普段は静かな町も毎年この日は騒がしくなる。この日も警察やメディアの人々が 200 人程集まった。 ジェイ:かつては世界中から活動家が沢山来ていたが、毎年減っており今年は2人程しか居なかった。 と太地町の様子を語った。 スコット:A:グリーン・ピースのようにどんどん組織が大きくなり負け戦をしなくなった、当初のエッジさや尖った部分で組織の特徴が変化し ていった。 と2015年の組織脱退の理由を話した。 スコット:A:私達の活動をネガティブに捉えられる事は仕方のない事。太地の人々が追い込み漁を続けている事よりも、許しがたいのは日本政府がその行動を守り許している態度が問題であり、世界的なイメージでいうと今、北朝鮮が世界の批判の的になっている事と同じくら いの事ではないか?と思う。 と日本政府を批判した。 一般の方からも沢山の質問が飛んだ。 一般:Q:スコットとエローラは滞在中あまり町の人々と内面的に心を通わせる事が出来なかったと思うのですが、漁師さんや町の人々の気 持ちも描かれている本作を鑑賞し気持ちを理解する事が出来たと思われますが、気持ちの変化はありましたか? エローラ:A:映画を見て滞在中の事を振り返る事は出来たし、色々な意見があるという事が分かりとても良かった。しかし今でも追い込み漁の光景には憤りを感じていますし、この映画を見たからといって気持ちは変わらない。 スコット:A:この捕鯨問題は、貧困、アートや音楽といった多面性のある難しい問題では無い。自身も家族を持つ父親という立場から見て 漁師の方々が生活の為に漁をしている。というのは理解できる。とはいえ、自分達の生活をする為だけが正当化できる理由にはならない。 他にもトピックはあるはずだ。日本は海に囲まれた島国であり、海への依存度が高い国にも関わらず、太地町の問題だけでは無く、本来なら島 国であるからこそ日本政府が声をあげて海を守るリーダになるべきなのに、それが成しえていない事に最も憤りを感じている。その気持ちは本作を 見たとしても変わらない。 |
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一般:Q:質問ではありませんが、スカイプでの時間差や言葉の壁があり仕方の無いことかもしれませんが、スコットさんがずっと話していて私たちが長い事それを聞いている。その時間に今とてもフラストレーションを感じている。なぜなら、先程のスコットさんの問題発言で日本政府と北朝鮮が同じ暴挙だと言いましたよね?全然違いますし断じて許しがたいです。この事をもってしても日本人の発信が下手だと映画の中でもありますが、皆様も感じているかと思いますが、私自身も感じています。これだけいるオーディエンス。スコットさんに、もっと言いたい事を言わないといけないと感じています。私の言いたい事はスコットさんも色々な考えがあってお話があるのも分かりますが、映画の中で 明らかに太地の人々にカメラ向けて侮辱するような発言をしている方々です。非常に不愉快です。対話やこのようなディスカッションの場は大事だとは思います。反捕鯨がスコットさんの正義かもしれないが、それこそが間違いであって、イルカは可愛い。それは良いですが、 豚も牛も十分に賢いです。考えようによっては可愛いです。それを色んな国や文化があって認めるという大基本の所が出来ていない。自 分たちの考えが絶対的に正しいと思っている。こういった議論はきっと何百回もやっていて、噛み合わないのも分かっているのですが、この 会がこのまま終わるのは嫌だと思ったので、私は発言させて頂きました。 ジェイ:A:残念ながら日本人は自己主張に長けていない国民性に対して、スコットとエローラはこういった発信に関してかなりベテランで慣れている。西洋社会においてはこういった二人のような考えが主流であるのに対して反対意見が聞こえてこない。これが現実という事を日本の皆さんは知っておいた方が良いです。 監督:Q:映画の中であるような漁師の方々に対して攻撃的な態度を取った事に関して後悔はしていますか? スコット:A:我々の信念に対して漁師達が行っていることは断じて許せない事です。また『ザ・コーヴ』の中では逆に漁師から活動家が攻撃されるというシーンがあった事を前提に、今まで自分達活動家がされてきたハラスメントを自分たちもする事で、漁師達の居心地を悪くさせ るという目的を果たす事が出来ていた。漁師達に対して攻撃的な態度を取った事に後悔はしていない。先程の一般の方の意見ですが、怒 りを感じている事は分かりますが、その矛先は我々では無く日本政府に向けるべきだ。日本人は現状世界に対して立場や考えを主張出来 ていない政府に対し、自分達が自ら行動しそれを変えようとするべきなのではないか? 会場の方もヒートアップし激論の中、話題は太地町でのイルカ漁の継続に対して、賛成か?反対か?挙手をする事となった。 賛成に手を挙げたのは20 名、反対は10 名、全員が手を挙げた訳では無いが賛成派が倍の数だ。その中一般の方からこんな声もあった 一般:賛成反対というよりは、反対意見をぶつけるだけではただの嫌がらせでしかない。建設的な意見が必要。確かに反イルカ漁の意見は分かるが、そこで生活している人の事は守るべきだ。 最後に監督とMC東谷彰子は、今回のトークセッションについてこう語った。 監督:世界の声が日本にも届いて欲しいと私は思っています。今回スコットやエローラの言う事は物凄く極論で乱暴に聞こえたかもしれませ んが、残念な事に彼等のように思っている人が大半で、それについて日本はどうすべきかを、もっとこういった場等を通じて、さらに皆様個 人の家族や友人と、活発なディスカッションがもっと起きるといいなと思っています。また、感情的になりやすい問題ですので、感情に足を 捕らわれないよう、冷静な話し合いが出来れば良いですね。 MC:そうですね。極端な意見ではなくて、もっと建設的な意見や化学的な数字で解決する事は出来ないか?という真ん中の人達の意見 が聞こえてくれば良いと思います。 監督:そうですね。問題はその真ん中のサイレントマジョリティの人達の方が絶対に多いはずなのに、その声が聞こえて来ないという事です ね。どうしても極端な意見は強いですから世界をまたいで届き易いですよね。今日はそういった事が皆様にも少し分かって頂けたのではな いでしょうか? 上映会を含めると4時間近いイベントだったが、イベント後もカフェに残りまだまだ、話し足りないと佐々木監督を捕まえてディスカッション をする一般のお客様の集まりが出来た。 本作は、自分は?貴方は?みんなは?と主体的に考えるきっかけをくれる作品となっているようです。 |
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SYNOPSIS・・・ 紀伊半島南端に近い、和歌山県太地町。追い込み漁を糾弾した映画『ザ・コーヴ』がアカデミー賞を受賞して以来、この小さな漁師町は世界的論争に 巻き込まれた。「くじらの町」として400年の歴史を持つ「誇り」は、シーシェパードを中心とした世界中の活動家たちから集中非難の的となる。ヒートアップする対立が沸点 に達しようという2010 年秋、佐々木は太地町を訪れる・・・。 そこでは、マスメディアが報じてきた二項対立 ― 捕鯨を守りたい日本人とそれを許さない外国人 ― という単純な図式ではなく、カメラは賛否に縛られない多種多様な意見を捉えていく。 歴史・宗教・イデオロギー、自分と相容れない他者との共存は果たして可能なの か?今まさに、世界が直面している「ダイバーシティの危機」を克服するヒントがこの映画にはある。 公式HP: |
原題:A WHALE OF A TALE/2017年 / 日本・アメリカ / 96分 / HD / 16:9
制作:FINE LINE MEDIA JAPAN
制作協力:ジェンコ、ミュート、朝日新聞社
協賛:アバンティ、オデッセイコミュニケーションズ
配給:エレファントハウス
© 「おクジラさま」プロジェクトチーム