映画情報どっとこむ ralph 好奇心旺盛なカルチャー女子へ向けて、6月に発売した新感覚ファッション・カルチャーマガジン『Maybe!(メイビー)vol.1』の書店イベント第二弾を、渋谷HMV&BOOKS TOKYO(渋谷区神南1-21-3 渋谷モディ6F)で行われました!

Maybe! vol.1の特集テーマ「恋愛ってなんだ?」に関連して、11月5日公開の小松菜奈・菅田将暉出演の映画『溺れるナイフ』の山戸結希さんと、『ゴットタン』をはじめとした多くのヒット番組を持つテレビ東京プロデューサーの佐久間宣行さんが、恋愛と作品づくりの関連性について対談しました。

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『Maybe!』vol.1(小学館)創刊記念イベント第2回
『一流クリエイターになるには恋愛が必須なのか!?』 トーク&サイン会

日時;2016年8月10日(水)
場所:HMV&BOOKSTOKYO 6Fイベントスペース
登壇:山戸結希監督(映画監督)、佐久間宣行(テレビ東京プロデューサー)

映画情報どっとこむ ralph Maybe!(以下M):本日はお二人に、Maybe!について、そして恋愛についてたっぷりお話しいただこうと思っております。まず今回創刊いたしましたMaybe!についてお聞かせください。

佐久間さん:すごいよかったです。〝持ってる〟雑誌だなと思うのが、(巻頭で小説を書き下ろしている)村田沙耶香さんが(このタイミングで)芥川賞とりましたよね。
しかもこのど頭の小説もすごい面白いんですよね。村田さんの作品って、読んでいると、その文章をずっと読み続けたくなる。止まらない。特に男の僕からするとこの短編は、読んでいてすごくひりひりする感じがあります。

山戸監督:すごいですよね(笑)。 狙ってできることじゃない。最初、私と佐久間さんにこの企画が来たとき、二人とも「なんで自分なんだろう?」って(笑)

佐久間さん:佐:そうなんですよね。これだけは先に言っておきますけど、僕と山戸さんで恋愛トークするっていうのは、企画した人すごいなっていう(笑)。

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山戸監督:Maybe!もThis!(※Maybe!の前身のムック)もそうですけど、この雑誌はクリエーターほいほいというか、ものすごい大物食いなんですよね。いつも魅力的なラインナップなんです。今回そのメイビーのやり方の一端を見たのは、最初は、「佐久間さんとトークしませんか?」ってお誘いをいただき、それは是非となり、で、また間をおいて、「今回、雑誌のテーマが恋愛なので佐久間さんと恋愛についてトークしませんか」となって、そしてギリギリになって「佐久間さんと山戸さんのような一流クリエータと恋愛するにはどうすればいいのか」ってテーマが送られてきていました(笑)

佐久間さん:佐:テーマのずらし方がすごい(笑)

山戸監督:This!がVol.1で掲載している映画監督も、濱口竜介監督と私なので、すごく濃いチョイスで。私、This!ってめっちゃいいタイトルだなあと思っていたんですが。大人の事情でMaybe!にタイトルが変更になっちゃったって、うっかりしてて可愛いですよね (笑)。でもこの雑誌、ほんとに続いて行って、(作っている人たちが)それこそ昔で言う『宝島』に関わった編集者みたいな、伝説の編集者のような存在になる気がします。

映画情報どっとこむ ralph 11月5日(土)TOHOシネマズ渋谷ほか全国ロードショーの『溺れるナイフ』について

溺れるナイフ佐久間さん:僕は山戸監督の『溺れるナイフ』を見たばっかりなので、それがすごいって話を今日はしたくて。みなさん、まだでしょ?見たほうがいいですよ絶対。映画評論家の宇野さんって方もツイートしてたんですけど、つまんないカットが一個もないんですよ。ほんとに素晴らしくって。菅田さんも小松さんもすごいけど、僕はジャニーズウエストの重岡君とたまに仕事をしてたんですけど、重岡君があんなにすごいと思わなかった。っていうか、女の子だったらずきゅんってきちゃうようなキスシーンとかが、すごくいいっていうのがあってですね。僕、試写見終わったあと、山戸さんに感想送ろうとしたんですけど、いろいろ、メールでは伝えられないなと思って。豪雨だったんですけど、「見終わったら雨が上がってました」っていうわけのわからないポエムみたいなの送ってて。
会場(爆笑)

溺れるナイフss5佐久間さん:そう送っちゃったくらい、いろんなことを考える映画で、素晴らしいんですよ、ほんとに。
山戸監督:忘れがたい思い出ですね、「あ、佐久間さんからメール来てる」と思ったら、「見終わったら豪雨が快晴でした」って内容で (笑) 映画に触れてくれないのかな?って思いました(笑)今まで、乃木坂46さんなど女子のアイドルを撮らせていただいてきたのですが、ペルソナとその個人の身体性をめぐる問いがずっとあって、もし、男子のアイドルを撮るとしたら、こういう方法論に変換して適応できるのになって思っていました。その実験の記念すべき第一弾として、純朴な重岡君にぶち込んでしまいましたね。
佐久間さん:重岡君がそういうタイプの人に見えない、ペルソナがあるタイプじゃなくてそのまんまに近いじゃないですか、それをよく更にやったなっていう。山戸さんすごいことやってるなあって思いましたね。

山戸監督:重岡君には、すくすく育っていってほしいなって思います。
会場(笑)
山戸監督:初映画ではないけれど、初映画みたいな形で呪いをかけたので。
佐久間さん:いや、皆さんも観た後わかります。山戸監督がかけた呪いだなっていうのが、観たらわかるシーンでしたね。
山戸監督:すくすく育って行く呪いです。

映画情報どっとこむ ralph 佐久間さん:佐:誰と出会っても余暇だなって思うくらい、10代は恋愛してたの?
山戸監督:言葉にすると「どうした!?」って感じですけど、女性の真実はそうなんじゃないでしょうか。愛と夢という選択肢が立つ前に、デフォルトとして、恋愛に対して被支配的な状況に置かれているというのか。恋は、何も与えられなかった地方の女子中高生にとっての、唯一のエンターテイメントですから。今はネットが普及してるかもしれないけど、でもネットだって結局ポルノとか社会的なモテとかにたどり着いちゃうから。ただ与えられた自分の体だけでどこまでいけるか、自分のすごく限定的な身体でどこまでいけるかっていうゲームしか地方の女子にはエンタメとしてなくって、恋愛するしかないという感じだったので。やっぱりそこに対して、マジで恋愛よりも面白いものがあるって射光させたいですけどね。それは最初から芸術の形だと届かないから、きっと、恋に一番良く似た芸術みたいなものになると思うんです。映画『溺れるナイフ』が、本当にそういうふうに届いて欲しいですね。

佐久間さん:監督が映画撮りたいって思ったのはいつ頃なんですか?
山戸監督:それもすごく遅くって、大学2年生の終わりに映画研究会を立ち上げようかということになって。大学3年生の春にみんなを集めて処女作を撮りました。大学3年生って就職活動をする時期なので、変な傾きで映画に寄って行ってしまって、不思議な時期でしたね。

佐久間さん:最初に撮ったのが、『あの娘が海辺で踊ってる』。すごすぎますよね。監督は作風に、実体験はでるんですか?溺れるナイフは原作があるけど、今まで撮ったものとか。
山戸監督:フィクションの中でしか真実は物語れないのだと思いますね。現実の言葉で、今個々で、「今三年間付き合ってる彼氏がいて」って言ったときに、言葉にしちゃうと何かが決定的にすれ違ってしまう。世界でたった一人の人間を見つめながら、この宇宙でたった一回の恋だと思って生きた時間は、フィクションの中でだけきらめくことができるというのでしょうか。

佐久間さん:『おとぎ話みたい』みたいな映画って、どうやって着想するんですか?
山:今回Maybe!で恋愛っていうテーマをいただいて考えたことなのですが、今まで自分が恋愛映画だけを撮っているっていう自覚が全くなかったですね。ただ事実として、恋愛映画だけを撮って来ているんですけど、「ラブを撮ろう」と思って撮ってるわけじゃなくて。若い10代の肉体の実存にかかわる問題として、何が決定的に響いてくるのかを考えたときに、女の子の10代の人生を揺るがすものが恋でしかないっていうのがあったんでしょうね。結果、若い女の子を撮ろうとしたときに決定的にいつも恋が絡んできていたっていう感じですね。『おとぎ話みたい』もそうだったのかな。あらすじにしちゃうと「若い女の子が先生に恋をする話」っていうめちゃくちゃ定型的で、あちこちにあるような愚かな恋愛とか憧れでしかないんですけど、ただその中にある内的な一回性の真実として、10代の恋愛を撮りたいっていうのがあったんです。

M;じゃあ、佐久間さんと山戸さんと付き合うのはどうしたらいいですか?
山戸監督:「一流クリエーターと恋愛するには」というクエスチョンには、二つ解があると思いますね。一つ目は、「自分が超一流クリエーターになること」。そうすれば、一流クリエーターと付き合うのは簡単です。みなさん、静寂ですね(笑) 二つ目は、「その人を超一流クリエーターにしてあげようと動くこと」ではないでしょうか。代替の効かない恋愛を望むには、その二つしか、道がない気がしますね。

佐久間さん:いや、僕も全く同じです。そう思いますね。僕は大体、映画が好きな人とか趣味が合う人とは長く続かなかったんですよ。それはなんでかっていうと、同じ映画とか漫画が好きな人って、最終的に価値観の決裂が訪れるんですよね。唯一結婚できたのは、好きなものはちゃんとあるんだけど、別々で映画観に行くとか、意見は言わないとか、そういうことの出来る相手で、だから結婚できたんですけど。
山戸監督:すごい勉強になりますね。結婚、面白そうですね。

佐久間さん:ぼくは12年結婚してるから一概に言えないけど、身を削るときもよかったなって思う時もある。人と一緒に暮らすっていうのは、おもしろいです。
山戸監督:恋愛って言語化できないんですけど、だから一生語らなくてもいいものだと思うんですが、結婚って言葉として社会化されるじゃないですか。普通の夫婦はこうというように規定もされるし、その問いもきっとスリリングですよね。

佐久間さん:ホントに普通の夫婦ってないじゃないですか。それぞれそれなりに地獄を抱えてるっていうか…夫婦とか家族っていうのは全部が幸せじゃないですからね。それ
ぞれの零れ落ちちゃう地獄みたいなものを持っていると思います。

山戸監督:恋愛って、「恋に落ちる」とか、「心を奪われる」っていうじゃないですか、でもきっと、その状態では夢は叶わなくて。自分の心の輪郭を知ると、きっと夢は叶います。芸術は心の発露だから。夢を叶える恋っていうのは、心奪われる恋ではない。そうではなくて、自分の心が自分の心のままで、好きな人が自分の心に触った時、「あ、そんなところに私の心の形あったんだね」って、心の形の輪郭を教えてくれるような恋。そういう恋があるんだと思いますね。そういう恋は必ず芸術に姿を変えてゆくと思うので、心を奪われずに、自分の心のままで相手を見つめるということで、頑張ってほしいですね。他にも、貴重なお話が多かったeventですが。。映画中心でのお話抜粋しました。

映画情報どっとこむ ralph 破裂しそうな10代の恋と衝動。

★ストーリー★
あの頃、君が世界の全てで、私たちは永遠だと信じていた―。

溺れるナイフポスター溺れるナイフポスター15歳の夏。東京から遠く離れた浮雲町に越してきた、人気モデルの望月夏芽(小松菜奈)。退屈でウンザリするようなこの町で、夏芽は体を貫くような‘閃光’と出会ってしまう。それは、コウと呼ばれる少年・長谷川航一朗(菅田将輝)だった。

傲慢なほどに激しく自由なコウに、反発しながらも、どうしようもなく惹かれてゆく夏芽。コウもまた、夏芽の美しさに対等な力を感じ、やがてふたりは付き合いはじめる。「一緒にいれば無敵!」という予感に満たされるふたり。しかし浮雲の夏祭りの夜、全てを変える事件が起きるのだった。

失われた全能感、途切れてしまった絆。

傷ついたふたりは、再び輝きを取り戻すことができるのか。未来への一歩を踏み出すために、いま、ふたりがくだす決断とは 。

11月5日(土)TOHOシネマズ渋谷ほか全国ロードショーです。
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出演:小松菜奈 菅田将暉 重岡大毅(ジャニーズWEST) 上白石萌音
志磨遼平(ドレスコーズ) ・ 斉藤陽一郎 嶺豪一 伊藤歩夢 ・ 堀内正美 市川実和子 ミッキー・カーチス

原作:ジョージ朝倉『溺れるナイフ』(講談社「別フレKC」刊)
監督:山戸結希 脚本:井土紀州 山戸結希 音楽:坂本秀一
製作:「溺れるナイフ」製作委員会(ギャガ/カルチュア・エンタテインメント)
企画協力・制作プロダクション:松竹撮影所
制作プロダクション:アークエンタテインメント
配給:ギャガ

原作:ジョージ朝倉『溺れるナイフ』(講談社「別冊フレンド」刊)

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「Maybe!」概要
発売日;2016年6月16日(木)
定価;本体800円+税
判型;A4変形判116ページ
「Maybe!」公式サイト

※新芥川賞作家の村田沙耶香さん、人気モデル、女優の玉城ティナさん他、各界からMaybe!を絶賛するコメントが届いています。推薦コメントはHP上を日々更新しております。

出演者プロフィール
山戸結希(映画監督)
Maybe!前身の『This!』「あこがれの仕事につく100人の図鑑」企画に登場。『Maybe!』では「君がポカリを飲む頃は」と題したポカリスエットの企画を書き下ろし。2014年に『5つ数えれば君の夢』が渋谷シネマライズの監督最年少記録で公開され、『おとぎ話みたい』がテアトル新宿のレイトショー実写動員を13年ぶりに更新。2015年、日本映画プロフェッショナル大賞新人賞を受賞。11月5日に小松菜奈・菅田将暉主演の最新作『溺れるナイフ』公開予定。

佐久間宣行(テレビ東京プロデューサー)
Maybe!前身の『This!』「あこがれの仕事につく100人の図鑑」企画に登場。大ヒット番組『ゴッドタン』のほか、既に4作を重ねている『ウレロ☆未確認少女』シリーズ、コントドラマ『SICKS〜みんながみんな、何かの病気〜』、BSジャパン『文筆系トークバラエティ ご本、出しときますね』など数々の話題作を手がける。

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