アントニ・ガウディ世紀のプロジェクト「サグラダ・ファミリア」にまつわるドキュメンタリー映画『創造と神秘のサグラダ・ファミリア』が12月12日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAほかにて公開いたしました。

サグラダファミリア田中裕也トーク
12日の公開から2週目を迎え満席のYEBISU GARDEN CINEMAで、バルセロナ在中の田中裕也さん(建築家・ガウディ研究家・工学博士)がトークイベントに登壇しました。

日時:12月26日(土)
場所:YEBISU GARDEN CINEMA
ゲスト:田中裕也(建築家・ガウディ研究家・工学博士)

今年でガウディ建築の実測図を作り続けて39年目となる、バルセロナ在住のガウディ研究家・田中裕也さんがサグラダ・ファミリアやガウディ建築に隠されたメッセージ、またそれを読み解く面白さについて熱く語りました。

現在に至るまで、田中氏が実測を通じて発見した”ガウディ・コード”は450項目以上にものぼるという。

田中さん:実測にはものすごい時間がかかりますが、測ることで建築の全体の様子が見えてくると、少しずつガウディの言いたいことも見えるようになりました。つまり、彼は文章で語るのではなく、建築という言語によって語っているのです。

と、ガウディが作品として遺した”コード”の存在について仄めかします。さらに、作品は彼のポリシーや精神性の顕れでもあり、

映画『創造と神秘のサグラダ・ファミリア』ちらし田中さん:ガウディは決して『器をつくる』という考え方で建築はつくりませんでした。というのも、本来の建築家というのは『生活の場』つまり生活環境全体について考えられる人のことです。たとえば、従来のゴシック建築には、想像上の化け物の装飾が施されていますが、ガウディはそういった装飾を日常的に見かけるような動物たちでアレンジしました。そして、それらの動物は建築において機能を担っている。たとえば、吐水口には爬虫類や両生類などの水にかかわる動物が描かれていますが、それらは『建築に必要な機能』であってたんなる装飾ではないのですね。また、ガウディは日常的に見かける動物たちを石に置き換える、いわば『化石化』することによって現代の証拠として残し、未来につなげようとしていたのではないかと思います。

と分析。

観客:最近見つけたサグラダ・ファミリアのわかりやすいコードは?

と言う質問に、

田中さん:生誕のファサードにはガブリエルの受胎告知の場面が描かれていますが、そこにある尖塔型アーチには星座の描かれたレリーフがあります。1940年以前、ガブリエルの姿は今とは違い、右手の人差し指で天を指している姿でした。そのガブリエルの姿と星座にどのような意味があるのかと気になっていたのですが、人差し指が示しているのは蟹座だった。ガウディは蟹座だったんですね。

と読み解いた”ガウディ・コード”を披露し、満員の場内を沸かせました。

田中さん:ガウディの建築に描かれている動物たちにはそれぞれシンボリズムがあります。たとえば、サグラダ・ファミリアの蛇、生誕のファサードの両脇にいるカメレオンやトカゲは一体意味しているのか?そのように考えることで、みなさんもサグラダ・ファミリアの、ひいてはガウディの志向性を見出すことができると思います。

観客をガウディの神秘の世界へと誘いました。

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田中裕也(たなか・ひろや)プロフィール
1952年北海道稚内市生まれ。国士館大学工学部建築科を卒業後勤めていた建築事務所を退職し、1978年にスペインに渡航。バルセロナにてガウディ建築の実測調査を開始する。その後スペイン国費留学生となり、1991年にカタルニア工科大学バルセロナ建築学部ガウディ研究室のドクターコースを終了。翌年1992年には、カタルニア工科大学バルセロナ建築学部より建築家工学博士号を取得。当時より39年の間、ガウディによる建築物の実測図を作り続けている。

サグラダファミリア祈り

本作は、観た人の感想でも「知らない事実がたくさんあった!」「サグラダ・ファミリアにまた行きたくなった」「贅沢な時間を過ごせる作品」と絶賛の声が相次ぎ、口コミが広がり、回を重ねるごとにお客様の動員も増えています。

創造と神秘のサグラダ・ファミリア

YEBISU GARDEN CINEMAほかにて絶賛公開中です。

公式サイト:http://www.uplink.co.jp/sagrada/
公式Twitter:https://twitter.com/SagradaMovieJP
公式Facebook:http://bit.ly/SagradaMovieFB

かつて、完成までに300年かかると言われていた、アントニ・ガウディ世紀の一大プロジェクト「サグラダ・ファミリア」は、いかにして2026年完成予定となったのか。

スペイン、バルセロナ。2005年に世界遺産に登録され、年間3百万人を超える世界中からの観光客を魅了するバルセロナのシンボル、サグラダ・ファミリア。カタルーニャ州の建築家アントニ・ガウディが構想し、1882年の着工から133年経った現在に至るまでいまだ完成していない建築プロジェクトを、スタッフしか入れない内部の映像と建築関係者らのインタビューによって解明するドキュメンタリー。

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監督:ステファン・ハウプト
出演:ジャウマ・トーレギタル、外尾悦郎、ジョルディ・ボネット、ジョアン・リゴール、ジョアン・バセゴダ、ライモン・パニッカー、ルイス・ボネット

原題:SAGRADA: El misteri de la creació
配給・宣伝:アップリンク
2012年/スイス/スペイン語、カタルーニャ語、ドイツ語、英語、フランス語/94分/16:9/カラー
  

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