光嶋裕介(建築家)×入江正之(建築家・早稲田大学教授)登壇

アントニ・ガウディ世紀のプロジェクトにまつわるドキュメンタリー映画『創造と神秘のサグラダ・ファミリア』が12月12日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAほかにて公開となりました。

その公開を記念し、ゲストにASIAN KUNG-FU GENERATIONの舞台デザインを手掛け、今年の夏、大好評で幕を閉じた展覧会「特別展 ガウディ×井上雄彦 」の公式ナビゲーターも務めるなど、多岐に渡り活躍されている建築家の光嶋裕介さんと、ガウディ研究家としても知られ多くの著書を発表している建築家の入江正之教授を招いたトークイベントが行われました。
サグラダファミリア初日トークpht

映画『創造と神秘のサグラダ・ファミリア』公開記念トークイベント
未だ謎の多いサグラダ・ファミリアと建築家として生涯を貫いたガウディについて徹底解説!!
日時: 12月12日(土)
会場:YEBISU GARDEN CINEMA
登壇者:光嶋裕介(建築家)、入江正之(建築家・早稲田大学教授)

光嶋さん:映画をご覧になっていかがでしたか?

入江教授:ガウディファンがこんなに沢山来ていただいていることが、すでに嬉しいですけど。最初の印象は百三十数年たって、ドキュメントとしてまとめた良い映画ですね。映像も綺麗ですし3回見ても飽きませんでしたね。

光嶋さん:建築って言うのは設計者がいてクライアントがいて、未来予想図として時間を先送りして想像して、それを創造していくんですね。ガウディ―の凄さは、彼は既にいないんですけど、そういう部分でひきつけるんですよ。

サグラダファミリア初日トーク2

光嶋さん:先生が思うガウディ―の魅力は?

入江教授:ガウディの製作ビジョンは、数年先とか百年先とかでの図ではなくて、自然なんですね。1/10模型を作って、後世の人たちに託したんですけど。理論的なものの継承が、自然の生成がするように、建築が生成できないか!?そこだと思うんです。生命観を少しでも実現していこうと僕も考えているんです。
入江正之

光嶋さん:そうですね。日本人が実際に、現地に観に行って共有している。まさに、そういう自然観の部分で共有している気がしますね。

入江教授:自然の生成と建築の生成がいかに近似値をとれるのか。もう一つは、自然は生命を伴いますが、建築でも生命をもつ物をと。で、ガウディが遺した1/10模型が内戦で破壊されて、それを再生していくんですが、その過程で数値化され、法則化し、データをコンピューターで解析していく。でもそれで作っていく中に生命感があるのか?それが重要かなと思います。「神様はお急ぎにならない。」で、良いと思うんですけどね。

光嶋さん:そうですよね。ガウディは‟俺の考えはこうなんだ!”という図面は残していないんですよね。行って見て感じてもらうと、今作っている部分と以前の部分の波長の違いを感じられると思うんですよ。で、出来たらコロニア グエルを観て欲しいんですね。地下の礼拝堂はガウディ―の想いが詰まっているんです。
光嶋裕介

入江教授:ガウディが遺した言葉に「芸術は美であり、美は真実の輝き。」というのがあって、それを建築・彫刻の中でやっているんですよね。

光嶋さん:建築は目に見える物なんですけど。ガウディ―が凄いのは、目に見えないものにアクセスしている。ガウディはエゴなしに。

継承していくのは完成するということではなくて、この建築(行為)そのものに残しているのではないかと思いますね。

サグラダファミリア初日トーク1

映画『創造と神秘のサグラダ・ファミリア』ちらし物語・・・
かつて、完成までに300年かかると言われていた、アントニ・ガウディ世紀の一大プロジェクト「サグラダ・ファミリア」は、いかにして2026年完成予定となったのか。

スペイン、バルセロナ。2005年に世界遺産に登録され、年間3百万人を超える世界中からの観光客を魅了するバルセロナのシンボル、サグラダ・ファミリア。カタルーニャ州の建築家アントニ・ガウディが構想し、1882年の着工から133年経った現在に至るまでいまだ完成していない建築プロジェクトを、スタッフしか入れない内部の映像と建築関係者らのインタビューによって解明するドキュメンタリー。

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監督:ステファン・ハウプト
出演:ジャウマ・トーレギタル、外尾悦郎、ジョルディ・ボネット、ジョアン・リゴール、ジョアン・バセゴダ、ライモン・パニッカー、ルイス・ボネット
原題:SAGRADA: El misteri de la creació
配給・宣伝:アップリンク
(2012年/スイス/スペイン語、カタルーニャ語、ドイツ語、英語、フランス語/94分/16:9/カラー)

2015年12月12日(土)YEBISU GARDEN CINEMAほか、全国順次公開

公式サイト:http://www.uplink.co.jp/sagrada/
公式Twitter:https://twitter.com/SagradaMovieJP
公式Facebook:http://bit.ly/SagradaMovieFB
  

光嶋裕介(こうしま・ゆうすけ) 
建築家。一級建築士。1979年、米ニュージャージー州生まれ。2002年早稲田大学理工学部建築学科を卒業。2004年早稲田大学大学院修士課程建築学専攻、修了。2004 – 08年ドイツのベルリンにあるザウアブルッフ・ハットン・アーキテクツに勤務。2008年 -光嶋裕介建築設計事務所を開設。2012 – 15年、首都大学東京にて助教、桑沢デザイン研究所および大阪市立大学で非常勤講師をつとめる。2015年 -神戸大学客員准教授。主な作品に《彩輝館》(2015)など多数。主な著書に、『みんなの家。~建築家1年生の初仕事~』(アルテスパブリッシング)、『幻想都市風景』(羽鳥書店)、『建築武者修行—放課後のベルリン』(イースト・プレス)など。

入江正之(いりえ・まさゆき)
1946年生まれ。建築家・早稲田大学教授。工学博士。1977~78年バルセロナ建築大学ガウディ講座留学。1990年「アントニオ・イ・コルネットに関する一連の研究」で日本建築学会賞受賞。『アントニオ・ガウディ論』(早稲田大学出版部)、『ガウディの言葉』(彰国社)、『図説ガウディ』(河出書房新社)他著訳書多数。建築作品に《実験装置/masia2008》(第22回村野藤吾賞)、《行燈旅館》(日本建築学会作品選奨)、《明善寺》、《漱石山房記念館設計コンペ1位》等多数。

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