想田和弘監督が語る「日本でもテロは起こり得る。その時のために今、何をすべきか」。
全米公開時にアカデミー賞をはじめ高い評価を受けた戦場ドキュメンタリー映画『レストレポ前哨基地』が、現在、渋谷アップリンクにて上映中です。 本作は、地上で最も危険といわれたアフガニスタンの戦線へ2007年に派兵された米軍小隊に密着し、“治安維持”という名の「対テロ戦争」の現実を捉えた作品。 新作『牡蠣工場』が来年2月に公開予定の映画作家・想田和弘さんをゲストに迎え、アフタートークがおこなわれました。 『レストレポ前哨基地』先行上映トークショーレポート |
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想田監督は、本作を観た感想を、
想田監督:映画は疑似体験の装置。優れた映画を観たときには、必ず自分があたかもその場にいたかのような臨場感を体験する。この映画にもそれが言えて、自分が兵士になって戦場に放り込まれた感覚を味わいました。 と話しました。 |
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また、1993年からニューヨーク在住で、この映画で描かれている「テロとの戦い」の発端になった2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件に現地で遭遇した想田監督は、国が一丸となって戦争に進んでいった当時のアメリカの様子を次のように振り返った。
想田監督:野球が好きでよく球場に観に行くが、大リーグの試合では7回表が終わると“私を野球場に連れて行って”という曲を皆で歌う慣習がある。けれど、あの頃それがアメリカの第2の国歌といわれる“ゴッド・ブレス・アメリカ”に替わった。僕は起立するのが嫌で座っていたが、周りが全員起立している中で一人座ってるのは恐怖だった。そのくらい当時アメリカは愛国一色になっていました。 |
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さらに、911では冷静だったフランスが、自国でイスラム国によるテロが起きると、直ちに報復としてシリアへ大規模な空爆を始め、12月6日に行われた地域圏議会選挙でも極右が圧勝したことについて、
想田監督:人間は、自分がやられたらやり返す感情的な動物であることを、われわれは自覚すべき。日本でも同じようなテロが起こる可能性は、非常に高いと思う。その時には冷静な話し合いはできなくなるはずなので、今から理性的に話し合っておくことが大切です。 と語られました。 『レストレポ前哨基地』渋谷アップリンクほかにて全国順次公開中です。 公式サイト:http://www.uplink.co.jp/restrepo/
第83回 アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞ノミネート 『レストレポ前哨基地 PART.2』(2014年/アメリカ/84分) (c) GOLDCREST FILMS, OUTPOST FILMS. |