 |
公開記念トーク
『ケイコ 目を澄ませて』『夜明けのすべて』など作品を発表するごとに国内映画賞を席巻し、本作で第78回ロカルノ国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門にて最高賞である金豹賞&ヤング審査員賞特別賞をW受賞した、日本映画界を代表する存在である三宅唱監督最新作『旅と日々』(原作:つげ義春 『海辺の叙景』『ほんやら洞のべんさん』)が11月7日(金)より全国で公開中です。
この度、『旅と日々』の公開を記念して、11月9日(日)に東京・テアトル新宿にて三宅唱監督と主演のシム・ウンギョンさんによるトーク・Q&Aイベントを開催! 各国の映画祭で高い評価を受け、ついに日本での劇場公開を迎えた週末、監督と主演俳優が作品への思いや撮影当時の裏話を語り合いました。チケットは発売後、即完売するほどのプレミアとなり、その争奪戦を潜り抜けた観客からの質問が途切れず、熱気に包まれたQ&Aとなりました!

山形国際ムービーフェスティバル
舞台挨拶および真利子哲也監督とのトークセッション
日程:11月7日(金)
場所:ムービーオンやまがた
登壇者:三宅唱監督、真利子哲也監督
イオンシネマ三川舞台挨拶
日程:11月8日(土)
場所:イオンシネマ三川
登壇者:三宅唱監督
公開記念トーク・Q&A
日程:11月9日(日)
場所:テアトル新宿
登壇者(敬称略):シム・ウンギョン、三宅唱監督
|
 |
シム・ウンギョン、三宅唱監督が語る名シーンの数々、その‟裏側”――
『旅と日々』はロカルノ国際映画祭、釜山国際映画祭、サン・セバスチャン国際映画祭などすでに30近くの映画祭に招待されており、主演のシム・ウンギョンがシンガポール国際映画祭「最優秀俳優賞」にノミネートされていることが発表されたばかり。それを受けてシムからは「自分が愛するこの『旅と日々』という映画でノミネートされてとても光栄です。ノミネートされるだけでも嬉しいですが、いい結果になりますように願っています」とコメント。

参加者のなかには公開3日目にして、すでに複数回鑑賞しているというリピーターも続出し、なかには5回目という猛者も。満席の会場では熱心な観客たちから次々と質問の手が挙がり、熱量の高い雰囲気のなかで対話がおこなわれた。

◎ケリー・ライカートから祝福メッセージのエピソードも!
すでに3回鑑賞したという観客が「私たち観客をすごく信頼してくれているような映画と感じて、すごく感動した」と感想を述べ、ケリー・ライカート監督の名前を挙げながら、共通点として暗い夜のシーンについて言及。灯り、照明についての意図を問われると、監督は「つげ義春さんのマンガの闇の表現について考えていました。「恐ろしいものがあるんじゃないか」と目に見えることより想像させること、あるいは音によって導かれることで、映画を観ているときのドキドキ感が味わえるんじゃないかと思いました」と振り返った。ちなみに、監督が敬愛するケリー・ライカート監督とは共通の友人がいて、ロカルノで受賞したときに友人を経由して「すごい! おめでとう!」とメッセージをもらい、「超嬉しかった」(三宅監督)というエピソードも披露された。
また、別の観客からも夜の雪のシーンの照明について問われると、監督は「大変でした……」とまず一言。「ベースとなっているのは、冬の夜に雪の中を歩いている感覚。単に真っ暗なのではなく、何かぼんやり見える。雪が音を吸収するのでものすごく静かで、自分が歩いている音だけが聞こえるような。絵本を読んでいるときのような、不思議な感じが雪の夜にはある。あの感じを少しでも味わえるようにするにはどういう画の雰囲気にしたらいいかを、皆で追求しました」と答えた。
◎カメラが捉えた、チャップリンさながらの光景
「李さんが雪の中を歩いていくシーンでは、どんなことを考えていたのか。とても寒かったと思うが」との質問に、シムは「あの場所は実は田んぼでして、道じゃないんです。本当に大変でした。冷たくはなかったんですが、とにかく足が落ちたりして……。15分くらい歩いたと思います。」と振り返り、「ただ、とにかく最後までちゃんと歩こうと考えていました。撮影のときは“雪道を歩くシーンなんだな”くらいに思って演じていたんですが、完成した映画を見て、その意味がもっと伝わってきまして。歩き方がちょっと変なんですよ。落ちたり、また歩いたりして、チャップリンみたいな歩き方をしているんです。でも、そういう不器用さも含めて、“このままでいいんだ”というメッセージがあるように感じました。映画を通して、その意味をより深く感じられた気がします」と何気なく思えるシーンにも込められたメッセージについてコメントした。
◎奇跡的なショットの誕生秘話
さらに、映画ファンからの質問らしく、素晴らしいショットについての質問も飛び出した。李が部屋で初めてカメラを手にして撮ろうとしたときにアパートのすぐそばを電車が走るシーン、李の帽子が橋の上で風に飛ばされるショット、そしていくつかの猫のショットについて、「偶然なのか、ずっと待って撮ったのかわからないショット。普通には撮れない、なんという撮影をしているんだろう! という驚きがいくつもある」という指摘に対して、監督は「猫については、カメラマンの月永雄太さんが撮影をのぞきにきた猫をとにかく撮ってくれていました。さすがに僕は脚本に“猫”と書く勇気はないんですよ(笑)。いろいろ大変なので」。また、帽子が飛ばされるシーンについてはふたりで目を合わせてから「いろいろ工夫しましたね」とシムさんが冗談めかして言うも、すぐに「あれは本当に偶然でした」と明かす。「その日、風が冷たくて、強くて。帽子が飛んでしまった。そして、橋も凍っていたんですね。だからあの場面のすべてが、神様が手伝ってくださったという偶然でした」(シム)と奇跡的なショットの誕生秘話を語った。そして、監督からは電車のシーンについて、「電車はさすがに偶然ではなく狙ってます(笑)。打ち合わせをしていくなかで、美術を担当した布部(雅人)くんからこういうロケ地で撮るのはどうだろうと提案されました。実は過去に映画ではない作品で、窓の外をすぐ電車が走るというものを撮ったことがあるんですが、それを少し形を変えて撮ってみるのはどうだろうということになって。そこで驚いてもらえたのは嬉しいです。あのシーンは映画の真ん中に位置していて、ぐいっとウンギョンさんの話が始まるところに入れたショット。あの一連はいいシーンになったなと思います」と解説した。

「つげ義春ファンから見ても、つげさんの世界を感じるショットがたくさんあったと思いました」という感想を受けて、三宅監督は「世代によっては、まだつげ義春さんのマンガを読んだことがないという方もいると思うので、この機会にぜひ読んでいただきたい。原作となった『海辺の叙景』『ほんやら洞のべんさん』以外も読んでほしい。そしてマンガを読み終わったら、また映画を観てください」と語った。
最後は「Q&Aって楽しいですね。また何回かやれたらと思います」(三宅監督)、「映画について皆さんと話ができて、とても楽しかったです。今日は本当にありがとうございました」(シム)と挨拶して、トークの幕を閉じた。
トーク終了後に行われたサイン会でも感想を添える人の列が途切れず、大盛況のイベントとなった。
|
 |
山形凱旋舞台挨拶
11月7日(金)、第21回山形国際ムービーフェスティバルにて、三宅唱監督が登壇。撮影時を振り返り、「強い風が吹いたことで偶然生まれたシーンは、庄内からの風のプレゼントみたいでした。雪が積もっていて欲しい大事なシーンを撮る前夜も、雪が少なくなってきていたのに、当日になるとばかみたいに降ってくれて。“この天気で撮れ”って言われているんだな、と思いました」と笑顔を見せた。

同映画祭では『DEAR STRANGER/ディア・ストレンジャー』の真利子哲也監督とのスペシャルトークも実現! 以前から交友のある二人だが、三宅監督が「大学時代、“今いちばんきているのが真利子哲也”と聞いてました」と、出会う前から活躍を目にしていたと明かすと、真利子監督は「三宅監督の話を聞くと、どの俳優さんも“信頼できる監督だ”って言っていますね」と笑顔で応じた。三宅唱監督が『DEAR STRANGER/ディア・ストレンジャー』に対して「真利子さんは本当に難しい問いを前において、適当に答えるような人も多いのに、本当に時間をかけて取り組んでいて。同じ時代の作り手として、めちゃくちゃ刺激になりました」と熱くコメント。『旅と日々』の上映を客席で見ていた真利子哲也監督からは「本当に素晴らしい映画でした。ここ山形に来て、旅先で観ることができて本当に良かった」と心からの賛辞が送られた。
イオンシネマ三川
翌8日(土)にはロケ地・庄内のイオンシネマ三川でも舞台挨拶を実施。「撮影中の休みの日に、実はこの劇場で映画を観たんです。まさか8か月後、自分の映画でここに戻ってくるとは」と話すと会場から拍手が。雪深い風景に人の営みを描きたいという思いから庄内での撮影を決めたという監督が撮影を振り返った。撮影中は雪の気まぐれに翻弄される日々だったようで「3月に入ると雪が溶けてしまって。生まれて初めて、つららをセロハンテープで吊るすという健気な努力もしました」と語ると、客席から大きな笑いが起こった。「同じ雪景色は一日もないんだと実感しました。そういう変化が面白かった」と撮影を通しての思いを吐露。
べん造役・堤真一の“庄内弁”については「すごく丁寧に取り組んでくれました。途中からは“庄内弁”にこだわらず、キャラクターとして自然に聞こえるように柔らかくしたり。堤さん自身、本当にチャーミングな方で、演じる上で方言も含めて、彼らしい温かみが出たと思います」と語る。主演のシム・ウンギョンについても「本当にユーモアのある人で、撮影中のハプニングも“このカットつかえる!”と、ものすごくうれしそうでした」、「全く違う場所からやってきた二人の出会いと別れを描けたのは、彼女がいたからこそ」と本作のキャラクターや、物語との親和性を強調する場面も。そんなキャスト二人からは、サプライズ動画メッセージが到着! 「おそばが美味しかった」「温泉にも入りました」「本当に皆さんが温かかったです」と述べられると監督は「僕は行けてないところがたくさんありますね……」と恨めしそうにこぼした。
会場にはロケ場所や、撮影時に通ったお店のスタッフも応援に駆けつけ、監督から「地元の方々の力があってこそ撮影ができた。寒い現場の中で、たくさんの人に支えられていました」と直接感謝の言葉が贈られた。監督から「“最近映画館に行ってないな”という方がいたら、“楽しかったよ”って伝えてあげてください。この映画に限らず、いろんな作品が待っていますから。みんなで映画館で映画を観る時間を、これからも大切にしていきましょう」と投げかけ、山形凱旋台挨拶は幕を閉じた。
|
 |
『旅と日々』
大ヒット上映中!
@tabitohibi
行き詰まった脚本家が旅先での出会いをきっかけにほんの少し歩みを進める――
世界の映画祭が注目する三宅唱監督が贈る、今秋最注目の珠玉のロードムービー
強い日差しが注ぎ込む夏の海。ビーチが似合わない夏男が、影のある女・渚に出会う。何を語るでもなく、なんとなく散策するふたり。翌日、また浜辺で会う。台風が近づき大雨が降りしきる中、ふたりは海で泳ぐのだった……。
つげ義春の漫画を原作に映画の脚本を書いた李。「私には才能がないな、と思いました」と話す。冬、李はひょんなことから訪れた雪荒ぶ旅先の山奥でおんぼろ宿に迷い込む。雪の重みで今にも落ちてしまいそうな屋根。やる気の感じられない宿主、べん造。暖房もない、まともな食事も出ない、布団も自分で敷く始末。ある夜、べん造は李を夜の雪の原へと連れ出すのだった……。
監督を務めるのは、『ケイコ 目を澄ませて』(22)、『夜明けのすべて』(24)など、作品を発表するごとに国内の賞を席巻し、これまでベルリン国際映画祭に3作が出品されるなど、現代日本映画界を牽引する存在として世界中で注目を集める三宅唱監督。原作であるつげ義春「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」を見事な手腕で現代的にアップデートする。 韓国出身ながら日本映画界に不可欠な俳優であるシム・ウンギョンを主演に、べん造役に映画、テレビ、舞台と縦横無尽に活躍する俳優・堤真一、渚役を2024年に数々の映画賞を獲得した河合優実、夏男役を『流浪の月』に出演し注目度の上がっている髙田万作が演じる。さらに、つげ義春作品に欠かせない俳優・佐野史郎がひとり二役で花を添える。
|
***********************************
シム・ウンギョン
河合優実 髙田万作
斉藤陽一郎 松浦慎一郎 足立智充 梅舟惟永/佐野史郎
堤真一
監督・脚本:三宅唱
原作:つげ義春「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」
音楽:Hi’Spec
※クレジット掲載の際は上記の改行をそのままご掲載ください。
製作:映画『旅と日々』製作委員会 製作幹事:ビターズ・エンド カルチュア・エンタテインメント
企画・プロデュース:セディックインターナショナル
制作プロダクション:ザフール
配給・宣伝:ビターズ・エンド
©2025『旅と日々』製作委員会
関連記事: