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公開記念 トークショー

 
多くの名監督と映画史に輝く名作の数々を生み出した女優・若尾文子。TV・DVD・配信でも代表作が展開され、2024年のベネチア国際映画祭、今年2025年のベルリン国際映画祭と2年連続で主演映画が世界三大映画祭で上映されるなど、今も世界中の映画ファンを魅了しています。角川シネマ有楽町、大阪シネ・ヌーヴォにて上映中の『若尾文子映画祭 Side.A & Side.B』から、初4K化作品『妻は告白する』の上映後に、「若尾さんは最も憧れの人」と公言する俳優・前田敦子さんがゲスト登壇するトークイベントを実施。ドラマや映画で様々な役を幅広く演じてきた前田さんに、女優・若尾文子と若尾出演作品の魅力について熱く語っていただきました。
若尾文子映画祭
 
公開記念 前田敦子トークショー
日時:2025年6月21日(土)
場所:角川シネマ有楽町
登壇:前田敦子
 

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前田敦子登壇

 
「私の大好きな若尾文子さんの映画祭に、こうしてトークショーで参加させてもらえて本当に嬉しいです」という前田の挨拶からトークがスタート。自身の出演作ではなく、他の俳優の出演作のイベントに登場するのは結構珍しいと言われた前田は、「他の俳優さんの映画祭に登壇するのは初めてだと思います。もう若尾さんが好きすぎて、これは私が行かないと誰が行くんだ!っていうぐらい好きな気持ちは負けません」と熱弁。
若尾文子映画祭
 若尾を好きになったきっかけを聞かれると、「以前、TSUTAYAで若尾さんの特集をしていた時にたまたま行って『青空娘』を見つけてジャケ写買いをしたのが始まり。この『青空娘』のポスターの若尾さんは、みなさんが大好きな若尾さんですよね。下からの画角が素晴らしくて、絶対美しい方だなって。詳しく調べないで、若尾さんの出演作を5作品ぐらい購入して帰りましたが、作品を観た瞬間、間違ってなかった、何て素敵な素晴らしい女優さんなんだろうと。見た目もですがお芝居にも心惹かれました。私は特に若尾さんの声が好きなんです。少し癖のある話し方をされるんですけど、一人称の“私”を話す時の声が好きです」と、“私”を声真似しながら語り、客席を和ませた。
 
 トークショーの前に上映された『妻は告白した』の感想について、「こういうダークな作品も好きですね。若尾さんが艶っぽい、色っぽい、セリフのないお芝居が素敵な作品がすごく多いなと思って。ポップな方が若尾さんの可愛らしさは存分に味わえますけど、役者としての無言の芝居を堪能できるのは、こういう作品ですよね」と答え、役に没頭する俳優の力、エネルギーについて、「相手役の男性が翻弄されていくのもわかる、それくらい魅力的な方。持って生まれたものもあるし、役者としての幅の広さが素晴らしいと思いますね」と語る。さらに、演技のヒントを得ることがあったか聞かれ、「こんなに重厚感ある作品は、現代でなかなかないと思う。崖から落ちるか?落ちないか?みたいな役、やってみたいですけどね」と答えると、客席から笑いが起きた。
若尾文子映画祭
 若尾文子の沼から抜け出せないと断言する前田が、イチオシ作品に挙げたのは『東京おにぎり娘』。黒沢清監督の映画『旅のおわり世界のはじまり』の撮影で行ったウズベキスタンで観たという。若尾出演作DVDを何本か持参し、共演の柄本時生さんと手持ちのDVDを交換したそう。時生さんが貸してくれたのは「ごっつええ感じ」だったと笑う。他にも、「『お嬢さん』、『青空娘』といった可愛い若尾さんを見つくしてから、『女は二度生まれる』、『妻は告白した』を観て、大人の階段を一緒に上がっていきたい」「『婚期』に出演する女優3人がたまらない。特に、共演の女優さんたちが魅力的で、若尾さんを本当に尊敬しているのが画面越しに伝わる」。若尾さんに会ったことはなく、もし若尾さんと共演できたらと聞かれると、「もう、生きていけない。ピークを迎えてしまう。一瞬で全てが満たされる」と熱量の高さを見せた。
若尾文子映画祭
自身が演じてみたい若尾作品の役柄について、「やはり、『妻は告白した』の崖ですかね。男性とドロドロする作品をやったことがないので、崖で男女で揉み合いたいです。残念ながら、『青空娘』のような爽やかな作品の経験もなくて、クセが強い役が多いんです。アイドルからキャリアが始まったので、映画デビュー作は意外性を求められたと思うんです。もう1回、キラキラな役から始めてもいいですかね?」と観客に問うと、客席から拍手が沸き起こった。映画の仕事については、「人生において大切な場所は映画ですね。全てのお芝居に対して思い入れは勿論ありますけど、こうやって一生残っていくものが映画だと思うので、自分もそういう作品に出会いたいという大きな夢はずっとあります」「ヒロインはロングヘアーだと思い、今髪を伸ばしているところ。まず見た目からそういう自分になって、『青空娘』のような作品に出会いたい」。また、時生さんの兄の柄本佑さんとは共演の際に若尾作品について熱い談義を繰り広げたエピソードを披露。「佑さんは大先生でたくさん教えてもらい、過去一番話が盛り上がった」と語った。
若尾文子映画祭
 60年代・70年代の日本映画の魅力について、「その年代の女優さんは早くに引退される方も多かったけど、十分な数の作品を残してくださった。スターの主演作が毎月公開されていたが、今の時代なら働き方改革で絶対にできない。どれだけ命を削って撮影に臨まれていたか計り知れない」と語り、AKB48を卒業した20代に始めた名画座巡りについて、「3年間ぐらいみっちり予定を埋めて、1日3~4本映画館をハシゴしてました、道玄坂をダッシュしましたよ。アイドルの忙しさに慣れて元気だったので、そのパワーを映画に充てていました。映画に恋してたんです」と振り返った。フォトセッションの際は「両脇を若尾さんに挟まれて幸せ!」と大好きな「推し」への愛を感じる一幕も。
 
 最後に、若尾作品に触れる方へ、「まだ私は4K版はまだ観ていないので、すでに観た方がうらやましいです。こうやって作品が守られるのは、ファンのみなさんの応援があってこそ。これからも美しい若尾さんをたくさん現代に残してほしい。私と一緒に若尾さんの魅力を語って、何代も先まで残していってほしいなと思います。みんなで集まるこの力がかなりのパワーになると思うので、4K化作品が増えるように、フィルムが守られるように、応援していきましょう!」とメッセージを送った。
 
若尾文子映画祭

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『若尾文子映画祭』

 
<Side.B>が角川シネマ有楽町にて上映中
<Side.A & Side.B>が大阪シネ・ヌーヴォにて上映中
 
私が愛するのはあなたひとり…女性の心理を鋭く抉る、衝撃の傑作!
「これからの女優人生をかけて本作の妻役に挑み、自分の代表作だと自信を持って言える一本になった」と若尾文子も語る、
増村×若尾タッグ第九作にして最高傑作。「人を愛する」とはどういうことかを真正面から問う。
【物語】北穂高・岩壁での遭難時にザイルを切り夫(小沢)を落下させ、死亡させた妻(若尾)。
若い男(川口)と共に一命を取り留めたが、その夫には多額の保険金が掛けられていた…。そして殺人容疑者となった妻は法廷に立つ。
若尾文子映画祭
若尾文子映画祭
 

前田敦子Profile

1991年千葉県生まれ。2005年に「AKB48」の第1期生として加入。中心メンバーとして国民的な人気を集め、2012年に卒業後は俳優業に本格的に転向。映画「苦役列車」「もらとりあむタマ子」「さよなら歌舞伎町」「旅のおわり世界のはじまり」、ドラマ「毒島ゆり子のせきらら日記」「伝説のお母さん」
「厨房のありす」「人事の人見」など、映画・ドラマ・舞台に幅広く出演。映画好きとしても知られ、若尾文子を「いちばん好きな女優」として敬愛している。
 

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監督:増村保造 
原作:円山雅也 
脚本:井手雅人 
撮影:小林節雄 
美術:渡辺竹三郎 
音楽:真鍋理一郎
出演:若尾文子、川口浩、小沢栄太郎、根上淳、高松英郎
(1961年/モノクロ/92分/スコープ) ©KADOKAWA1961
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