素晴らしい、心に残るドキュメンタリー映画にみんなで喝采を送ろうと、みなさまの投票だけで決定する「浦安ドキュメンタリー映画大賞」ですが、投票の結果、11回目となる2024年の大賞受賞作品が決定しましたのでご紹介。
『どうすればよかったか?』 (藤野知明監督/2024年/日本/101分) 面倒見がよく、絵がうまくて優秀な8歳ちがいの姉。両親の影響から医師を志し、医学部に進学した彼女がある日突然、事実とは思えないことを叫び出した。統合失調症が疑われたが、医師で研究者でもある父と母はそれを認めず、精神科の受診から姉を遠ざけた。その判断に疑問を感じた弟の藤野知明(監督)は、両親に説得を試みるも解決には至らず、わだかまりを抱えながら実家を離れた。 このままでは何も残らない——姉が発症したと思われる日から18年後、映像制作を学んだ藤野は帰省ごとに家族の姿を記録しはじめる。一家そろっての外出や食卓の風景にカメラを向けながら両親の話に耳を傾け、姉に声をかけつづけるが、状況はますます悪化。両親は玄関に鎖と南京錠をかけて姉を閉じ込めるようになり……。 20年にわたってカメラを通して家族との対話を重ね、社会から隔たれた家の中と姉の姿を記録した本作。“どうすればよかったか?” 正解のない問いはスクリーンを越え、私たちの奥底に容赦なく響きつづける。
『かづゑ的』 (熊谷博子監督/2023年/日本/119分) 瀬戸内海にある国立ハンセン病療養所、長島愛生園。 宮﨑かづゑさんは10歳で入所してから約80年、ずっとこの島で生きてきた。病気の影響で手の指や足を切断、視力もほとんど残っていない。それでも、買い物や料理など周囲の手を借りながらも自分で行う。 「本当のらい患者の感情、飾っていない患者生活を残したいんです。らいだけに負けてなんかいませんよ」と力強く語るかづゑさん。患者同士のいじめに遭い、つらかった子ども時代。家族の愛情と、たくさんの愛読書が、絶望の淵から引き上げてくれた。そして夫の孝行さんと出会い、海沿いの夫婦寮で自然とともに暮らしてきた。 かづゑさんはいつも新しいことに挑戦している。そしてどこか可愛いらしい。76歳のときにパソコンを覚え、84歳になって初の著作となる『長い道』(みすず書房)を出版。類まれな表現力で日常を瑞々しく綴り、版を重ねている。90歳も半ばになったかづゑさんは言う、「できるんよ、やろうと思えば。」
3位『拳と祈り-袴田巌の生涯-』 (笠井千晶監督/2024年/日本/159分) 4位『戦雲-いくさふむ-』 (三上智恵監督/2024年/日本/132分) 『映画○月○日、区長になる女。』 (ペヤンヌマキ監督/2024年/日本/110分) 『正義の行方』 (木寺一孝監督/2024年/日本/158分) 7位『うんこと死体の復権』 (関野吉晴監督/2024年/日本/106分) 8位『ビヨンド・ユートピア 脱北』 (マドレーヌ・ギャビン監督/2023年/アメリカ/115分) 9位『マミー』 (二村真弘監督/2024年/日本/119分) 『マリウポリの20日間』 (ミスティスラフ・チェルノフ監督/2023年/ウクライナ・アメリカ/97分)
★大賞受賞作品は7月20日(日)~21日(月祝)に開催予定の第11回うらやすドキュメンタリー映画祭内で受賞記念上映を行い、表彰式もあわせて実施予定です(詳細は日時は5月中旬に発表予定)。 【投票対象者】 すべての方 【総投票数】 243票 【投票期間】 2025年1月24日(金)~3月5日(水) 公式サイト https://urayasu-doc.com/film_award/
2023年第10回『「生きる」大川小学校 津波裁判を闘った人たち』 (寺田和弘監督/2022年/124分/日本) 2022年第9回『教育と愛国』 (斉加尚代監督/2022年/107分/日本) 2021年第8回『水俣曼荼羅』 (原一男監督/2020年/372分/日本) 2020年第7回『なぜ君は総理大臣になれないのか』 (大島新監督/2020年/119分/日本) 2019年第6回『主戦場』 (ミキ・デザキ監督/2018年/122分/アメリカ) 2018年第5回『沖縄スパイ戦史』 (三上智恵&大矢英代監督/2018年/114分/日本) 2017年第4回『MOTHER FUCKER』 (大石規湖監督/98分/2017年/日本) 2016年第3回『クワイ河に虹をかけた男』 (満田康弘監督/2016年/119分/日本) 2015年第2回『天皇と軍隊』 (渡辺謙一監督/2009年/90分/フランス) 2014年第1回『標的の村』 (三上智恵監督/2013年/91分/日本)
昭和100年映画祭 大手邦画4社(東映、KADOKAWA、松竹、日活)が運営する公式YouTubeチャンネルにて、連携して取り組む配信特別企画【「昭和100年映画祭」特集】が決定しました!! 丸の内TOEIでの特集上映「昭和