映画情報どっとこむ ralph ANIME FANTASISTA JAPAN 2024
 
映画『化け猫あんずちゃん』が絶賛公開中です。
 
この度、8月12日(月・祝)に実施されたアニメイベント「ANIME FANTASISTA JAPAN 2024」の舞台に『化け猫あんずちゃん』チームが参加。久野遥子(監督)、飯塚智香(CG監督)、平井あかね(作画担当)、岩井澤健治(音楽監督)が登壇しました。
化け猫あんずちゃん
 
チームが参加@ANIME FANTASISTA JAPAN 2024
日程: 8月12日(月・祝)
場所:吉祥寺エクセルホテル東急
登壇者:久野遥子(『化け猫あんずちゃん』監督)
飯塚智香(『化け猫あんずちゃん』CG監督)
平井あかね(『化け猫あんずちゃん』作画担当)
岩井澤健治(『音楽』監督)
MC:近藤慶一(シンエイ動画 プロデューサー)
映画情報どっとこむ ralph 『化け猫あんずちゃん』チームが登壇
 
多くの人で賑わう会場に『化け猫あんずちゃん』チームが登壇。ロトスコープの手法で作られた本作について久野監督は「ディズニーなどでも使用されていたりする昔からある手法で、実写で一度撮影した映像の上から写すように描くというのがロトスコープになります。あんずちゃんに関しては、人間のフォルムからかなり離れたものになっていて、ロトスコープによってリアルに見せたいというより、可愛らしいことや面白いことなど幅広いことができればと、この作品を作りながら思っていました」と解説します。
 
続いて本作のCG技術の話に。アニメを作る上ではカメラが固定されていないと作画がとても複雑になるが、本作では実写映画同様に自由なフレームワークで撮影を実施。実写の撮影において芝居をフォローしていくカメラの動きに制限が出ないようにしたという。大判のパノラマサイズの背景設定を用意しカメラの動きをつけていくという方法で、実写のカメラワークの動きをアニメーションに落とし込んだ。CG監督を務めた飯塚は「実写とアニメのフレーム撮影の映像がほぼほぼ同じになっています。実写の撮影のフレームワークが素敵だったのでできるだけ活かしたいという思いがありました」とその努力を語り、久野監督は「実写の撮影監督の池内さんの素晴らしいカメラワークがそのまま残ったことがアニメーションの力になったと思います。飯塚さんはどうしたら実現できるか相談すると必ず方法を見つけてくれた」とその功績を称えます。
 
 ロトスコープの作画について話が及ぶと、久野監督は「『花とアリス殺人事件』でロトスコープディレクターとして参加させていただいた際には、ロトスコープでお芝居の良いところを拾うとすごく美しい映像になる、逆に動きを拾いすぎると何故か実写と離れた印象のアニメになると感じました。あんずちゃんでは、お芝居の気持ちいいところだけをアニメーションに連れて行きたいと思いました。そうすることであんずちゃんみたいな人間と離れたキャラクターでも、山下監督の良さも活かせるのではと考えました」と本作で目指した部分を明かし、作画を担当した平井は「私が担当したカットは、すごく繊細な表情芝居がメインで、役者さんのお芝居がすでにとても良いものになっていました。絵にすることでそれが薄まってしまわないかが心配でした。元になる実写映像をそのまま絵にするというよりは、何度も映像を見て自分が受けた印象を絵で表現することを意識しました」と役者らの芝居の温度感を活かした作画工程について語り、久野監督は平井の表現について「パイロット版で平井さんが担当されたカットが、デフォルメもされているのに実写の芝居のニュアンスは残っていてとても良いと思いました。本編を作る上でロトスコープ表現のベクトルの指針にもなりました」と振り返った。
 
続いて久野監督と『音楽』の岩井澤監督とのトークパートに移り、岩井澤監督から久野監督へ続々と質問が。ロトスコープ作品をチームで作り上げていく上で苦労した点について、久野監督は「実写の映像をどこまで拾うのかというのが、人によって難しいという意見がありました。また、実写映像での“うなずき”の演技をそのままアニメにすると動きがささやかすぎて、演技として抜けてしまうということがあるのですが自分はその”うなずき”は拾いたかったので気をつけていました」と語る。
 
また、主に実写映画の世界で活躍する山下監督との共同監督であったことでの苦労点について尋ねられた久野監督。「いきなりあんずちゃんを作るとなっていたら難しかったと思うのですが、6年前に山下監督と『東アジア文化都市 2019豊島』のプロモーション映像をロトスコープで作ったので、その際に実写とアニメのバランス感については探れていたと思います。山下監督は実写撮影時にカメラの位置を変えるときでも、私に確認してくれたりと、とても気を使って実写の撮影をしていただけました」と振り返ると、岩井澤監督が「きっと監督によっては共同監督がうまくいかない場合も多いと思います。お互い関係性を築いていかなければいけない、もしくは元々関係性がある人同士でないと成立できないですよね」とコメント。久野監督は「山下監督はとても任せ上手な部分があって、私としてはとても仕事を進めやすかった一方で、もらった実写映像をちゃんとアニメにしなければと責任を感じました」と語り、強い信頼関係が生み出す絶妙なバランスがあったことがうかがえた。
 
 絶賛ロトスコープで作品制作中の岩井澤監督からの止まらないまま、イベントは終わりの時間に。岩井澤監督は「ロトスコープはまだ色々可能性がある手法だと思っています。作品数が増えればまた色々な形の表現が出てくると思うので期待しています」、久野監督は「『化け猫あんずちゃん』は企画を進めていくなかで、ロトスコープの手法がまだまだ理解されていない部分がありました。この作品や『音楽』をきっかけに、ロトスコープの作品がどんどん豊かになって、さらに観た人によってロトスコープの色々な作品が生まれていくということになればとワクワクしています」とこれからのロトスコープの未来について期待を込めた思いを語り、イベントは幕を閉じました。
 
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『化け猫あんずちゃん』

 
2024年7月19日(金)より全国公開中
 
公式サイト:
https://ghostcat-anzu.jp
 
公式X:
@ghostcat_anzu
 
 
あんずちゃんの“声”だけでなく“動き”や“表情”も 森山未來が『化け猫』に!
多摩美術大学在学中に制作した短編アニメーション「Airy Me」が第17回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門新人賞を始め多数の受賞、海外映画祭での上映にて一躍注目を集め、岩井俊二監督『花とアリス殺人事件』(15)にて23歳という若さでロトスコープディレクターに抜擢。アニメーション作家として活躍する傍ら、商業アニメーションとしてTVアニメ『宝石の国』、『BEASTARS』、『映画クレヨンしんちゃんシリーズ』などでも頭角を現す。アニメーション・イラストレーター・漫画家と各方面から熱い支持をうける気鋭のクリエイター
久野遥子監督。
『リンダリンダリンダ』(05)のスマッシュヒットから、『天然コケッコー』(07)にて第32回報知映画賞・最優秀監督賞を最年少受賞。その後も『マイ・バック・ページ』(11)など社会派な作品も手掛け、現在公開中の『カラオケ行こ!』では新たな世代にも共感を得て大ヒット中!常に映画ファンから絶大な支持を集め続ける山下敦弘監督。
このふたりが「化け猫あんずちゃん」でタッグを組む。
そして、主役である「あんずちゃん」を演じるのは、『ボクたちはみんな大人になれなかった』(21)、『ほかげ』(23)『シン・仮面ライダー』(23)他、数々の話題作に出演し、俳優だけでなく多岐に渡るジャンルで国内外で唯一無二の活躍を続ける森山未來。
日本の芸術分野をけん引する才能が集結し2024年満を持して『化け猫あんずちゃん』をアニメーション映画として世に放つ。
『化け猫あんずちゃん』
本作では実写で撮影した映像からトレースし、アニメーションにする「ロトスコープ」という手法を採用している。
従来ではロトスコープは、演奏シーンやダンスなど人間の動きをリアルにアニメーション化する事で用いられる事が多いのだが、本作では撮影現場でしか生まれない「お芝居」をアニメーションに落とし込む事に注力している。
もうひとつ大事な要素が、セリフの同時録音である。その現場でしか生まれない掛け合いによる役者の「声」も同時に録音する必要がある。その為、実写班には山下監督を中心とし、実写映画界の優秀なスタッフが集結し、映画撮影そのままの撮影を敢行。そして、その映像や音声をもとに久野監督が緻密な芝居から抽出するエッセンスを吟味し、スタッフと共にアニメーションを作り上げている。
あの森山未來が実写映画同様に動き話す姿を撮影しておきながら、映画館で目にするのはアニメーションで表現された完全に化け猫の“あんずちゃん”という、贅沢ともいえる、徹底的にこだわった制作方法がとられている。実写で役者が演じた登場人物たちはその魅力を活かしながら、久野監督デザインによるキュートなキャラクターに変貌をとげ、ロトスコープならではの生き生きとした動き・表情で動き回るアニメーションになるという特別な仕上がりは、可愛くもどこか現実味のある未だかつて見た事がないアニメーション映画となっている。
 
また、アニメーション制作では『クレヨンしんちゃん』や『ドラえもん』で知られるスタジオである「シンエイ動画」と、カンヌ国際映画祭やアヌシー国際映画祭で数々の賞を受賞し、新進気鋭のフランスのスタジオ「MIYUプロダクション」が長編として初の日仏共同にてアニメーションを制作。シンエイ動画がキャラクターの動きを描き、MIYUプロダクションが背景美術と色彩を担う。
実写×アニメーション。日本×フランス。ジャンルや国を超えた才能がタッグを組み、いましろたかし原作の『化け猫あんずちゃん』が前代未聞のアニメーション映画として、ついにこの夏公開!
 

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監督:久野遥子・山下敦弘
原作:いましろたかし『化け猫あんずちゃん』(講談社 KCデラックス 刊)
キャスト(声・動き):森山未來 五藤希愛
青木崇高 市川実和子 鈴木慶一 水澤紳吾 吉岡睦雄 澤部 渡 宇野祥平
制作プロダクション:シンエイ動画×Miyu Productions
脚本:いまおかしんじ 音楽:鈴木慶一 編集:小島俊彦 
キャラクターデザイン:久野遥子 作画監督:石舘波子 中内友紀恵 
美術監督& 色彩設計:Julien De Man コンポジット開発:Guillaume Cassuto 
撮影監督:牧野真人 CG監督:飯塚智香 音響監督:滝野ますみ
実写制作協力:マッチポイント
撮影:池内義浩 録音:弥栄裕樹 スタイリスト:伊賀大介 
主題歌:「またたび」佐藤千亜妃(A.S.A.B)
プロデューサー:近藤慶一 Emmanuel-Alain Raynal Pierre Baussaron 根岸洋之
製作:化け猫あんずちゃん製作委員会
配給:TOHO NEXT
©️いましろたかし・講談社/化け猫あんずちゃん製作委員会

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