リム・カーワイ監督『ディス・マジック・モーメント』初日舞台挨拶

初日舞台挨拶

この度、リム・カーワイ監督の最新作で自身初のドキュメンタリー映画 『ディス・マジック・モーメント』 が、2023年11月25日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開となり、リム・カーワイ監督によるがシアター・イメージフォーラムにて行われました。

大阪を拠点に、香港、中国、バルカン半島などで映画を製作し、どこにも属さず彷徨う“シネマドリフター（映画流れ者）”を自称するリム・カーワイ監督。自主映画監督“世界の渡辺”が、コロナ禍のミニシアターを行脚したロードムービー映画『あなたの微笑み』の撮影後、リム監督の本拠地大阪のテアトル梅田の閉館が決まった。居ても立っても居られなくなり、ついに自らインタビュアーとなって、全国22館のミニシアターを駆け巡った、自身初のドキュメンタリー映画となっています。

初日舞台挨拶
日程：11月25日（土）
場所：シアター・イメージフォーラム
登壇：リム・カーワイ監督

リム・カーワイ監督登壇

“旅する映画監督”の名の通り、エストニアのタリン・ブラックナイト映画祭から、沖縄のCinema at SEA-沖縄環太平洋国際フィルムフェスティバルに参加し、今朝東京に着いたばかりのリム・カーワイ監督。「ちょうど１年前に、イメージフォーラムで“世界の渡辺”が全国のミニシアターを巡る『あなたの微笑み』が公開されました。今日はフィルメックス、そして“世界の北野”の『首』ではなく、イメージフォーラムにご来場くださってありがとうございます。」と、初日に駆け付けてくれた“ミニシアターファン”たちを前に笑顔で挨拶した。

「映画『あなたの微笑み』が公開されて、映画の舞台にもなった小倉映画館が旦過地区の火事で全焼、首里劇場の金城館長が亡くなって閉館しました。昨日、更地になってしまった首里劇場があった場所に行き、もうこの世に首里劇場はないんだと実感しました。今回取材はしていませんが、名古屋シネマテーク、京都みなみ会館も閉館になりました。」と、依然ミニシアターが置かれた厳しい状況に言及した。

「地方の劇場に共通するのは、人口減少に比例して映画館に来る人口も減少していること。そこに新型コロナウイルス感染症の影響もあって、本当に経営が厳しい。新型コロナウイルス感染症の流行で、様々な形でのミニシアター支援が広がる中で、自分にできることはつらい現実を知ってもらうだけではなく、どんな状況でもミニシアターを支える人たちがいること、その情熱を知ってほしい。」と思い、自身がインタビュアーとなって、ドキュメンタリー映画を撮ることにしたと本作誕生のエピソードを語った。

本作はリムイ監督初のドキュメンタリー映画で、いつもは初日に俳優陣も勢ぞろいするのに、「今日は僕ひとりの登壇で、ちょっとさみしいです。皆さんからの質問や感想を聞きたいです。」と客席に呼び掛けると、多くの方から質問が集まることに！
本作はリム監督が各劇場にいき、インタビューをしていくシンプルな構成になっており、「質問内容は事前に決めていましたか？」との質問に、「インタビューはだいたい30分、劇場の歴史、そして取材を受ける方がどうやって映画館に関わるようになったかを聞く」ことは決めていたという。その上で「その劇場や、その方の個性に合わせて、質問をしていくようにしました。僕が語るのではなく、いかに映画館の方に話してもらうかを心掛けました。」と、インタビュアーとして心構えを語った。

本作にも登場する、よしもと南の島パニパニシネマの宣伝担当の方も来場され、「館主たちの苦労を超える、映画愛が伝わってきた。全国のミニシアターに関わる人たちの声を聞き、その前向きな姿勢に感動しました。文化を守ろうと頑張っている姿を記録してくれて、ありがとうございました。」との感想を話した。リム監督は、「パニパニシネマは宮古島に１館しかない映画館で、地元の人の生活に密着した存在になっていた。館主さんの明るさもあって、その土地のみんなに愛されている劇場が多かったのも取材していると伝わってきました。」と、撮影を通して感じた、その土地に根付いたミニシアターの存在について振り返った。

趣味で地方のミニシアターを巡るのが好きという観客の方も来場されており、時間ギリギリまでトークイベントは盛り上がりを見せた。

最後に「ミニシアターは、映画を上映するだけではなく、人と人を繋ぐ場所。文化を守る場所でもある。映画には個性豊かな館主さんたちがたくさん登場して、その情熱に触れれば、きっとミニシアターに行ったことがない人でも興味を持ってくれるはず。ミニシアターファン、そしてミニシアターに行ったことがない人にも見てほしいです。」と、リム監督がミニシアターへの愛を語り締めくくった。

トークイベントスケジュール

≪ 劇場では、リム・カーワイ監督と多彩なゲストによるトークイベントも連日開催！ ≫
「ほんのみらいを」をモットーに人と本を、人と言葉を、未来に繋ぐ活動「一般社団法人ホンミライ」理事で作家の岩井圭也さん、注目のブックビジネスを手掛ける、神保町のシェア型書店「PASSAGE by ALL REVIEWS」代表の由井緑郎さん、行列の絶えない神保町の老舗喫茶店「さぼうる」伊藤智恵さん、松永大司監督も登壇いたします。

◆公開記念トークイベントスケジュール @イメージフォーラム◆※すべて上映後のトークイベント
11月25日(土)11:00回　リム・カーワイ監督
11月26日(日)11:00回　リム・カーワイ監督×岩井圭也（作家・一般社団法人ホンミライ理事）
11月27日(月)11:00回　リム・カーワイ監督
11月28日(火)11:00回　リム・カーワイ監督×由井緑郎（PASSAGE by ALL REVIEWS 代表）
11月29日(水)11:00回　リム・カーワイ監督×伊藤智恵（喫茶店さぼうる）
11月30日(木)11:00回　リム・カーワイ監督×山下宏洋（シアター・イメージフォーラム支配人）
12月1日(金)11:00回　リム・カーワイ監督
12月2日(土)リム・カーワイ監督×松永大司（映画監督）
※12月２日（土）の上映時間は劇場HPにてご確認ください。　※ゲスト、イベント内容は予告なく変更となる場合がございます。ご了承ください。※敬称略

『ディス・マジック・モーメント』

2023年11月25日(土)よりシアター・イメージフォーラム他全国順次公開！
2024 年1月6日(土)よりシネ・ヌーヴォ（大阪）にて公開！

館長も映画館も個性派揃い！いますぐ行ってみたくなる♪
リム・カーワイpresents“ミニシアターの世界”
～旅する映画監督リム・カーワイと巡る、全国22館ミニシアター90分の旅！～

大阪を拠点に、香港、中国、バルカン半島などで映画を製作し、どこにも属さず彷徨う“シネマドリフター（映画流れ者）”を自称する映画監督リム・カーワイ。
2022年、コロナ禍のミニシアターを行脚したロードムービー映画『あなたの微笑み』の公開を前に、舞台となったミニシアターに次々と困難が降りかかっていった…。ついにリム監督の本拠地大阪のテアトル梅田が9月に閉館が決まり、居ても立っても居られなくなったリム監督。ついに自らインタビュアーとなって、ミニシアターを駆け巡る！
日本は、世界でも有数の“独立系ミニシアター大国”。家族経営、クリーニング店兼映画館、市民がつくる映画館、文化財として観光名所になった映画館…。一概に“ミニシアター”と言っても、その成り立ちや経営は多種多様。共通するのは“映画が好き”“映画館が好き”という思いだった。ミニシアターを訪ね、劇場を支える人たちの思いに耳を傾け、見えてきたものとは──。

映画には、解体が決まった沖縄に現存する最古の映画館、首里劇場の解体前の最後の姿や、再開が決まった小倉昭和館の再建前の跡地など、貴重な映像も収められています！

館長も映画館も個性派揃い！いますぐ行ってみたくなる♪リム・カーワイpresents“ミニシアターの世界”～旅する映画監督リム・カーワイと巡る、全国22館ミニシアター90分の旅！～

≪本作に登場するミニシアター２２館≫
大阪府【テアトル梅田】関西の映画文化を牽引した、ミニシアター。32年の歴史に幕を下ろした。
沖縄県【よしもと南の島パニパニシネマ】日本最南端、宮古島唯一の映画館。
沖縄県【首里劇場】映画『あなたの微笑み』に登場した沖縄に現存する最古の映画館。2022年、惜しまれつつ72年の歴史に幕を閉じた。
沖縄県【シアタードーナツ・オキナワ】名物は毎朝手作りするドーナツ！シネコンでも、単館でもない、第三の映画館“コミュニティシアター”
福岡県【小倉昭和館】北九州唯一の単館系映画館。旦過地区の火事で全焼するも、2023年12月の再建・再開を目指している。
大分県【別府ブルーバード劇場】世界最年長の名物館長・照さんが切り盛りする、昭和レトロな映画館。
宮崎県【宮崎キネマ館】特定非営利活動法人が運営する映画館として、2001年に日本で最初に誕生した映画館。
鹿児島【ガーデンズシネマ】鹿児島にある、作られた当時、日本で一番小さい映画館。
佐賀県【THEATER ENYA】大林宣彦監督『花筐』のロケ地・唐津の商店街に22年ぶりに復活した映画館。
兵庫県【豊岡劇場】映画『あなたの微笑み』にも登場した、レトロな映画館。幾多の休館を乗り越え、2023年3月に再開した。
群馬県【シネマテークたかさき】高崎映画祭のスタッフが中心となり市民出資を募って設立したミニシアター。
新潟県【高田世界館】国の登録有形文化財や近代化産業遺産にも指定される、日本最古級の映画館。
長野県【上田映劇】100年以上の歴史を誇る、老舗の劇場。
愛知県【シネマスコーレ】若松孝二監督が初代オーナーだった、名古屋の名物ミニシアター。
福井県【福井メトロ劇場】今年開館70周年になる、福井県内唯一のミニシアター。
石川県【シネモンド】フランス語で「世界の映画」を意味する石川県唯一のミニシアター。1998年開館。
富山県【ほとり座】2020年に開館した、カフェやライブホールも併設するミニシアター。
新潟県【シネ・ウインド】「新潟・市民映画館鑑賞会」という会員制度を持つ、市民参加型映画館。
秋田県【御成座】廃墟となった映画館に移住した一家が、ロビーをリビングにして生活をしながら運営する唯一無二のミニシアター。
青森県【シネマディクト】落語会「シネマディクト寄席」も開催する、本州最北端の個性派ミニシアター。
北海道【大黒座】クリーニング店も営む、北海道で現存する最も古い映画館。
大阪府【シネ・ヌーヴォ】リム・カーワイ監督が、映画監督を目指すきっかけとなった大阪のミニシアター。
※登場順