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「PFFアワード2023」の表彰式

9月9日(土)に開幕した「第45回ぴあフィルムフェスティバル2023」。
本日、映画祭のメインプログラムである自主映画コンペティション「PFFアワード2023」の表彰式が、コートヤード・マリオット銀座東武ホテル「桜の間」にて行われ、最終審査員らにより、各賞が発表されました。「PFFアワード2023」は、557本の応募作品の中から、約4か月にわたる審査を経て、22作品が入選。
映画祭期間中、会場の国立映画アーカイブにて、各2回ずつスクリーン上映が行われました。
『第45回ぴあフィルムフェスティバル2023』表彰式

▼グランプリ 『リテイク』 中野晃太監督 受賞コメント


『第45回ぴあフィルムフェスティバル2023』表彰式
信じられない気持ちです。会場に来てくれているキャストの麗(うらら)とアレイナ、この二人のお陰で出来上がったと言える作品です。麗は音楽でも活躍していてそれだけでなく映画も本気で取り組み、彼女の活躍を見て僕自身も「頑張らなきゃ」と触発されました。また、撮影期間も長くで大変だったと思いますが、アレイナは現場のムードメーカーで、居ると安心する存在でした。映画作りを描いた作品でもありますが、撮影中はみんなで相談しながら作っていくことができました。そういったみんなの支えがあって今日の結果に繋がったと思います。改めて感謝します。

『第45回ぴあフィルムフェスティバル2023』表彰式
プレゼンテーター:石井裕也(映画監督)
時間、青春との戯れが不思議な魅力に繋がった面白いところでした。最後までドキドキ、ワクワクが続きました。
虚実入り乱れている物語性もさることながら、いちばんの見どころは、俳優たちの躍動です。
プロが狙ってもできない、配役やバランスだったと思います。その奇跡も自主映画の魅力ですね。

▼準グランプリ 『ふれる』髙田恭輔監督 受賞コメント

(講評の言葉を聞いて)ちょっと褒めすぎだなと思いながらも、ありがたく聞かせて頂きました(笑)。
コロナ禍で部屋から出られなくて誰とも話せないという状況が続いていたこともあり、脚本に出来事だけを記して、あとは現場で俳優さんたちと一緒に話し合いながら作っていくという、この映画ならではのやり方に繋がっていきました。「ひとりぼっち」を感じながら映画の脚本を書き始めましたが、今考えてみると「ひとりぼっちじゃないよ」と、ひとりで部屋の中にいる自分に伝えたかったんじゃないかと思います。自分が映画を作る理由は何かと考えたときに、コロナ禍で部屋にいた自分を支えてくれたのが、映画で出会った人たちと彼らと一緒に過ごした時間でした。その時間を思い返すことができたから、ひとりの状況を和らげることが出来たのだと思います。これからも「ひとりじゃない」ということを言うために映画を作っていきたいと思います。

『第45回ぴあフィルムフェスティバル2023』表彰式
プレゼンテーター:國實瑞惠(プロデューサー)
この作品の監督はある程度の人生経験を積んだ方だと思ったら、なんと21歳で驚きました。主人公の女の子・美咲役の鈴木唯さんを発見したことがこの映画の大勝利だと思います。映画には素晴らしくてとても好きなシーンがたくさんあります。さり気ないシーンで泣かされたりもしました。主人公の彼女が成長していく姿をとても丁寧に描き、ラストもとても素敵でした。
賞は準グランプリですが、監督賞として贈りたいと思います。これからも人間の機微を大事に、私たちの琴線に触れるような作品を作り続けて下さい。

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▼最終審査員5名による審査総評(敬称略)

五月女ケイ子(イラストレーター)
大学で映画研究部に入っていて、5分の短編を1本だけ撮った経験があります。当時は8ミリフィルムを撮るのがかっこいいとされていた時代。映研は映画オタクの巣窟で、そこであらゆる文化という文化を学びました。今回自主映画を久々に観ましたが、新しい部分も変わらない部分もあって、どの作品も光る部分を持っていて、いろんなジャンルの光をひとつの土俵の上で優劣を決めなければいけないということが本当に難しかったです。ものづくりをする上で大事なのは「根拠のない自信」だと思っていますが、ここにいる皆さんは「根拠のある自身」を持てたと思うので、その根拠のある自信を糧にして、たくさん感じて考えて、自分にしか作れない映画を作って欲しいと思います。

石川 慶(映画監督)
ぼくは1977年生まれで、ほぼぴあと同い年、一緒に映画をみてきました。
大学の時、自主映画を作っていて、当時、長編デビューすることはPFFスカラシップを撮ることが唯一の道でした。
映研のみんなもそこを目指していたけど、自分は応募できなかった。人に観せるといろいろと言われるのが怖かったんです。あの時応募できなかったことが、ずっと自分のなかでコンプレックスでした。自虐的にぴあ的でないと言っていました。ただ今回、こうやって皆さんの作品を見て羨ましいとおもい、尊敬します。映画は反応がラジカルにくることもあるけど、それだけ作品に入り込んでくれた証拠。映画は鉄を鍛えるように、見てもらって強くなっていくのだと思います。皆さん、どんどん作って、どんどん見せてください。

岸田奈美(作家)
今回の審査に携わることができて本当に良かったです。それは、映画を一緒に作りたい、という思いが湧き起こったことです。この監督の目や人生を通すと、自分の作品はどう表現されるのか。映画を作りたいという思いを刺激されたのです。
私は映画に、誰も描いたことのないような感情を見せてくれることを求め、監督ならではの視点を見せてくれる作品が人の胸を打つと考えています。
私のように自主映画に慣れていない人でも最後まで観て楽しむことが出来る、とても素晴らしい体験でした。
最後まで作品として映画を作り切ったこと、そのこと自体がとても素晴らしいことだと改めて思います。

國實瑞惠(プロデューサー)
わたしはPFFの審査員にふさわしくない人間なのです。というのは、四畳半や100メートル圏内で撮った映画があまり好きじゃないんです。なので、最初は困ったなと思ったのですが、今回審査員をやらせていただいて、石井監督や石川監督たちと賞を決定する会議をして、色々なことを教わりました。自分が間違っていたと思いますし、色々と勉強をさせていただいて、今もう一度全作品を観直し始めています。

石井裕也(映画監督)
昨年亡くなった映画監督で僕の学生時代の先生、中島貞夫監督の言葉をこの場で紹介したいと思います。
大学の卒業制作として長編作品を作ろうとしていた20歳のぼくたちを前に中島先生は、自主映画とは、世界に対する最初の所信表明だと仰り、20歳の僕はその言葉を聞いて武者震いしました。なんの後ろ盾なく、人生経験も乏しい、そんな丸腰の自分が個として世界に向けて全力で叫ぶ、途方もなく無謀で危険な行為ですが、一方で、もの凄く重い意味を持つのだと直感的に理解しました。
今回の応募作品の中には撮った本人しか分からない珍品もあったかと思いますが、それでいいのです。
感情大量生産行為によって作られた映画しか存在しない社会は問題です。ほとんどの人が理解できない自主映画があってもいいし、作家の切実な思いや表現欲求があるなら、たとえ誰にも理解されなくても存在するべきだとぼくは思います。監督や表現者の皆さんには、自分が面白いと思う感性を信じて欲しい、そうやって世界に叫び続けていれば、いつか必ず形なります。感情大量生産行為によって作られた映画に疑いを持ち、自主映画に興味を持つ人がこの世界に増えることを願っています。

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<「PFFアワード2023」受賞結果>

※各受賞者にはPFFスカラシップへの挑戦権が贈られます。
※監督の年齢は応募時のものです。

【グランプリ】(副賞100万円)映画監督として最も期待したいつくり手に贈られます。
『リテイク』 監督:中野晃太 (35歳/神奈川県出身) 上映時間:110分

【準グランプリ】(副賞20万円)グランプリに迫る才能を感じさせるつくり手に贈られます。
『ふれる』 監督:髙田恭輔 (21歳/茨城県出身) 上映時間:60分

【審査員特別賞】(副賞10万円/五十音順)無視することができない才能を感じさせるつくり手に贈られます。
『うらぼんえ』 監督:寺西 涼 (27歳/神奈川県出身) 上映時間:28分
『鳥籠』 監督:立花 遼 (21歳/大阪府出身) 上映時間:66分
『リバーシブル/リバーシブル』 監督:石田忍道 (34歳/愛知県出身) 上映時間:77分

【エンタテインメント賞(ホリプロ賞)】(副賞)作品の優れたエンタテインメント性に対して贈られます。
『完璧な若い女性』 監督:渡邉龍平 (22歳/東京都出身) 上映時間:65分

【映画ファン賞(ぴあニスト賞)】(副賞)一般審査員による賞。「映画館で見たい」才能に対して贈られます。
『じゃ、また。』 監督:石川泰地 (27歳/東京都出身) 上映時間:52分

【観客賞】(副賞)観客の人気投票により、最も高い支持を得た作品に贈られます。
『移動する記憶装置展』 監督:たかはしそうた (31歳/神奈川県出身) 上映時間:71分

★最終審査員:石井裕也(映画監督)、石川 慶(映画監督)、岸田奈美(作家)
國實瑞惠(プロデューサー)、五月女ケイ子(イラストレーター)※五十音順/敬称略

■最終日9月23日(土)、受賞5作品を国立映画アーカイブで上映!!
9月23日(土) 11:30~ 『ふれる』60分+『リバーシブル/リバーシブル』77分
14:30~  『リテイク』110分+『鳥籠』66分+『うらぼんえ』28分

■「PFFアワード2023」入選22作品、オンライン配信!10月31日(火)まで
DOKUSO映画館  @festival/detail/334
U-NEXT  @FET0009331?nfignore=1&rid=OF00228

■グランプリ受賞作『リテイク』、東京国際映画祭で上映決定!
グランプリ受賞作『リテイク』は、10月23日(月)より開催される「第36回東京国際映画祭」にて特別上映されます。

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「第45回ぴあフィルムフェスティバル2023」開催概要

https://pff.jp/45th/

<東京>日程:9月9日(土)~23日(土) 
※月曜休館 会場:国立映画アーカイブ
(東京都中央区京橋3-7-6)

<京都>日程:10月14日(土)~22日(日) 
※月曜休館 会場:京都文化博物館
(京都市中京区三条高倉)

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